2011クラシック馬のプロフィール(2)

昨日に続いてクラシック勝馬の血統ウォッチング、1000ギニーを制したブルー・バンティング Blue Bunting を紹介しましょう。レースのレポートでも少し触れたように、陣営ではオークス向きの血統と見ている一頭です。果たしてそうか。

ブルー・バンティングは父ダイナフォーマー Dynaformer 、母ミアリクサ Miarixa (2001年、芦毛)、母の父リナミックス Linamix という血統です。
ダイナフォーマーはアメリカで供用されているロベルト Roberto (ダービー馬)の後継馬で、その産駒の多くはアメリカで走っています。ケンタッキー・ダービー馬バルバロ Barbaro が代表的な一頭。
ダイナフォーマー産駒はヨーロッパにも多く、去年の牝馬クラシック戦線を沸かせたレインボウ・ヴュー Rainbow View が記憶に新しい所です。イギリスでは産駒の平均勝距離が凡そ2000メートル、スタミナ系に分類しても良いでしょう。去年はフランスを代表してアメリケン Americain が長距離戦のメルボルン・カップに勝って、長距離系種牡馬ダイナフォーマーの名声を高めました。

さてブルー・バンティングの牝系。
母ミアリクサは未出走馬で、競馬の実績はありません。ブルー・バンティングは、その3番仔に当たります。
ミアリクサの初産駒デスカロ Descaro (2006年、せん、芦毛、父ドクター・フォン Dr Fong)は英国で走っている完全なステイヤーで、冬場は障害レースにも出走しています。平馬では3200メートルを超える距離に勝鞍があり、今年も現役で、先月ポンテフラクト競馬場の長距離戦に勝ったばかり。デスカロの父ドクター・フォンもロベルト系ですから、ブルー・バンティングとは極めて近い配合となります。

ミアリクサの2番仔はジアリクサ Giarixa (2007年、牡、黒鹿毛、父ガルチ Gulch)といい、アメリカで現役の競走馬のようです。詳しい成績は不明ですが、6戦1勝(今現在)という記録もあります。

次に2代母ミセス・アルカーダ Mrs Arkada (1991年、鹿毛、父アカラッド Akarad)。この馬からはフランスが舞台、9戦2勝の成績で、サンタラリ賞(GⅠ)3着の実績があり、その年の牝馬クラシック戦線を賑わした一頭でもあります。
ミセス・アルカーダの産駒で先ず注目されるのがミスター・キック Mister Kick (1997年、せん、芦毛、父リナミックス)でしょう。父がリナミックスであることから、ブルー・バンティングの母と良く似た配合ですね。ミスター・キックはパターン・レースの勝鞍こそありませんが、ベルトー賞とリュテース賞という共に3000メートルのGⅢ戦で3着の実績があります。つまり完全なステイヤー。

他にミセス・アルカーダからはリラ賞(リステッド、1600メートル)に勝ったマルク・ロワイヤル Marque Royale (1998年、牝、鹿毛、父ロイヤル・アカデミー Royal Academy)、スペインで27戦6勝し2200メートルのリステッド戦(アンダルシア大賞典)で2着しているパントル・アルカ Peintre Arka (2003年、父パントル・セレブル Peintre Celebre)が出ています。

3代母ミセス・アニー Mrs Annie (1981年、栗毛、父ボルコンスキ Bolkonski)も5戦1勝ながらダレンベルク賞(GⅢ)で3着した馬で、その産駒にも2頭のパターン・レース勝馬がいます。
即ち、シュマン・ド・フェル・デュ・ノール賞(GⅢ、1600メートル)に勝ったミスター・シシー Mister Sicy (1986年、牡、栗毛、父シシオス Sicyos)と、デ・シェーヌ賞(GⅢ、1600メートル)に勝ったマニマックス Mannimax (1993年、牡、芦毛、父リナミックス)。

更に遡れば、4代母ミス・サテン Miss Satin (1975年、鹿毛、父サタンゴ Satingo)は、1978年のジャック・ル・マロワ賞(GⅠ、1600メートル)を制したミス・サタミクサ Miss Satamixa の母となり、
5代母ミス・スカイスクレイパー Miss Skyscraper (1967年)はケンプトン競馬場の1000ギニー・トライアル(7ハロン)に勝ち、イタリアのパターン・レース勝馬を出した、という具合です。

ブルー・バンティングの牝系を総括すれば、長年フランスでクラシック戦線を賑わしてきたファミリーであり(フランソワ・ブータン師、アンドレ・ファーブル師が多く管理してきました)、特にリナミックス(仏2000ギニーに勝ったマイラー)との配合で優れた馬を出してきたことが目を惹きます。
スタミナについては、確かに近年はステイヤー系種牡馬との配合で長距離を得意とする馬が出ていますが、基本的には1マイルを適距離とする伝統のあるファミリーだとも感じられましょう。
ブルー・バンティングが厩舎の期待通りオークスでもスタミナを活かせるか否か。デットーリ騎手の手綱捌きにも大いに注目が集まるところ。

ファミリー・ナンバーは、4-n。

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