愛オークス、デットーリが雪辱

カラー競馬場から速報が入ってきました。日曜日のパターン・レースは3鞍、先ずはアイルランド・オークス Irish Oaks (GⅠ、3歳牝、1マイル4ハロン)から。

事前に枠順を紹介したように9頭が出走、エプサム・オークス上位馬の再対決に注目が集まっていました。英オークスをスローペースで逃げ切ったダンシング・レイン Dancing Rain 、泥鰌はいつも柳の下には居ない、と見る向きが多かったようで、ここでは5対1の3番人気でした。
そのダンシング・レインを一息捉え切れなかったワンダー・オブ・ワンダース Wonder of Wonders が5対4で1番人気。1000ギニー馬でオークスはペースが合わず、負けを確信した鞍上デットーリがゴール前で止めてしまったブルー・バンティング Blue Bunting は5対2の2番人気。

エプサムで懲りたこともあり、ワンダー・オブ・ワンダースのオブライエン陣営はアメージング・ビューティー Amazing Beauty を、ブルー・バンティングのゴドルフィン陣営はルーム Rumh を夫々ペースメーカーとして送り込んできました。
更にペースメーカーはもう1頭、3強の一角を崩す期待が掛かったバニンパー Banimpire のジム・ボルジャー陣営からもハリケーン・ハヴォック Hurricane Havoc が参加しています。

馬場は yielding to soft 、日本の感覚では重から不良という状態。レースは各陣営の思惑通り3頭のペースメーカーが役割をキチンと果たし、アメージング・ビューティー、ハリケーン・ハヴォック、ルームの順で速い流れを作ります。
大きく離れた有力馬群の先頭は、ムルタ騎乗のダンシング・レイン。これをマークしてリブルスデール・ステークス勝馬のバニンパー、ムーア騎乗の本命ワンダー・オブ・ワンダース、デットーリのブルー・バンティングが追走。

直線入り口で先ず仕掛けたのはダンシング・レイン、それを交わしてバニンパーが先頭に立ち、流れ込みを策します。ワンダー・オブ・ワンダースも外から追い上げますが、馬場が渋く思うように差が詰まりません(ムーア談)。
有力馬の中では最後から進んだブルー・バンティング、内を衝きますが前が壁になり、デットーリは馬を外に出します。バニンパー先頭、勝利はほぼ確定と思われた瞬間、ブルー・バンティングが驚異的な末脚が爆発し、最後の一歩でバニンパーを捉えていました。
1・2着の着差は短頭差。半馬身差3着にワンダー・オブ・ワンダースが続き、以下フラン・ベリー騎手がムチを落としたラーフィング・ラッシズ Laughing Lashes が短頭4着、ダンシング・レインは5着でしたが勝馬との差は2馬身チョッとです。

ゴール前の接戦、デットーリは自分が勝ったかどうかが判らず、バニンパーのケヴィン・マニングに聞いたそうな。“君のが勝っているよ” がマニングの答え。

ブルー・バンティングはマームド・アル・ザローニ師の管理馬、師にとって愛オークス初制覇となります。ランフランコ・デットーリは2001年のライラーニ Lailani 、2003年のヴィンテージ・ティップル Vintage Tipple に続いて3度目。

陣営ではこのあとヨークシャー・オークスに向かうのが自然と考えているようですが、最終的にはオーナーのシェイク・モハメド殿下の決定を待つことになるでしょう。
一方で重馬場の1マイル半で鋭い切れ味を発揮した同馬、セントレジャーの芽も残されていて、最後のクラシックには10対1のオッズが出されました。

この日は他に2鞍のパターン・レースがありました。アングルジー・ステークス Anglesey S (GⅢ、2歳、6ハロン63ヤード)は1頭取り消して7頭立て。牡牝混合戦ですが、牡馬4頭、牝馬3頭という構成です。
11対4の1番人気に支持されたのは、ロイヤル・アスコットのクィーン・メアリー・ステークス4着のファイア・リリー Fire Lily 。先行馬を4番手でマークし、ゴール前1ハロンで抜け出すと、追い込むオブライエン厩舎(ライアン・ムーア騎乗)のアフター After を2馬身半抑えて期待に応えました。
半馬身差3着にはこれもオブライエン軍団(ジョセフ・オブライエン騎乗)のボリス・グリゴリエフ Boris Grigoriev が粘り込んでいます。
日本には「夏は牝馬」というジンクスがありますが、ここも1・2着はいずれも牝馬でした。

勝ったファイア・リリーは、2・3着と同じクールモアの馬ですが、管理するのはデヴィッド・ワッチマン。2008年のブッシュレンジャー Bushranger に続く2度目の制覇。
一方騎乗したウェイン・ローダンはこのレースに縁が深く、ここ5年で4勝目。ワッチマン厩舎の他にトミー・スタック厩舎の馬にも騎乗して2007年から3連覇を果たしています。
ワッチマン師によれば、ファイア・リリーは重馬場で調教されたことが無く、この日の馬場には不安を抱えていた由。来年の1000ギニーに33対1のオッズが出されました。

もう一鞍のG戦はキルポイ・エステート・ステークス Kilboy Estate S (GⅢ、3歳上牝、1マイル1ハロン)。聴き慣れないレース名ですが、それもそのはず、去年まではリステッドに格付けされていた一戦。今年からGⅢに格上げされたレースです。

2頭取り消して11頭立て。有力馬のセータ Seta が取り消したこともあって、2対1の1番人気には仏1000ギニー3着、オブライエン/ムーアのワイルド・ウインド Wild Wind が挙げられました。
しかしワイルド・ウインドは7着惨敗、優勝は7対1のマニエリー Manieree でした。まんまの逃げ切り勝ちで、2着は1馬身4分の3馬身差で追い込んだアガ・カーンのキリンダ Kirinda 。更に半馬身差3着に2番人気のクライム・ソラス Claiomh Solais の順。

マニエリーとキリンダはいずれもジョン・オックス師の管理馬、オックス厩舎のワン・ツー・フィニッシュです。見事な逃げ切りを演じたのはナイアル・マッキュラー騎手、2着にはジョニー・ムルタが騎乗していました。

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