ニューマーケット9月開催3日目
ニューマーケットのオクトーバー・ミーティング、昨日の最終日はG戦3鞍、内2鞍は牝馬のためのGⅠ戦でした。馬場は全コースで good to firm と更に乾き、高速馬場となっています。
最初はロイヤル・ロッジ・ステークス Royal Lodge S (GⅡ、2歳、1マイル)。僅か5頭立ての寂しいメンバーとなり、11対8の1番人気にも2頭が並ぶ混戦。前走ニューバリーのリステッド戦に勝ったサムホワット Somewhat と、同馬をロイヤル・アスコットのリステッド戦(チェシャム・ステークス)で破っているバークシャー Berkshire が分け合います。
レースはサムホワットがスローに落としての逃げ、これをバークシャーが捉える展開。ゴールではバークシャーが首差でサムホワットを捉えましたが、勝馬は尻尾を振ってやや苦しげ。3着には同じく首差で伏兵(40対1)サー・ジャック・ライデン Sir Jack Layden が入りました。人気通りの結果ではありましたが、格下の3着馬と接戦だったことから、レースそのもののレヴェルに疑問符が付いたのも当然でしょう。
ポール・コール厩舎、ジム・クロウリー騎乗のバークシャーは、上記ロイヤル・アスコット以来3か月振りの競馬。このあとレーシング・ポスト・トロフィーという選択肢もありますが、コール師はこれでシーズン終戦とし、来期に備えたい意向。勝った内容が物足りなかったこともあり、2000ギニーに14対1、ダービーに25対1のオッズはレース前と変化がありませんでした。
続いてチーヴリー・パーク・ステークス Cheveley Park s (GⅠ、2歳牝、6ハロン)。1頭取り消しがあり7頭立て。フランスから遠征してきたヴォルダ Vorda が11対8の1番人気に支持されていました。ロベール・パパン賞(GⅡ)を含めデビューから3連勝、前走モルニー賞(GⅠ)ではアメリカの快速ノー・ネイ・ネヴァー No Nay Never の2着したスピード馬です。
ドロシー・ビー Dorothy B の逃げを捉えて5番人気(11対1)のプリンセス・ヌーア princess Noor が先頭に立ちましたが、本命ヴォルダが最後の1ハロンでこれを4分の3馬身捉えての快勝。更に1馬身4分の1差で2番人気(9対4)のキヨシ Kiyoshi が3着に入りました。
勝馬を管理するフィリップ・ソゴーブは、調教師としては2年目。フランスのローカル競馬で長年ジョッキーを務め、暫くは二足の草鞋を履いていましたが、半年ほど前に騎手を引退した経歴の方。イギリスに調教馬を送り出すのも初めてなら、GⅠも初勝利となりました。ジョッキー時代にはGⅠの経験が無く、今回の勝利も自身で乗りたかったと言うのが正直な気持ちだった様です。今回は世界的名手オリヴィエ・ペリエの手綱。
フランス馬がチーヴリー・パークを制したのは、2007年ナタゴラ Natagora 、2009年のスペシャル・デューティー Special Duty に続き、ここ7年で3勝目。このあとBCに遠征して1マイルの適性を試し、結果によっては英1000ギニーを目指す、というのがソゴーブ師の狙いだそうです。1000ギニーには12対1のオッズが出されました。
最後はサン・チャリオット・ステークス Sun Chariot S (GⅠ、3歳上牝、1マイル)。7頭が出走し、3頭参戦した3歳馬の1頭、1000ギニー馬スカイ・ランターン Sky Lantern が7対4の1番人気に支持されています。これが本命馬と4度目の対決となる愛1000ギニー馬ジャスト・ザ・ジャッジ Just The Judge も雪辱を期しますが、6対1の3番人気。間に割って入るのが、GⅠ4勝の古豪エルーシヴ・ケイト Elusive Kate で11対4の2番人気と、豪華なメンバーが揃いました。
レースは先行力のあるジャスト・ザ・ジャッジが先ず先頭、半ばからは同じく前で競馬するエルーシヴ・ケイトがハナを奪ってペースを作ります。エルーシヴ・ケイトがやや左に寄れ、最後方に待機したスカイ・ランターンがいつもにも増して鋭い伸び脚を発揮すると、同じ3歳馬でこれが未だ5戦目の上がり馬インテグラル Integral に1馬身差を付けて見事期待に応え、4つ目のGⅠを獲得しました。2馬身差で古馬ダントル Duntle が3着に入り、エルーシヴ・ケイトは不本意な4着。ジャスト・ザ・ジャッジはまたしても本命馬の後塵を拝して6着に終わっています。
エルーシヴ・ケイトは前々走フォルマス・ステークス(GⅠ)ではスカイ・ランターンを首差で退けましたが、今回は3歳馬に軍配。陣営は来期も現役に留める予定で、エルーシヴ・ケイトとのライヴァル関係が続くことを希望。更には1マイル4分の1の距離にも挑戦したいと意欲を見せていました。今期はQEⅡの大一番も残されていますし、オーナーであるベン・ケジック氏は香港在住、当然ながら香港で走る可能性も十分と言えそうですね。
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