アメリカもマイル戦

英国で今年最初のクラシック・レースが行われた同じ日、アメリカでは五つの競馬場で夫々仲良く一鞍づつのG戦が行われました。アメリカのクラシック・レースであるケンタッキー・ダービーを翌週に控えた週末です。
五つが五つとも1マイルのGⅢ戦というのが面白いところで、意識的にそうなっているのかは判りませんが…。

先ずはベルモント・パーク競馬場のウェストチェスター・ハンデキャップ Westchester H (GⅢ、3歳上、8ハロン)。1918年の創設当時はヨークタウン・ハンデキャップと呼ばれていたレースですが、1940年にニューヨーク州のウェストチェスター郡に因んで改名されて今日に至っています。
今年の勝馬はカイシャ・エレトロニカ Caixa Eletronica 。5頭立て。2番手から抜け出しての優勝。クレーミング戦(引き取り条件で出走するレース)に勝ってプレッチャー厩舎に移ったばかりの同馬が、10対1の番狂わせを演じました。もちろんステークスは初勝利。
トッド・プレッチャー厩舎としてはクリスマス・フォー・ライアム Christmas For Liam に期待していたのですが、こちらはどん尻に負けてしまいました。カイシャ・エレトロニカに騎乗していたのはコーネリオの方のヴェラスケス。

続いてフロリダからはカルダー競馬場のマイアミ・マイル・ハンデキャップ Miami Mile H (芝GⅢ、3歳上、8ハロン)。1987年にブリーダーズカップ・シリーズの前哨戦として創立。距離も何度か変更されましたが、1997年からは1マイルで定着しているようです。
今年の勝馬はサクセスフル・ミッション Successful Mission 。7頭立て。2~3番手に付け、直線で先行馬を捉えると、1番人気ヴードゥー・スウィング Voodoo Swinge の差し足を首差凌いで優勝。これもG戦は初勝利です。
調教師はエドワード・プレーサ、騎手はエルヴィス・トゥルージロ。

そしてクラシックの舞台となるチャーチル・ダウンズ・競馬場ではダービー・トライアル・ステークス Derby Trial S (GⅢ、3歳、8ハロン)。ダービー・トライアルとは言いながら本番の1週間前に行われるのでトライアルの意味はあまり感じられません。それでも1924年の創設以来ここから本番を制した馬が5頭いるそうで、創設年の勝馬ブラック・ゴールド Black Gold もその一頭です。最も最近のケースは1958年のティム・タム Tim Tam 。あ、1948年の三冠馬サイテーション Citation もトライアル勝ちしたんですってね。
今年の勝馬はメイチェン Machen 。9頭立て。ゴール前は内外大きく離れましたが、外から追い込んだメイチェンが首差でドミナス Dominus を捉えていました。ここ2戦はフェア・グラウンズで凡走続きでしたが、ナイター競馬が気に入ったのか、見事復活です。3歳になってデビューした馬ですが、プリークネスには向かわない由。未だ先のゴールを目指す意向の様です。
調教師はネイル・ハワード、騎手はエドガー・プラード。

カリフォルニアに飛んでゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場はサン・フランシスコ・マイル San Francisco Mile (芝GⅢ、4歳上、8ハロン)。1948年創設、去年と一昨年はGⅡで行われましたが、今年は以前のGⅢに戻って行われるようですね。同じカリフォルニア州のハリウッド・パークとバッティングするからでしょうか?
今年の勝馬はアワ・ノーティック Our Nautique 。9頭立て。まんまと逃げ切って19対1の大穴を開けました。ニュージーランド産の6歳せん馬、アメリカのステークスは初優勝です。
調教師はジェリー・ホーレンドルファー、ケヴィン・クリッガー騎手は同馬には初騎乗でした。

最後にそのハリウッド・パーク競馬場のウィルシャー・ハンデキャップ Wilshire H (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。この日行われた1マイルG戦の中で唯一の牝馬限定戦。1953年に3歳牝馬戦として行われましたが、その後1963年に古馬牝馬も参戦できるレースとして復活。1998年からは現在の1マイル戦に定着しています。
今年の勝馬はデュバウィ・ハイツ Dubawi Heights 。9頭立て。アメリカの芝戦はヨーロッパなど外国で走っていた馬が活躍するケースが多いものですが、この馬もイギリスから転じてきた一頭。3~4番手から抜け出す積極的なレースで楽勝、渡米する飛行機の中で疝痛を起こしたり、脛骨を負傷したりと必ずしも順調ではありませんでしたが、サイモン・キャラガン調教師の下でのステークス初勝利を飾りました。
騎手はジョエル・ロザリオ。

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