デル・マーも開幕

この記事で不在中の競馬レポートは追い付きます。土曜日アメリカは5場のG戦6鞍、これまでに比べればレースが分散している感のある夏競馬です。

速報性もありませんので、目に入った結果から行きましょうか。最初はアーリントン・パーク競馬場のアーリントン・オークス Arlington Oaks (GⅢ、3歳牝、9ハロン)。何故か去年は施行されなかったレースで、2年振りの復活になります。
ポリトラック・コースは fast 、1頭取り消しの7頭立て。7対5の1番人気には、前走は芝で走ったトレジャー・アップ Treasure Up でした。チャーチルダウンズのリグレット・ステークス(芝GⅢ)で3着だった馬。
しかしレースは、3番人気(7対2)のラ・ティア La Tia の逃げ切り勝ちでした。直線半ばでは6馬身ほどあった差を、最後で4分の3馬身差まで詰めたスカイ・ドリーマー Sky Dreamer が2着、5馬身離れた3着はアイア Ire 。本命トレジャード・アップは6着ブービーに惨敗でした。
勝ったラ・ティアはブライアン・ウイリアムソン師が管理し、これでアーリントンのポリトラックは一般ステークスを含めて3連勝。ダートは勝てませんでしたから、コースとの相性が問題のようです。騎乗したコンスタンチオ・ロマン騎手は、G戦嬉しい初勝利。

次にコロニアル・ダウンズ競馬場から芝の2レース、この日は雨で、馬場は yielding と渋った状態でした。最初のヴァージニア・オークス Virginia Oaks (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)は、今年9回目。7頭立てで行われました。サンズ・ポイント・ステークス(芝GⅡ)3着、ポイリング・スプリングス・ステークス(芝GⅢ)2着と着実に芝のG戦で成績を上げてきているズルタナイト Zultanite がイーヴンの1番人気。
しかし前半2番手に付けていた2番人気(9対5)のヴォルキャット Volcat が3コーナー手前で先頭に立つと、そのまま直線もリードを保って優勝。最後にフィラール・ローロ Filare l’Oro が差を詰めましたが、半馬身届かず2着。更に5馬身4分の1差でスカイ・ホリデイ Sky Holiday が3着。本命ズルタナイトは、馬場に脚を取られたのか5着敗退です。
ケネス・マクピーク厩舎のヴォルキャットは、出走馬中芝の9ハロンでは唯一勝鞍のある馬で、6月22日の前走チャーチルダウンズのレヴェルの高いアローワンス戦を制していました。騎乗したロビー・アルバラドは、同馬には初騎乗。

続く第15回ヴァージニア・ダービー Virginia Derby (芝GⅡ、3歳、10ハロン)。こちらは1頭が取り消し、8頭立て。このところ芝コースで5連勝中のシルヴァー・マックス Silver Max が4対5の断然1番人気に支持されていました。
スタートから先手を奪ったシルヴァー・マックス、向正面で鞍づれを起こしてコントロールを失ったトゥー・マンス・レント Two Months Rent の暴走(結局は競走中止)で一旦はハナを譲ったものの影響は全く無く、2着ラッキー・チャッピー Lucky Chappy に1馬身差で期待に応えました。3着は半馬身差でフィネガンス・ウェイク Finnegans Wake 。
これで6連勝、通算成績は13戦7勝となりますが、G戦はキーンランドのトランシルヴァニア・ステークス(芝GⅢ)、チャーチル・ダウンズのアメリカン・ターフ・ステークス(芝GⅡ)に続くもの。管理するデール・ロマンス師にとっては3勝目、今回は1・3着の快挙となります。鞍上ロビー・アルバラドは、この日オークス/ダービー・ダブル達成となりました。

続いてデラウエア・パーク競馬場のデラウエア・ハンデキャップ Delaware H (GⅡ、3歳上牝、10ハロン)に行きましょう。ブリーダーズ・カップのレディーズ・クラシックに優先出走権が付与されるステップ・レースです。馬場は fast 、7頭立て。去年のレディーズ・クラシックの覇者で3歳チャンピオン牝馬に選ばれたロイヤル・デルタ Royal Delta が1対2の断然1番人気。チャンピオンを2月にセービン・ステークスで破ったオウサム・マリア Awesome Maria が唯一の相手と見られ、2対1の2番人気で続きます。
レースは伏兵(29対1)ラヴ・アンド・プライド Love and Pride の大逃げ。前半2番手に上がったロイヤル・デルタは、直線で先頭に立ち楽勝と思われましたが、5番手を進んでいたこれまた伏兵(28対1)のティズ・ミズ・スー Tiz Miz Sue が激しく追い上げ、最後は2頭の一騎打ち。それでも最後までハナを譲らなかったロイヤル・デルタが首差でティズ・ミズ・スーを抑えていました。3着は5馬身4分の3差でオウサム・マリア。ラヴ・アンド・プライドも4着に粘っています。
ウイリアム・モット厩舎、マイク・スミス騎乗のロイヤル・デルタは、今シーズンはドバイ・ワールド・カップで9着大敗。前記セービンで2着に負けたものの、前走フレール・ド・リス・ハンデ(GⅡ)は8馬身の圧勝を演じていました。当然ながら、優先出走権を得たレディーズ・クラシックの連覇を目指します。

前日に開幕したサラトガ競馬場からはコーチング・クラブ・アメリカン・オークス Coaching Club American Oaks (GⅠ、3歳牝、9ハロン)。かつてはベルモントのクラシック距離(1マイル半)で行われていましたが、現在はサラトガの9ハロン、以前とはスッカリ様相が変わってしまいました。それでもクラシックであることには違いないのでしょう。fast のコース、6頭立て。1番人気(3対2)はピムリコのブラック・アイド・スーザン・ステークス(GⅡ)を制して以来のレースとなるイン・ランジェリー In Lingerie 。
スタートの良かったヤラ Yara が飛び出し、後続を離して先頭。2番手で追走した3番人気(7対2)のクウェスティング Questing がこれを3コーナーで捉えると、直線は外に膨れながらも2着ゾー・インプレッシヴ Zo Impressive (2対1、2番人気、マザー・グース・ステークス勝馬)に4馬身4分の1差を付ける快勝。本命イン・ランジェリーは更に2馬身4分の1差離される3着に終わりました。
キアラン・マクローリン厩舎のクウェスティングはゴドルフィンの持ち馬。騎乗したイラード・オルティス・ジュニアは、プエルトリコ出身の19歳、去年の11月からプロとして活躍している若手。GⅠは初勝利、もちろん馬にとっても初めてのGⅠとなります。
2歳時は英国のジョン・ゴスデン厩舎に所属していた馬で、G戦もプレスティージ・ステークス3着、オー・ソー・シャープ・ステークス2着の実績があり、BCジュヴェナイル・フィリーズでも5着に入っていました。前走6月24日のアローワンス戦に続く2連勝。

最後にカリフォルニアのデル・マー競馬場。カリフォルニアの夏競馬は、サラトガに先立つこと2日前の7月18日に開幕していましたが、G戦が行われたのはサラトガに1日遅れて昨日の21日から。今開催最初のG戦、第39回エディー・リード・ステークス Eddie Read S (芝GⅠ、3歳上、9ハロン)をレポートしましょう。馬場は firm 、5頭立てと小頭数です。目下6連勝、去年のこのGⅠ戦を制しているアクラメーション Acclamation が1対2の断然1番人気に支持されていました。
スタートから先頭に立ったアクラメーション、そのまま後続を寄せ付けず、直線ではやや外にコースを取りながらも2着インターアクション Interaction に2馬身4分の3差を付ける圧勝で連勝記録を7に伸ばし、エディー・リード2連覇を達成しました。このレースの連覇は史上4頭目だそうな。3着は更に2馬身4分の1差でカジノ・ホスト Casino Host 、2番人気(5対2)に支持されたスリム・シェイディー Slim Shady は5着しんがり負けです。
ドナルド・ウォーレン厩舎、パトリック・ヴァレンズエラ騎乗のアクラメーションは、これでGⅠは5勝目。去年の古馬牡馬のチャンピオンに輝いた同馬は、現在のアメリカの芝戦では間違いなく最強馬と呼べるでしょう。今期もチャールズ・ウィッティンガム・メモリアル(芝GⅠ)に続き2戦2勝と絶好調です。ヴァレンズエラ騎手は、彼のサンデー・サイレンス Sunday Silence のジョッキー、また1頭強力なコンビを得たと言えそうですね。

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