アビーが戻ってきた
チェスター・メイ・ミーティングの最終日、パターン・レースは2鞍です。
先ずダービー・トライアルの一鞍、ディー・ステークス Dee S (GⅢ、3歳、1マイル2ハロン75ヤード)。
6頭立て。2対1の1番人気は4戦3勝のグレンズ・ダイアモンド Glen’s Diamond 。パターン・レースは初出走で格上挑戦となりますが、前走マッセルバラのハンデ戦に勝って3連勝中の成長株。
レースは2番人気のマカラート Maqaraat が逃げ、グレンズ・ダイアモンドは4番手に付ける展開。終始外を回って追い上げ、直線でマカラートを捉えると2馬身4分の1差を付けて期待に応えました。
逃げ粘ったマカラートが2着、ハナ差でティンカータウン Tinkertown が3着。2・3着は共に芦毛ですが、2着はまだ黒ずんだ毛色、3着は既に真っ白の馬体です。
勝ったグレンズ・ダイアモンドは、リチャード・ファヘイ厩舎、ポール・ハナガン騎乗で、ハナガンのコメントでは大変乗り易い馬。いずれはステイヤーに成長することを期待している由で、ファヘイ師も将来的にはメルボルン・カップを目指す馬に育てたいと同調しています。
チェスター最後のパターン・レースは、長距離のオーモンド・ステークス Ormonde S (GⅢ、4歳上、1マイル5ハロン89ヤード)。
5頭立て。イーヴンの1番人気には、G勝ちの実績は無いながら昨年秋にリステッドを2連勝し、これがシーズン初戦となる上がり馬ハリス・トゥイード Harris Tweed です。
そのハリス・トゥイードが果敢に先頭でレースを主導しましたが、4番手を進んだセント・ニコラス・アビー St Nicholas Abbey が最後のコーナーで仕掛けると、後は独走体勢に。最後は後方から追い込んだアライド・パワーズ Allied Powers を9馬身ぶっちぎる圧勝でした。
更に1馬身半差3着が本命ハリス・トゥイード。
セント・ニコラス・アビーは11対8の2番人気でしたが、2歳時にはGⅠのレーシング・ポスト・トロフィーに勝ち、去年の2000ギニーで圧倒的本命に支持された(結果は6着)馬。クラシック敗退の後長期休養し、久々となった先月のリステッド戦が人気を裏切って3着。実績は文句ない実力馬ですが、能力下降と見做されて1番人気の座を奪われていた格好です。
しかしこの日は文句の付けようのない見事な復活劇。本来の能力を出し切れば、GⅠ路線の王道を歩む器であることを証明しています。good to firm の「良馬場」がこの馬には最も合っているのかも知れません。(これまでは重得意と見做されていました)
エイダン・オブライエンとライアン・ムーアのコンビ、今年のチェスターは正に独り勝ちの様相で、初日のチェシャー・オークス、二日目のパターン・レース・ダブル、そしてフィナーレの圧勝劇と、美味しい所は全部持って行ってしまいましたね。
セント・ニコラス・アビーの今後は白紙ですが、マイル戦に通用するスピードもあり、今回の様に長距離戦もOK。さしあたってはエプサムのコロネーション・カップあたりに出てくるでしょうか。
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