戻ってきたフューチュリティーとメイトロン

独立記念日の前日、3連休の中日は3場の5レースという、比較的落ち着いたプログラムです。そろそろ2歳馬のG戦が本格句的に始まるのがこの時期の楽しみで、日曜日はニューヨーク州最初の2歳G戦が行われました。

最初にアーリントン・パーク競馬場のシカゴ・ハンデキャップ Chicago H (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。このレースの歴史等はよく判りません。歴代勝馬のリストを見る限り、2000年から行われているようですが。
今年の勝馬はデヴィル・バイ・デザイン Devil by Design 。8頭立て。4番手から抜け出し、後方から追い込むラ・ロッカ La Rocca を1馬身4分の3馬身抑えて優勝。これが今シーズンのデビュー戦でしたが、7ハロンの距離では7戦5勝と相性の良さを見せ付けました。
調教師はウイリアム・モット、騎手はコーリー・ナカタニ。

続いてベルモント・パーク競馬場は3鞍。先ずはフューチュリティー・ステークス Futurity S (GⅡ、2歳、6ハロン)。「Futurity」は「将来の」という意味で、次の年のクラシックを戦う馬たち、即ち2歳馬のレース全般を指します。世界中に「フューチュリティー」があるため、これは特にベルモント・フューチュリティーとも呼ばれる一戦。1888年創設の歴史を持ち、グレード制が導入された当初からGⅠ格に位置していましたが、2004年からGⅡに格下げ。去年はレースそのものが開催されず、2年振りに新しい形で戻ってきました。これまでは秋に開催されてきましたが、次のメイトロンと共に今年から7月第1週に繰り上げ。これに伴い、距離も従来の7ハロンから6ハロンに短縮されています。
今年の勝馬はジャックス・イン・ザ・デック Jack’s in the Deck 。6頭立て。前半は3~4番手に待機、直線入り口では内ラチ沿いの経済コースを通って抜け出し、逃げたティーム・シックス Team Six に4馬身差を付ける圧勝。14対1の番狂わせを演出しました。未だ未勝利馬で、これが2戦目での初勝利というのも最低人気だった原因でしょう。
調教師はロビン・グレアム、師としては今春/夏のベルモント開催での初出走の競馬でした。騎手はジョー・ブラーヴォで、同馬には初騎乗でした。

二つ目は若駒牝馬のメイトロン・ステークス Matron S (GⅡ、2歳牝、6ハロン)。これは牝馬版のフューチュリティー。メイトロンとは「既婚婦人」の意味で2歳牝馬戦にはそぐわない様な気もしますが、フューチュリティー同様に歴史の古いレースで創設は1892年。これまたGシステム当初からGⅠ格でしたが、2007年以降はGⅡに降格。7月開催に代ったのは今年から。フューチュリティー同様去年は開催されず、距離も1ハロン短くなって2年振りの復活です。
今年の勝馬はミリオンリーズンズホワイ Millionreasonswhy 。6頭立て。6頭が一団、出入りの激しいレースで、直線入り口で2頭の外を通って抜け出したミリオンリーズンズホワイが、セイ・ア・ノヴェーナ Say a Novena に2馬身差を付けて優勝。コロニアル・ダウンズからの遠征でキッチリ答えを出しました。勝ち時計は牡馬のフューチュリティーより速いタイムが出ています。前走コロニアル・ダウンズで新馬勝ち、これが2戦目での連勝。
調教師はイグナシオ・コレラス、騎手はジョン・ヴェラスケス。

最後にベッド・オー・ロージズ・ハンデキャップ Bed o’Roses H (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。1957年創設、本来はアケダクト競馬場のレースですが、今年はベルモントで行われます。レース名のベッド・オー・ロージズは、1949年のチャンピオン2歳牝馬で競馬殿堂入りした名牝の名。
今年の勝馬はタマリンド・ホール Tamarind Hall 。7頭立て。スタートが一番良かったタマリンド・ホール、一旦は3番手に下げましたが、直線入り口では先行する2頭の間を割って進出、最後は2着キッド・ケイト Kid Kate に5馬身4分の1差を付ける大楽勝でした。15対1の穴馬だったことが信じられないような強さ。上位は全て人気薄という大穴馬券。勝馬は、これがG戦のデビューでした。
調教師はジェレミア・エンゲルハード、師自らが2着狙いだったことを正直に告白しています。調教師も驚くサプライズ。騎手はデヴィッド・コーエンでした。

雨のモンマス・パーク競馬場からはジャージー・ショア・ステークス Jersey Shore S (GⅢ、3歳、6ハロン)。1992年にアトランティック・シティー競馬場に創設されたレースですが、1997年に現在のモンマスに移行しました。
今年の勝馬はフラッシュポイント Flashpoint 。4頭立て。前半は2番手でしたが、先頭に立ってからは独走。7馬身差2着にはポツンと最後方を進んだシー・ジェイ・ラッセル C J Russell が飛び込んでいます。前走はプリークネス・ステークスという実力馬、短距離戦に戻ってはスピードが違うとばかりに貫録を見せつけ、圧倒的人気に応えました。これで5戦3勝、目標はあくまでも3歳短距離の王者でしょう。
調教師はウェスリー・ワード、騎手はカーネリオ・ヴェラスケス。

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