忘れ難きギッシュ賞

月曜日もフランスでパターン・レースが行われました。シャンティー競馬場のギッシュ賞 Prix de Guiche (GⅢ、3歳牡、1800メートル)。
このレース、珍しいことに牝馬には出走資格がありません。シャンティー競馬場は仏ダービー(Prix du Jockey=Club)が行われる舞台で、近年仏ダービーの距離が2100メートルに短縮されたことから、ギッシュ賞の仏ダービー・トライアルとしての性格は一層強まったような感じです。
2007年の勝馬ロウマン Lawman は仏ダービーも連勝しましたし、去年の勝馬ベーカバッド Behkabad は仏ダービー4着の後パリ大賞典を制しています。本番の4週間前ということもあって、ローテーションもピタリ。今年の上位入線組にも注目する必要があるでしょう。

今年は8頭立て。9対10の1番人気に支持されたのは、ウエルザイマー兄弟の持馬で、アンドレ・ファーブル厩舎が送り出す2戦無敗のイヌブリアーブル Inoubliable 。これまでオリヴィエ・ペリエが騎乗してきましたが、ペリエ騎手は土曜日の第4レース(クレオパトラ賞に勝った次のレース)で落馬、脳震盪を起こしたため3日間の休養を余儀なくされていました。乗り替わったのはピエール=シャルル・ブードーという若手。

レースはファーブル厩舎のペースメーカー、オーケリー・ハンマー O’Kelly Hammer の逃げ。イヌブリアーブルは2番手に付けましたが、勝負どころで右前足を骨折、そのままゴールに4番手で流れ込みました。
直ぐにシャンティーの競走馬専門病院で診察の結果、手術の運びになりましたが、今現在術後の経過等は判明していません。いずれにしても競走馬としては再起不能の重傷と思われます。

アクシデントの中、優勝したのは3番手を進んでいたアブソリュートリー・イエス Absolutly Yes 。1馬身差2着がノーベル・ウイナー Nobel Winner 、更に4分の3差3着には Ch’Tio Bilote (*)が入りました。
勝ったアブソリュートリー・イエスは、ヤン・ポルツィエ厩舎の1勝馬で76対10、事故が無くても勝っていた脚色でした。騎乗していたのはファビアン・ルフェーブル騎手。皮肉なことにペリエ騎手と共に一昨日落馬した3人の内の一人でした(もう一人はマクシム・グィヨン騎手)。

当然ながらアブソリュートリー・イエスは仏ダービーに向かいます。2000メートル前後が最も適しているタイプの由。重馬場が向いているので、陣営としては若干の雨があれば尚更、との考え。
あと一か月、シャンティーに雨が降って天も味方してくれるかどうか・・・。

残念ながら競走馬としての生命を絶たれてしまった可能性のあるイヌブリアーブル、これまた皮肉なことに馬名の意味は「忘れ難き」。もしくは「いつまでも心に残る」。馬主ならずとも忘れ難きギッシュ賞になってしまいました。

(*)この馬名を何と読むのか。以前はフランスの競馬動画サイトで確認できましたが、どうやら著作権問題で閉鎖されています。
Ch’ は Champion か Channel の略と思われますが、問題は次の Tio Bilote 。こういう名前のスポーツ選手がいるのかと思って検索を掛けましたが、見当たりません。あるいはテレビ・チャンネルの呼称かとも思いましたが、これもダメ。そもそも何語かも判りません。
あるしはフランス語なら Ch. は「馬」 Cheval の頭文字で、実際に「馬力」の単位としても使われている由。

もし Ch’Tio Bilote が仏ダービーに勝つようなことがあれば、皆必死になってこの馬の読み方を探ることになるでしょうな。

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