7月最初のアメリカ競馬
昨日の土曜日、アメリカの7月競馬が始まりました。4つの競馬場で合計7鞍のG戦、いつものように東から西に見て行きます。
最初はベルモント競馬場のマザー・グース・ステークス Mother Goose S (GⅡ、3歳牝、8.5ハロン)。かつてはニューヨーク牝馬三冠の一つ、去年まではGⅠでしたが、今年からGⅡに降格されました。7頭が出走し、ケンタッキー・オークス3着のロックダウン Lockdown が僅かの差で2対1の1番人気。
本命馬と同じ2対1、僅差で2番人気に推されていた新星アンチェインド・メロディー Unchained Melody が逃げ、ロックダウンは後方2番手。控えていた本命馬が外から追い上げ、第4コーナーで2番手に上がって逃げ馬を追いましたが差は詰まらず、最後は3馬身差の逃げ切り勝ち。4番手を追走した5番人気(7対1)のモアナ Moana が6馬身半差の3着に入りました。
ブライアン・リンチ厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のアンチェインド・メロディーは、これがステークス初挑戦でのG戦初制覇。3歳になってデビューした馬で、ガルフストリームでデビュー勝ち、ベルモントのアローワンス戦で2着、1着と経験を積み、今回は未だ4戦目での快挙です。次はアラバマ・ステークス(GⅠ)で真価を問われることになるでしょう。
続いてフロリダのガルフストリーム・パーク競馬場から3鞍。馬場は何れも fast で、最初のキャリー・バック・ステークス Carry Back S (GⅢ、3歳、7ハロン)は11頭立て。フロリダ・ダービー5着までクラシック路線を進んだスリー・ルールズ Three Rules がイーヴンの1番人気。
3番人気(5対1)のモー・キャッシュ Mo Cash が内ラチ沿いギリギリを逃げ粘りましたが、前半は7番手に待機したスリー・ルールズが第4コーナーでは外から2番手に上がり、最後は内外分かれた競り合いを首差で制して人気に応えました。5番手を進んだ2番人気(5対1)のべネファクター Benefactor が8馬身差と大差の3着。
ホセ・ピンチン厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のスリー・ルールズは、これがG戦初勝利。デビューからいきなり5連勝し、BCジュヴェナイルで6着。今期はスウェイル・ステークス(GⅡ)2着、ファウンテン・オブ・ユース・ステークス(GⅡ)3着と続いてフロリダ・ダービー5着。前走ピムリコの一般ステークス(チック・ラング・ステークス)3着からの巻き返しです。
ガルフストリーム二つ目のG戦は、BCフィリー・アンド・メア・スプリントの優先出走権の対象となるプリンセス・ルーニー・ハンデキャップ Princess Rooney H (GⅡ、3歳上牝、7ハロン)。2013年まではGⅠ戦に格付けされていた一戦です。11頭が揃い、去年のレイヴン・ラン・ステークス(GⅡ)の勝馬で、前走ベッド・オー・ロージス・ステークス(GⅢ)で3着のライトストリーム Lightstream が3対2の1番人気。
5番人気(10対1)のキンスリー・キッシズ Kinsley Kisses が逃げましたが、2番手でマークした3番人気(4対1)のカーリンズ・アプルーヴァル Curlin’s Approval が抜け、4番手から追い込む6番人気(12対1)の伏兵ディスティンタ Distinta に4馬身半差を付ける圧勝となりました。人気のライトストリームも5番手から伸びましたが、半馬身届かず3着まで。
マーチン・ウルフソン厩舎、ルイス・サエズ騎乗のカーリンズ・アプルーヴァルは、今期ガルフストリームでハリケーン・バーティー・ステークス(GⅢ)、ロイヤル・デルタ・ステークス(GⅡ)とG戦に2連勝。そのあとインサイド・インフォメーション(GⅡ)5着、マトロン・ステークス(GⅢ)では7着と敗れましたが、ここで巻き返してのG戦3勝目となりました。ウルフソン師はこのレース5勝目。
ガルフストリームの最後は、BCスプリントの優先出走権を掛けたスマイル・スプリント・ハンデキャップ Smile Sprint H (GⅢ、3歳上、6ハロン)。去年まではGⅡ戦でしたが、今年からGⅢに降格されています。8頭が出走し、目下3連勝中のインペリアル・ヒント Imperial Hint が3対5の断然1番人気。
2番人気(3対1)のオウサム・バナー Awesome Banner が逃げて良く粘りましたが、抑え気味に3番手で待機したインペリアル・ヒントが直線では内ラチ沿いギリギリを衝いてスパートし、オウサム・バナーに4馬身4分の3差を付けて堂々4連勝を達成しました。5番手を進んだ最低人気(134対1)のヴェリー・ヴェリー・ステラ Very Very Stella が2馬身4分の3差で3着に飛び込むサプライズ。3番人気(4対1)で去年の勝馬デルタ・ブルースマン Delta Bluesman は4着。
ルイ・カルヴァジャル厩舎、ハヴィエル・カステラノ騎乗のインペリアル・ヒントは、前走2月末のジェネラル・ジョージ・ステークス(GⅢ)に続くG戦2連勝でBCへの切符を手にしました。前走の後ドバイのGⅠ(ゴールデン・シャヒーン)を狙って遠征しましたが、発熱により回避してここまで休養した経緯があります。
さて、モンマス・パーク競馬場では芝のGⅠ戦、ユナイテッド・ネイションズ・ステークス United Nations S (芝GⅠ、3歳上、11ハロン)が行われました。firm の馬場に9頭が参戦し、去年セクレタリアート・ステークス(芝GⅠ)を制しているビーチ・パトロール Beach Patrol が7対5で1番人気。
スタートから本命ビーチ・パトロールと、2番人気(5対2)イッツインザポスト Itsinthepost のハナ争い。夫々1・2番枠から出て、内のビーチ・パトロール、外のイッツインザポストが並走するように先頭を争います。ペースが速かったか、一旦は最後方に控えていた5番人気(10対1)のビッガー・ピクチャー Bigger Picture が直線で思い切りよくインコースぎりぎりを衝いて伸びると、5番手から追い込む6番人気(11対1)キャントヘルプビリーヴィング Can’thelpbelieving とのスリリングなゴール。写真判定の結果、ビッガー・ピクチャーがキャントヘルプビリーヴィングを頭差抑えていました。1馬身4分の3差で、粘った本命ビーチ・パトロールが3着。勝時計2分10秒81は、コース・レコード・タイムのオマケ付きです。
マイケル・メイカー厩舎、ジョー・ブラーヴォ騎乗のビッガー・ピクチャーは、これがGⅠ戦初制覇となる6歳せん馬。去年のこのレースは8着でしたが、11月にアケダクトでレッド・スミス・ハンデ(芝GⅢ)に優勝。今年1月にもジョン・B・コナリー・ターフ・カップ(芝GⅢ)に勝ち、前走エルクホーン・ステークス(芝GⅡ)では3着でした。次走はアーリントン・ミリオンになるでしょう。ブラーヴォ騎手はこのレース、6年間で4勝目と大当たり。
最後はサンタ・アニタ競馬場の2鞍。先ずサン・カルロス・ステークス San Carlos S (GⅡ、3歳上、7ハロン)ですが、去年は3月12日に4歳上の条件で行われていたもの。今年は fast の馬場に僅か5頭立てとなり、前走ローン・スター・パーク・ハンデ(GⅢ)を含めて2連勝中のダンジング・キャンディー Danzing Candy が1対5の圧倒的な1番人気。
格が違うとばかりにスタートから先手を取ったダンジング・キャンディー、一旦は3番手を進んだ2番人気(2対1)のランソム・ザ・ムーン Ransom the Moon に並ばれるも、内ラチ沿いに差し返し、首差ながら人気に応えました。最後方から追い込んだ去年の勝馬で3番人気(7対1)のコービーズ・バック Kobe’s Back が6馬身半差の3着と順当。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のダンジング・キャンディーは、これで3連勝。去年はサン・フェリペ・ステークス(GⅡ)に勝ち、サンタ・アニタ・ダービーが4着、ケンタッキー・ダービーに駒を進めたものの15着と大敗していました。次走はデル・マー開催のパット・オブライエン・ステークス(GⅡ)になる由。
そして土曜日の最後、ウイルシャー・ステークス Wilshire S (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。去年施行されなかったレースで、今年は firm の馬場に6頭立て。前走ここサンタ・アニタのモンロヴィア・ステークス(芝GⅡ)で5着したエノラ・グレイ Enola Gray がイーヴンの1番人気。
このレースもスタートから先手を取ったエノラ・グレイ、3番手を進んだ4番人気(7対1)のマダム・ストライプス Madame Stripes に2馬身差の逃げ切り勝ちとなりました。2番手をマークした3番人気(4対1)のジューノ Juno が更に3馬身半差で3着。
フィリップ・ダマト厩舎、フラヴィアン・プラット騎乗のエノラ・グレイは、去年の年末にG戦初挑戦となったラ・ブレア・ステークス(GⅠ)で3着。今期はやはりサンタ・アニタで一般ステークスに2連勝し、前走がモンロヴィアでした。
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