2012ドンカスター・セントレジャー開催3日目

ドンカスターの3日目、パターン・レースは3鞍。全てGⅡ戦です。先ずは2歳の最短距離で行われるフライング・チルダース・ステークス Flying Childers S (GⅡ、2歳、5ハロン)から。この日の馬場は good 、9頭が出走してきました。
7対4の1番人気は、ここ2戦フランスに遠征してロベール・パパン賞(GⅡ)、モルニー賞(GⅠ)で夫々2・4着、レックレス・アバンドン Reckless Abandon 相手に善戦してきたサー・プランスロット Sir Prancealot です。ここまで先行しながら最後に捉まるレースが続いていましたが、5ハロンの距離と相手関係から力が上という評価でしょう。

レースはスタンド側のラチ沿いの2頭と、馬場中央の7頭に割れる展開。1番枠スタートのバングル・インザジャングル Bungle Inthejungle が馬場中央を通って先頭に立ち、残り1ハロンまで粘っていましたが、これをマークして進んだ本命サー・プランスロットが外から交わし、バングル・インザジャングルに半馬身差を付けて期待に応えました。4分の3馬身差で3着は後方から追い込んだサウンド・オブ・ガンズ Sound Of Guns 。

サー・プランスロットはリチャード・ハノン厩舎。フランス遠征に先立ってロイヤル・アスコットではコヴェントリー・ステークス(GⅡ)に出走、ドーン・アプローチ Dawn Approach の4着しており、2歳2強と対戦してきたスピードはここでは1枚上であることを証明して見せました。騎乗したのは、先日アガ・カーンと袂を別ったばかりのジョニー・ムルタです。
ここまで5ハロンを中心に使われてきましたが、陣営では6ハロンも克服できると判断、次走はミドル・パーク・ステークスになると思われます。将来も短距離系で、クラシックに向かう血統ではないでしょう。

続いては好対照の長距離戦、伝統あるドンカスター・カップ Doncaster Cup (GⅡ、3歳上、2マイル2ハロン)。セントレジャーより10年も古い1766年創設ですが、戦争などによる中断が多かったため、今年は奇しくもセントレジャーと同じ第236回目を迎えました。
10頭が出走、去年の覇者サドラーズ・ロック Sadler’s Rock が11対4の1番人気に支持されています。続いては今年のアスコット・ゴールド・カップを制したカラー・ヴィジョン Colour Vision が10対3の2番人気。去年のセントレジャー以来勝星から遠ざかっているマスケッド・マーヴェル Masked Marvel も初めてブリンカーを装着して臨みましたが、9対1の5番人気に留まっていました。

レースはアーイム・トゥー・プロスパー Aaim To Prosper の逃げ、淡々としたペースで直線に入ります。ここで最後方を進んでいたネヴァー・キャン・テル Never Can Tell が故障を発症して競走中止。2番手でマークしていたカラー・ヴィジョンが一旦は先頭に立ちましたが、中団6番手の内々に待機していた3番人気(5対1)のタイムズ・アップ Times Up が抜け出し、仕掛けを遅らせて猛追するハイ・ジンクス High Jinx を首差抑えて優勝。先行グループで粘ったハリケーン・ヒギンズ Hurricane Higgins が1馬身4分の1差で3着に食い込みました。本命サドラーズ・ロックも伸びては来ましたが5着まで。カラー・ヴィジョンは7着に沈み、マスケッド・マーヴェルも8着と精彩を欠いています。

タイムズ・アップは前走ヨークのロンスデール・カップ(GⅡ)に続く2連勝。ヨークでもハイ・ジンクスが2着でしたが、その時は2馬身4分の1差。前回も今回も両馬は同斤量を背負っていましたから、2着馬の成長が目に留まった印象です。今年6歳のタイムズ・アップ、4歳時にはドンカスターでノヴェンバー・ハンデにも勝っていますから、コースとの相性も勝因の一つでしょう。
タイムズ・アップを管理するジョン・ダンロップ師は、前日に今シーズン限りでの引退を表明したばかり。今期は不調に陥っていましたが、皮肉にもここに来てビッグレースを手中にしました。鞍上はエディー・エイハーン騎手。タイムズ・アップは来年どの厩舎に所属するかは未定ですが、ゴールド・カップに8対1というオッズも出されています。

最後は1マイルの直線コースで争われるメイ・ヒル・ステークス May Hill S (GⅡ、2歳牝、1マイル)。3頭が取り消して7頭立て。ゴドルフィンの2戦無敗馬サーティファイ Certify が4対6の圧倒的1番人気に支持されていました。

レースはラチ沿いにレイヤーダ Reyaadah が逃げましたが、最後方と後ろから2番目に待機していたパー・アロング Purr Along とサーティファイの2頭が外から一気に進出し、最後は2頭の激しい叩き合い。結局は瞬発力上位のサーティファイがパー・アロングを頭差抑えて人気に応えました。この差はどこまで行っても詰まらない感じで、勝馬には着差以上の底力を感じます。3着以下は8馬身の大差が付き、2番人気(6対1)のライト・アップ・マイ・ライフ Light Up My Life が3着。

無敗の連勝記録を「3」に伸ばしたサーティファイは、前走ニューマーケットのスイート・ソレラ・ステークス(GⅢ)に続きパターン・レース連勝。マームド・アル・ザローニ厩舎で、これまでもデットーリではなくミケール・バルザロナとのコンビで勝ち続けてきました。今回は前半がスローで、残り3ハロンのスピード勝負の競馬。来年の1000ギニー候補の1頭で、この勝利によりオッズは10対1に上がっています。
ところでゴドルフィンはこのレース3連覇。一昨年のホワイト・ムーンストーン White Moonstone 、去年のリリック・オブ・ライト Lyric Of Light に続くもので、これまでのデットーリに替ってバルザロナは初制覇。ゴドルフィンにも世代交代の波が近付いているようです。

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