秋に向けて
昨日の日曜日、ヨーロッパではアイルランドとフランスでG戦が2鞍づつ行われました。先ずは愛オークスが終わったカラー競馬場から。
前日と同じ good to firm 、所により firm の馬場で、雨は降っても僅か、固目の馬場が維持されています。
メルド・ステークス Meld S (GⅢ、3歳上、1マイル2ハロン)は1頭が取り消してしまったため4頭立て。今期未だ勝鞍の無いパリッシュ・ホール Parish Hall が11対8の1番人気に支持されていました。
ウェルド厩舎でシー・ザ・スターズ Sea the Stars 産駒の3番人気(10対3)アフタヌーン・サンライト Afternoon Sunlight が逃げ作戦に出ましたが、最後方(と言っても4番手)で待機したパリッシュ・ホールが期待通り伸び、逃げ馬を半馬身交わして優勝。3番手に付けていた2番人気(11対4)のポンフェイ Ponfeigh が3馬身差で3着に入りました。オブライエン厩舎のフェスティヴ・チアー Festive Cheer は負けを受け入れて離されたシンガリ。
ジム・ボルジャー厩舎、ケヴィン・マニング騎乗のパリッシュ・ホールは、今期6戦目で漸く初勝利。前走はカラーのインターナショナル・ステークス(GⅢ)で2着でした。今年5歳になりますが、2歳時にはGⅠのデューハースト・ステークスに勝ったほどの馬。G戦は去年10月のダイアモンド・ステークス(GⅢ)以来3勝目となります。
カラーのもう一鞍は、キルボイ・エステート・ステークス Kilboy Estate S (GⅡ、3歳上牝、1マイル1ハロン)。7頭が出走し、前走休み明けでコロネーション・ステークス(GⅠ)でいきなり4着した3歳馬マイ・ティターニア My Titania がイーヴンの1番人気。
インディゴ・レディー Indigo Lady が逃げ、マイ・ティターニアは5番手を進みましたが休養明け2戦目のためか伸びず、3番手に付けていた2番人気(9対2)のマンゴー・ディーヴァ Mango Diva が抜けると、2番手を渋太く粘っていた3番人気(5対1)ラヒンチ・クラシックス Lahinch Classics との叩き合い。ゴールではマンゴー・ディーヴァが短頭差競り勝っていました。マイ・ティターニアはそれでも半馬身差の3着に残っています。
ライアン・ムーアの剛腕で制したマンゴー・ディーヴァは、ムーアが主戦を務めるサー・マイケル・スタウト師が管理する4歳馬。スタウト/ムーアの英国遠征コンビは去年もこのレースをダンク Dank で制しており、共に2連覇。ダンクはそのあとアメリカにも遠征してBC(フィリー・アンド・メア・ターフ)という大漁を仕留めていますから、マンゴー・ディーヴァも同じ道を歩むでしょう。去年秋にゴウラン競馬場でG戦初勝利、今期はミドルトン(GⅡ、4着)、プリンセス・エリザベス(GⅢ、5着)と使われ、秋に向けて準備は整いました。
一方フランスは、メゾン=ラフィット競馬場の2鞍です。こちらはアイルランドとは対照的な very soft の重い馬場。
ロベール・パパン賞 Prix Robert Papin (GⅡ、3歳牡牝、1100メートル)は5頭立てながら強力メンバーが揃いました。イーヴンの1番人気に支持されたのは、前走ボア賞(GⅢ)を含めて3連勝中の地元馬ゴーケン Goken 。対するは、英国から挑戦してきたクール・カンパニー Kool Kompany 。前走アイルランドに遠征してレイルウェイ・ステークスに勝ち、13対5の2番人気です。
人気の2頭、早くもスタートからハナ争いとなりましたが、結局はゴーケンが制しての逃げ。しかしこれが堪えたか、一旦控えたクール・カンパニーが差し返し、2頭の争いを見ていたこれも英国馬で4番人気(79対10)ストラス・バーン Strath Burn との叩き合い。最後はクール・カンパニーがストラス・バーンを半馬身抑えての英国勢ワン・ツー・フィニッシュ。頭差3着には最低人気(205対10)のリーハイム Lehaim が食い込み、ゴーケンは4着敗退。
勝馬はリチャード・ハノン厩舎、リチャード・ヒューズ騎乗。2着馬はチャールズ・ヒルズ厩舎でジェイミー・スペンサーが騎乗していました。ハノン師は、父ハノンが19年前にラッキー・ライオネル Lucky Lionel で制して以来となる父子ロベール・パパン制覇でもあります。
クール・カンパニーはGⅡ2連勝で通算6戦5勝。ロイヤル・アスコットのコヴェントリー・ステークス(GⅡ)での15頭立て12着が唯一の敗戦ですが、あれは後方待機策が敗因。追ってズブい馬だけに、前での競馬が向いているようです。このあとはモルニー賞かミドル・パーク・ステークスでGⅠを狙う予定。2000ギニーのオッズ、25対1には変化がありません。
最後はユージェーヌ・アダム賞 Prix Eugene Adam (GⅡ、3歳、2000メートル)。6頭が出走し、仏ダービー2着のシャムキール Shamkiyr が6対5で1番人気。
シャムキールのペースメーカーを務めるアガ・カーンのアシュカンド Ashkannd の逃げで始まりましたが、先行していた本命シャムキールは徐々に後退。最後方で待機していた2番人気(8対5)のウエスタン・ヒム Western Hymn が末脚を爆発させると、4番人気(97対10)のアーミー・ブレティン Army Bulletin に3馬身差を付ける圧勝。1馬身半差で3番人気(31対5)のマスター・カーペンター Master Carpenter が3着に入り、シャムキールは4着と期待を裏切りました。
勝ったウエスタン・ヒムは英国のジョン・ゴスデン厩舎、ウイリアム・ビュイック騎乗。この日のG戦は何れも英国勢の勝利に終わりました。前走ダービー6着が同馬の唯一の敗戦で、その前はサンダウンのトライアル(GⅢ)に優勝、そのトライアルでマスター・カーペンターは3着でした。マスター・カーペンターは前走クロエ賞(GⅢ)に勝っており、そのクロエ賞では5着だったアーミー・ブレティンが今回は2着と逆転しています。
これで5戦4勝としたウエスタン・ヒム、未だ1マイル半を超える距離での経験はありませんが、トライアルを経て最後のクラシック、セントレジャーに向かう予定。オッズは8対1が出され、本格化する秋に期待が高まります。
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