感動を呼んだケンタッキー・カップ

今年から拙ブログに新カテゴリー「アメリカ競馬」を設けましたが、早いものでもう4分の3が経過しました。残り3か月、競馬をウォッチングしていると、1年が経つのはあっという間だということが改めて実感されます。
その9月、デラウエア競馬場ではハプニングもありました。それは後述するとして、いつものようにスタートしましょう。

最初はベルモント・パーク競馬場のギャラント・ブルーム・ハンディキャップ Gallant Bloom H (GⅡ、3歳上牝、6.5ハロン)。1994年創設。レース名のギャラント・ブルームは、1968年に2歳牝馬チャンピオン、翌1969年にはチャンピオン3歳牝馬と同時に最優秀牝馬にも選出された名牝。
今年の勝馬はポムロイズ・ピストル Pomeroys Pistol 。6頭立て。前半2番手、第4コーナーで先頭に立ち、直線では独走。2着タマリンド・ホール Tamarind Hall に4馬身差の圧勝劇。古馬に初挑戦で勝利したポムロイズ・ピストル、ブリーダーズ・カップ・フィリー・アンド・メア・スプリントに視界良好です。
調教師はエイミー・タラント、同馬に初騎乗のハヴィエル・カステラノ騎手は、この日5勝の固め打ち。

さて問題のデラウエア・パーク競馬場で行われる予定のケント・ステークス Kent S (芝GⅢ、3歳、9ハロン)。1999年創設の歴史の浅いレース。レース名のケントは、デラウエア州を構成する郡の一つ。
ところが今年は雨のため芝コースが使えず、メインのダートコースに変更されました。これに伴い、格付けもGから外され、一般のステークスに変更されてしまいました。一応結果だけ記録しておくと、当初13頭立ての予定が6頭立てに激減。。勝馬はアイム・ステッピンイット・アップ I’m Steppin’It Up 、逃げ切り勝ち。2馬身差2着がキング・コンジー King Congy 。
勝馬の調教師はアンソニー・ペコラノ、騎手はジェレミー・ローズでした。ペコラノ調教師は、これが記念すべき1000勝目に当たるのだそうです。

アメリカではこうしたことが時々起きるのですが、Gの格付けはあくまでも予定されたレース条件でのもの。芝のG戦でもダートに変更されればGではなくなるという理屈でしょう。

続いてはパークス・レーシング競馬場のペンシルヴァニア・ダービー Pennsylvania Derby (GⅡ、3歳、9ハロン)。1979年創設当時はコースそのものがキーストーン競馬場と呼ばれていました。パークス競馬場最大の呼び物レースで、1981年からGⅢ戦に格付けされ、2004年に現在のGⅡに昇格。以前はメモリアル・デイやレーバー・デイに行われていましたが、去年から9月末に移行され、ブリーダーズ・カップへのステップとしての意味合いが強くなりました。
今年の勝馬はトゥー・オナー・アンド・サーヴ To Honor and Serve 。9頭立て。前半は2番手、逃げ馬が楽と見て、向正面で外から並び掛け直線入り口で先頭。直線で安全圏にリードを広げ、追い込むベルモント・ステークス勝馬ルーラー・オン・アイス Ruler On Ice に2馬身4分の1差を付けて優勝、見事1番人気に応えました。勝ち時計はステークス・レコードだそうです。シーズン当初から期待されていましたが、漸くここに来て本格化、3歳チャンピオンを争う逸材と言えましょう。次走はブリーダーズ・カップ・クラシックになる予定とか。
調教師はウイリアム・モット、騎手はホセ・レズカノ。

最後にケンタッキー州のターフウェイ・パーク競馬場。9月末は「ケンタッキー・カップ」を冠にした競馬祭りで、各ジャンルにグレード・レースが組まれる一日でした。
最初は第8レースのケンタッキー・カップ・スプリント Kentucky Cup Sprint (GⅢ、3歳、6ハロン)。1994年創設。過去にこのレースの勝馬でブリーダーズ・カップ・スプリントを制したのはリレイズ Reraise とケイジュン・ビート Cajun Beat の2頭。これも去年は中止となり、2年振りの復活。
今年の勝馬はマシューズバーグ Matthewsburg 。11頭立て。スタート直後は後方から2番手も、徐々に進出して直線入口では4頭の外を通っての差し切り勝ち。2着フィリップ Philippe に2馬身4分の1差。G戦は初勝利です。
調教師はマイケル・メイカー、騎手はヴィクター・レブロン。

続いて第9レース、ケンタッキー・カップ・ディスタフ Kentucky Cup Distaff (GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。1986年創設。2007年まではブリーダーズ・カップ・ステークスと呼ばれていたレースで、一連のブリーダーズ・カップ・プログラムに組み込まれていました。去年は都合で開催されませんでしたが、今年は復活しています。
今年の勝馬はラ・グラン・バイラドラ La Gran Bailadora 。7頭立て。前半は大きく置かれた最後方。3~4コーナーの間で一気に加速し、直線で早目先頭のべラ・メダリア Bella Medaglia を1馬身差し切り、鮮やかな追込み勝ち。ここターフウェイのポリトラック・コースでは6戦4勝と相性の良さを見せ付けました。G戦は初勝利。
調教師はスプリントに続きマイケル・メイカー、騎手はコーリー・ラネリー。実はこの日、G戦ではないもののケンタッキー・カップ・ジュヴェナイルも行われ、ハンセン Hansen でこれを制したメイカー師は、ステークス3連勝を達成しています。

最後は第10レースのケンタッキー・カップ Kentucky Cup (GⅡ、3歳上、8.5ハロン)。1994年に当競馬場の「ケンタッキー・カップ・デイ」のメインとして創設。ケンタッキー・カップ・クラシック・ステークスと言う名称でしたが、去年は経済危機の影響で中止。今年からウインスター牧場の援助で再開されることになりました。
今年の勝馬はフューチャー・プロスペクト Future Prospect 。8頭立て。前半は2番手に付け、向正面で先頭を奪うと、最後はジェネラル・クォータース General Quarters との叩き合いを制し、4分の3馬身差で優勝。
調教師ドドソン・スカッグス(76才)にとっても調教師生活42年にしてG戦初勝利、現在では管理馬はフューチャー・プロスペクト唯1頭だそうで、真に感動的なケンタッキー・カップになりました。皮肉なことに同馬は、以前はメイカー調教師(この日5勝)が管理していた馬とのこと。偶然とは言いながら、“事実は小説より奇なり”を地で行った結果でもありました。騎手はエドガー・プラード。

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