リサイタルを終えて
昨日の日曜日、今度はアイルランドのレパーズタウン競馬場で3鞍のパターン・レースです。
先手を切って行われたのが、恐らくこの日最も注目のデリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud Derby Trial S (GⅡ、3歳、1マイル2ハロン)。
このレースに限ったことではありませんが、最近はエイダン・オブライエン厩舎が圧倒的に強いレース。1998年にリスク・マテリアル Risk Material という馬で制してから13年間で8勝というほぼ独占状態が続いています。
とは言いながらレパーズタウン・ダービー・トライアルからエプサム・ダービーを制したのは2001年のガリレオ Galileo 、2002年のハイ・シャパラル High Chaparral 以降は出ていないのも事実です。
今年は7頭が出走、そのオブライエン厩舎は3頭出しで臨みます。1対2の被った人気に推されたのは、陣営のエース格リサイタル Recital 。去年クリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ、10ハロン)に勝って早くからダービー候補と噂されていましたが、シーズン初戦(バリサックス・ステークス、GⅢ)で3着と思わぬ敗退を喫し、ここで改めて真価を問われる形です。
これまでムルタ、ムーアと乗り継いできたリサイタル、今回はキーレン・ファロンを鞍上に迎えて貫録を見せました。ペースメーカーを務めた同厩のリージェント・ストリート Regent Street の2番手。直線で先頭に立つと、頭を上げて内ラチによれる癖を出しながらも、追い上げたメンフィス・テネシー Memphis Tennessee に1馬身半差を付けて優勝。逃げたリージェント・ストリートが更に1馬身半差3着に入り、オブライエン厩舎のワン・ツー・スリー達成です。
オブライエン師によれば、リサイタルは先頭に立つと気を抜く癖がある由。それが頭を上げたり、内に持たれたりすることに繋がるのでしょうか。
リサイタルは勝つには勝ちましたが、ブックメーカー各社の目には内容は様々に映ったようです。陣営はダービー出走を宣言しましたが、オッズは6対1から7対1といったところ。10年ぶりにこのトライアルからダービー馬が出るかに注目しましょう。
続いて行われたデリンスタウン・スタッド・1000ギニー・トライアル・ステークス Derrinstown Stud 1000Guineas Trial S (GⅢ、3歳牝、1マイル)。トライアルといっても英1000ギニーは既に終わっていますから、愛1000ギニーのトライアルです。
ここは大荒れでした。
1頭取り消しで9頭が出走。ブレンダーガスト厩舎の無敗馬(1戦1勝)ハンダッサ Handassa が11対4の1番人気になりましたが、勝ったのは33対1のバリーバッカ・レディ Ballybacka Lady 。1馬身4分の3差2着がサファイア・ペンダント Sapphire Pendant 、更に4分の3馬身差3着にダンス・セクレタリー Dance Secretary の順。本命ハンダッサは4着に終わりました。
勝ったバリーバッカ・レディーは、これが既に7戦目。去年の9月、5戦目で未勝利を脱し(ダンダルク競馬場)、今シーズンも前走の一般戦(これもダンダルク競馬場)で8頭立て6着と奮わなかった馬。33対1のオッズも当然だったでしょう。
管理するパット・ファヘイ調教師にとってもステークス初勝利となります。勝利騎手はフラン・ベリー。レースのタイトルのように、陣営は愛1000ギニーへの挑戦を表明しましたが、出されたオッズは相変わらず33対1というもの。
この日最後のパターン・レースは、古馬のためのアメジスト・ステークス Amethyst S (GⅢ、3歳上、1マイル)。3歳上といっても3歳馬の出走はありませんでした。
6頭立て。1対6という一本被りの大本命に支持されたフェイマス・ネイム Famous Name が、オッズに相応しい勝ち方で楽勝しています。
2着は7馬身の大差が付いてアクロス・ザ・ライン Across The Rhine 、首差3着にファイティング・ブレイヴ Fighting Brave の順。
フェイマス・ネイムがこれほど人気を集めたのは同馬がレパーズタウン競馬場を滅法得意にしているからで、今回がこのコース8勝目。去年のこのレースも制しています(短頭差)から、2連覇達成ですね。
去年の秋から通算すれば、3連勝のあとアイリッシュ・チャンピオン・ステークスの最下位負けを挟んで再び3連勝。今回もパット・スマーレン騎乗、ゴールまであと2ハロンで先頭に立つと、後は他馬を引き離す一方でした。
同馬は彼のカーリッド・アブダッラーの所有馬、デルモット・ウェルド師が管理する6歳馬で、3歳時にはフランス・ダービー2着(勝馬はヴィジョン・デ・タ Vision D’Etat)という実績もあります。
去年はケープ・ブランコ Cape Blanco のどん尻に敗れたアイリッシュ・チャンピオンですが、今年こそ雪辱を狙って再挑戦する予定です。
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