クラーク・ハンデはワイズ・ダン

4日連続のGシリーズ、2日目の金曜日は4つの競馬場で5鞍のG戦が行われました。注目は豪華メンバーが揃ったチャーチル・ダウンズのクラーク・ハンデでしょう。

その前にアケダクト競馬場のゴー・フォー・ワンド・ハンデキャップ Go for Wand H (GⅡ、3歳上牝、8ハロン)。1954年にマスケット・ステークス Maskette S として設立されたレースですが、1992年に現在の名前に改称されました。マスケットは20世紀初頭に牝馬の大レースを総なめし、競馬殿堂入りした名牝。私のようなオールド・ファンには旧名の方が馴染み深く感じられます。現在の名前に採られたゴー・フォー・ワンドもマスケット同様に名競走馬でしたが、1990年のブリーダーズ・カップ・ディスタフ優勝目前に骨折して落馬。そのまま安楽死処分が取られ、サラトガ競馬場に埋葬されました。ゴー・フォー・ワンドは1990年のマスケット・ステークス勝馬でもあります。
今年の勝馬はラヴリー・リル Lovely Lil 。8頭立て。1番枠から好スタート、そのままインコースをキープして先手を取り、直線ではやや外に膨れながらも逃げ切り勝ち。2着も3番枠から出た1番人気のオール・デュー・リスペクト All Due Respect が、2番手を追走してそのまま1馬身4分の1差で流れ込みました。15対1の人気薄、グレード・レースは初勝利でした。なお、インディアン・レジェンド Indian Legend は他馬と接触、直線半ばで競走中止しています。
調教師マイケル・ハッションは、前日のフォール・ハイウエイト・チャンピオンシップ(サンライズ・スマーティー Sunrise Smarty)に続く連日のG制覇。騎手はコーネリオ・ヴェラスケス。

そして愈々チャーチル・ダウンズ競馬場の秋開催で行われる最後のGⅠ戦となるクラーク・ハンデキャップ Clark H (GⅠ、3歳上、9ハロン)。1875年創設。グレード制が導入された1973年からGⅡでしたが、2006年にGⅠに昇格。2007年には再びGⅡに格下げされましたが、去年再度GⅠに復帰しています。レース名のクラークは、ルイヴィル・ジョッキー・クラブの創始者ルイス・クラークに因んだもの。
今年の勝馬はワイズ・ダン Wise Dan 。13頭立て。前半は外を回って3番手。第3コーナーで2番手から先に仕掛けたミッション・インパジブル Mission Impazible を追って2番手に上がり、直線で先頭に立ったミッション・インパジブルを外から3馬身4分の3差捉えて快勝。1番人気(2対1、BCクラシック5着)に支持されたフラット・アウト Flat Out は2着から2馬身4分の3差の3着でした。また今年のベルモント覇者ルーラー・オン・アイス Ruler On Ice も5着と期待を裏切っています。
勝ったワイズ・ダンは、今シーズンは同じチャーチル・ダウンズのファイアークラッカー・ハンデ(芝GⅡ)、キーンランドのファイエット・ステークス(GⅡ)に続くグレード戦勝利で、GⅠは初制覇となりました。
調教師はチャールズ・ロプレスティ、騎手ジョン・ヴェラスケスは、ワイズ・ダンには初騎乗。

一方、ゴールデン・ゲート・フィールズ競馬場のオール・アメリカン・ステークス All American S (GⅢ、3歳上、9ハロン)。1968年創設。全天候型のコースで行われた最初のグレード・レースとして知られています。
今年の勝馬はアワ・ノーティック Our Nautique 。6頭立て。向正面では後続を3馬身ほど離しての逃げ。直線も内々の経済コースを通り、ボールド・チーフテン Bold Chieftain の追い込みを首差凌いでの逃げ切り勝ち。ニュージーランド産の6歳せん馬で、去年のオール・アメリカンでは3着していました。
調教師はジェリー・ホーレンドルファー、騎手はケヴィン・クリッガー。

最後にハリウッド・パーク競馬場の「ターフ・フェスティヴァル」から2鞍。ミエスク・ステークス Miesque S (芝GⅢ、2歳牝、8ハロン)。1991年創設。レース名のミエスクは英仏1000ギニーを含めヨーロッパのマイル・チャンピオンに輝いたフランスの名牝で、ブリーダーズ・カップ・マイルを2連覇した強豪でもありました。同馬に騎乗したフレディー・ヘッドは、調教師としてもBCマイルを3連覇したゴールディコヴァ Goldikova を育てたことでも知られてます。
今年の勝馬はモア・ザン・ラヴ More Than Love 。7頭立て。快調に逃げた伏兵(29対1)スターシップ・フレア Starship Flare を終始2馬身差の2番手に付けたモア・ザン・ラヴが直線でジリジリと追い詰め、ハナ差抜けたところがゴール。ギリギリで1番人気(イーヴン)に応えました。ベルモントのデビュー戦(芝の1マイル)は4着に終わりましたが、前走2戦目で同じベルモントの芝コース(8.5ハロン)で初勝利、今回はニューヨークから遠征してのステークス・デビュー戦でした。
調教師はジョン・テラノヴァ、騎手ラモン・ドミンゲスは誕生日の感謝祭で5勝(アケダクト競馬場)の固め打ちでしたが、ここハリウッドのターフ・フェスティヴァルでもこれが5勝目となります。

メイトリアーク・ステークス Matriarch S (芝GⅠ、3歳上牝、8ハロン)。1981年創設。当初は9ハロン戦でしたが、10ハロンに延長された時期もありました。2003年からは現在の8ハロンで行われています。
今年の勝馬はスター・ビリング Star Billing 。8頭立て。7番枠スタート。第1コーナーで内に入れ、前半は内々の5~6番手で待機。4コーナーで最内を衝き、逃げたサマー・ソワレー Summer Soiree の内から抜けるかと思われた時、再びサマー・ソワレーの差し返し。最後は2頭の叩き合いになりましたが、ゴール寸前の伸び脚に勝ったスター・ビリングが半自身サマー・ソワレーを差し切って優勝し、10対1の番狂わせとなりました。1番人気(7対10)のネヴァー・リトリート Never Retreat が3着。前年の覇者ジプシーズ・ウォーニング Gypsy’s Warning は5着敗退。アップ・イン・タイム Up In Time が第4コーナー手前でバランスを崩し、マーチン・ガルシア騎手が落馬するアクシデントも。デル・マー・オークスの雪辱を果たしたスター・ビリングはGⅠ初制覇。落馬事故は人馬共に無事、レース結果に影響するような審議にはなりませんでした。
調教師はジョン・シレフス、騎手はヴィクター・エスピノザ。

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