サプレーザ3連覇

一昨日から開催されてきた9月末のニューマーケット開催、昨日が最終日でした。メインはケンブリッジシャー・ハンデですが、ここではそれに先立って行われたパターン・レース3鞍を取り上げましょう。

最終日のオープニングはロイヤル・ロッジ・ステークス Royal Lodge S (GⅡ、2歳、1マイル)。去年までアスコットのセプテンバー・ミーティングで行われてきた2歳マイル戦ですが、今年からニューマーケットに移行された一戦。翌春の2000ギニーと同じ距離、同じコースでの開催に変更されたとあって、益々クラシック・トライアルとしての重要度が増してくると思われます。去年はフランケル Frankel が制したこともあり、結果には尚更注目が集まっていました。

最終日も馬場状態は good to firm 、速い時計の出る馬場。1頭取り消して6頭立て。5対2の1番人気に指示されたファハーン Farhaan はここまで3戦2勝、2連勝でここが試金石となります。
レースはダッシュ良く飛び出したダディー・ロング・レッグス Daddy Long Legs の鮮やかな逃げ切り勝ち、11対4の2番人気です。ファハーンは積極的に2番手を追走していましたが、最後は脚を失くして5着と期待を裏切りました。
最後方から勝馬を脅かす勢いで上がってきたロート Wrote も最後は失速、替ってテンス・スター Tenth Star が3馬身4分の1差で2着に入り、更に半馬身差3着がロート。エイダン・オブライエン厩舎のワン・ツー・スリー独占という結果になっています。勝馬にはカーム・オダナヒューが騎乗、2・3着には夫々ウイリアム・ビュイック、ジェイミー・スペンサーが騎乗していました。

勝ったダディー・ロング・レッグスは、2戦目の前走シャンペン・ステークス(ドンカスター、GⅡ)で4着していた馬。2000ギニーには25対1のオッズが提示されました。次走はレーシング・ポスト・トロフィー、ブリーダーズ・カップなどが候補に挙がっているようですが、現時点では全くの白紙だそうです。

続く第2・3レースはいずれも牝馬のGⅠ戦。女の熱き戦いが繰り広げられます。
先ずはチーヴリー・パーク・ステークス Chevely Park S (GⅠ、2歳牝、6ハロン)。9頭が出走し、11対8の1番人気に無敗のベスト・タームズ Best Terms が支持されていたのは依存の無い処でしょう。クィーン・マリー・ステークス(GⅡ)、ラウザー・ステークス(GⅡ)と連勝し、この日の出走馬のうち5頭とは既に決着を付けた存在。ここでGⅠ初制覇を目指します。

しかし断然の本命馬、この日は何が起きたのか、鞍上リチャード・ヒューズ騎手もレース半ばで敗戦を覚悟したように、精彩を欠いて5着敗退です。
レースはサジワー Sajwah とライトニング・パール Lightning Pearl が雁行するような形で先頭に立ち、ベスト・タームズは3番手に待機する展開。
ところがゴール前2ハロンでサジワーが急激に失速し、競走中止。替って先頭に立ったライトニング・パールがそのまま他馬の追撃を振り切っての優勝です。2着には後方からサンデー・タイムズ Sunday Times が鋭く追い込みましたが(あと50ヤードあれば勝っていた、とはビュイック騎手談)半馬身及ばず。更に1馬身4分の1差でエンジェルズ・ウィル・フォール Angels Will Fall が3着。

アイルランドから遠征して本命馬とは初対決となったライトニング・パールは、未知の魅力もあって3対1の2番人気、前走カラー競馬場のタワー・ステークス(GⅢ)に勝った馬です。
同馬を管理するゲール・ライオンズ師と、騎乗したジョニー・ムルタは大の友人の間柄。ライオンズ師にGⅠ初勝利をプレゼントしたムルタも大喜びでした。師は同馬の勝利に確信があったようで、1万4千ポンドの追加登録料も躊躇わずに支払ってここに臨んだ由。1000ギニーには16対1のオッズが出されました。
師によれば、これで今シーズンは終戦。無事に冬を越せば、1000ギニーを目標に仕上げていくとのことです。

最後は古馬牝馬が激突するサン・チャリオット・ステークス Sun Chariot S (GⅠ、3歳上、1マイル)。チーヴリー・パーク同様、去年までは同じニューマーケットのオクトーバー・ミーティングに組まれていたプログラムで、これまでより1週間ほど時期が早まることになります。
8頭立て。ここは13対8の1番人気に支持されたサプレーザ Sahpresa が順当に期待に応えました。

レースは芦毛のストローベリーダイキリ Strawberrydaiquiri がスローに落として逃げる展開。同じニューマーケットのフォルマス・ステークス(GⅠ)ではスローに引っ掛かって2着と追い込み切れなかった経験を活かし、クリストフ・ルメール騎手は早めの4番手に付け、ゴール前2ハロンで思い切ってスパート。少し先頭に立つのが早いようにも見えましたが、結果はこれが奏功し、2着チャチャマイデー Chachamaidee に1馬身差を付ける楽勝。逃げたストローベリーダイキリが4分の3馬身差3着に粘りました。
後方待機組は良いところ無し。フォルマス・ステークスでサプレーザを封じ込めたタイムピース Timeoiece は、速い馬場が合わず8着どん尻負けに終わりました。

フランスのロドルフ(ロッド)・コレ師が管理するサプレーザ、これでサン・チャリオット・ステークスは3連覇という偉業達成。いつもなら最後方から一気の末脚で勝負する馬ですが、フォルマスでの失敗を教訓に今回は戦術を変更してきたようです。
ところでサプレーザの3連覇、全てコレ師の管理であることに変わりはありませんが、騎手は毎回変わっています。即ち2009年はテッド・ダンカン、2010年がクリストフ・スミオン、そして今年はクリストフ・ルメール。オーナーも変更があり、最初の2回はダグラス・マッキンタイヤー氏の所有でしたが、今年はご存知のように吉田照哉氏。お馴染み社台の勝負服での勝利でした。再度の日本遠征は確実でしょう。

土曜日はもう一つ、アイルランドのゴウラン・パーク競馬場でもパターン・レースが行われました。2006年からGⅢに格上げされたデニー・コーデル・フィリーズ・ステークス Denny Cordell Fillies S (GⅢ、3歳上牝、1マイル1ハロン100ヤード)。

12頭が出走し、9対4の1番人気はG戦で連続入着しているルック・アット・ミー Look At Me (エイダン・オブライエン厩舎、ヘファーナン騎乗)。このレースは3歳馬が連勝中で、今年も8頭出走している3歳から選ばれたという事情もあるでしょう。
しかし優勝は、11対2の4歳馬フラワーズ・オブ・スプリング Flowers Of Spring 。名前に引っかければ、時季外れの開花だったかもしれません。4分の3馬身差2着にザミナスト Zaminast 、2馬身差3着は逃げたハリケーン・ハヴォック Hurricane Havoc 。本命ルック・アット・ミーは4着。2~4着はいずれも3歳馬でした。

フラワーズ・オブ・スプリングは、アンドルー・オリヴァー厩舎、クリス・ヘイズ騎乗。スタートで出遅れたものの直ぐにハリケーン・ハヴォックの3番手に付け、ゴール前抜け出したもの。初めて装着したブリンカーが功を奏したそうです。
前走ブランドフォード・ステークス(GⅢ)で4着していた馬で、この時の3着がルック・アット・ミーでした。

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