2011ジュライ・ミーティング初日

昨日からニューマーケット競馬場の夏開催、ジュライ・ミーティングが始まっています。ギニーが行われるロウリー・マイル・コースではなく、夏場の舞台はその名もジュライ・コース。
どちらのコースも長距離戦(1マイル4ハロン以上)ではスタート地点が同じですが、直線コースは途中から別れ、言わば蟹の爪のような形状になっているのがニューマーケット競馬場。ジュライ・コースのゴールは南側です。
昔は「お結び」型のセフトン・コース、国道を隔てて東側のナショナル・ハント・コース、タウン・プレートというレースだけに使われるラウンド・コースもありましたが、現在ではロウリー・マイルとジュライ・コースがニューマーケットの中心と言えるでしょう。他に調教コースが何本もある、正に競馬の街ですね。

今年は、去年とは初日と二日目の番組が入れ替わっているのが特徴で、初日のパターン・レースは3鞍が組まれていました。アスコットとは違ってパターン戦のみ、レース順に紹介していきましょう。
この日は雨、馬場状態は good で、日本なら重馬場と言ったところ。中継の映像を見ると、関係者の多くはコートを着ていて寒そう、猛暑の日本からは羨ましくも感じられます。ニューマーケットから見れば、日本は暖かくて良いな、ということでしょうが。

先ずは去年からパターン・レースに格上げされたバーレーン・トロフィー Bahrain Trophy (GⅢ、3歳、1マイル5ハロン)。最後のクラシックであるセントレジャーに向けたトライアルに位置付けられるG戦です。

6頭が出走。1番人気には2対1で2頭、ダービー8着のマスクド・マーヴェル Masked Marvel と新星センサス Census が肩を並べていました。
そして結果もこの2頭のマッチ・レース。前半はハリケーン・ヒギンズ Hurricane Higgins が逃げましたが、レース半ばからマスクド・マーヴェルが替って先頭。そのまま差を広げて逃げ切るかと思われた時、ライアン・ムーアの剛腕に奮い立ったセンサスが鋭く追い込み、並び掛けたところがゴール。
結果マスクド・マーヴェルがセンサスの追い込みを頭差凌いでいました。3着は4馬身差が付いてザイン・アル・ボルダン Zain Al Boldan 。

マスクド・マーヴェルはジョン・ゴスデン厩舎所属、主戦騎手ウイリアム・ビュイックが騎乗停止中のため初日は乗れず、ジミー・フォーチュンが騎乗していました。フォーチュンは、ゴスデン厩舎の以前の主戦騎手。同厩舎の馬には16か月振りの騎乗でした。
当然ながら1・2着馬共にセントレジャーの有力候補。勝ったマスクド・マーヴェルはレジャーに直行する予定で、オッズも14対1に急上昇です。

続いては2歳戦のジュライ・ステークス July S (GⅡ、2歳、6ハロン)。1頭取り消して7頭が出走してきました。
6対4の1番人気は、ロイヤル・アスコットのコヴェントリー・ステークスでパワー Power の2着したローマン・ソルジャー Roman Soldier 。同じロイヤル・アスコットでウインザー・キャッスル・ステークス(リステッド)を制したフレデリック・エンゲルス Frederick Engels も7対4で差のない2番人気に続きます。

ここも結果は順当。バノック Bannock の逃げを本命ローマン・ソルジャーが2番手でマーク。後方待機したフレデリック・エンゲルスが先行2頭の間を割って抜け出し、最後はローマン・ソルジャーに1馬身差を付ける快勝です。3着は首差でバノックの逃げ残り。

フレデリック・エンゲルスはデヴィッド・ブラウン厩舎、今回はエディー・エイハーンに乗り替わりで、これで3連勝。通算成績を5戦3勝とし、ヨークのジムクラック・ステークスからフランスに遠征する計画です。

初日の最後はプリンセス・オブ・ウェールズ・ステークス Princess of Wales’s S (GⅡ、3歳上、1マイル4ハロン)。

2頭の取り消しがあり、8頭立て。2対1の1番人気に支持されたレッドウッド Redwood は今季2戦目、ドバイのシーマ・クラシックではリワイルディング Rewilding の2着でしたが、そのリワイルディングが先のロイヤル・アスコットでソー・ユー・シンク So You Think に逆転勝ちしたのが記憶に新しい所。実績から当然の本命でしょう。

レースはブーセレージ Buthelezi の単騎逃げ、スタンドから遠い側のラチ沿いに引っ張ります。他馬は一団となってコース中央を追走、騎手の駆け引きが面白い展開になりました。
残り3ハロン、馬群が次第に外ラチのブーセレージに寄りながら同馬を吸収。その中から楽な手応えで抜け出したのは、後方から二つ目を進んだ4対1の2番人気クリスタル・カペラ Crystal Capella 。見る間に他馬を引き離し、追走する本命馬レッドウッドに8馬身の大差を付ける圧勝でした。3着は更に6馬身遅れて、一旦は馬群に沈んだブーセレージの差し返し。

クリスタル・カペラはサー・マイケル・スタウト厩舎、ライアン・ムーアのコンビの6歳牝馬。故障がちのためレース数が少なく、これが未だ12戦目と言う戦績です。
3歳時には5連勝してプライド・ステークス(ニューマーケットのGⅡ)を制覇、4歳時には僅か2戦ながらミドルトン・ステークス(GⅢ)でダー・レ・ミ Dar Re Mi を破ったほどの馬。
その年のプライド・ステークスはアシャランダ Ashalanda の2着でしたが、5歳時には僅か1戦のプライド・ステークスを二度目の制覇。今季は前走ヘイドックのリステッド戦4着し、ここで牡馬にも挑戦してきました。

馬体が大きく、仕上げに時間が掛かる馬、スタウト師の手腕も然ることながらオーナー(サー・イヴリン・ド・ロスチャイルド)、の忍耐強さも特筆モノ。普通ならとっくに繁殖入りしている牝馬を現役に留めている勇気は大いに賞賛されるべきでしょうね。
この後は愈々GⅠのヨークシャー・オークスを目指すことになりそうです。

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