アメリカの芝戦

今週のアメリカG戦は、3場で4鞍。比較的静かな週末です。

最初はアーリントン・パーク競馬場のパッカー・アップ・ステークス Pucker Up S (芝GⅢ、3歳牝、9ハロン)。firm の芝コースに12頭が出走してきました。イタリアから転戦して来たアンジェグリーン Angegreen が5対2の1番人気。前走イタリア・オークスの2着馬ですが、これがアメリカでのデビュー戦。モーション厩舎、スミス騎乗が人気の要因でしょうか。
レースはスーナレット Soonerette の逃げ。2番手追走のヴァージニア・オークス(芝GⅢ)馬ヴォルキャット Volcat と4番手追走の英国産馬ミス・ケイト Miss Cato が抜け出したところ、前半7番手の中団から徐々に順位を上げて4番手で最終コーナーを回った8対1のリーディング・アストレー Leadong Asttray が馬4頭分の外から襲い掛かり、ミス・ケイトに首差で優勝。更に頭差でヴォルキャット3着。人気のアンジェグリーンは最下位惨敗に終わりました。
クリス・ブロック厩舎、エドゥアルド・ペレス騎乗のリーディング・アストレーは、4連勝でG戦初勝利。前走アーリントンのミリオン当日に分割された一般ステークスに勝ってここに臨んでいました。芝コース専門に走り、通算で6戦5勝となる新星。

続いては9月短期開催(8日から19日まで)ケンタッキー・ダウンズ競馬場からケンタッキー・カップ・ターフ Kentucky Cup Turf (芝GⅢ、3歳上、12ハロン)。こちらも firm の芝コース、3頭が取り消して5頭の少頭数、前走アーリントン・ミリオンで3着同着のラヒーストラダ Rahystrada が7対5の1番人気に支持されています。
2番人気(2対1)のアイオヤ・ビッグタイム Ioya Bigtime が先手を奪い、ラヒーストラーダは2番手追走。差は若干詰まりましたが、結局はアイオヤ・ビッグタイムがラヒーストラダを半馬身抑えての逃げ切り勝ち。頭差で3着にはキンダーガーデン・キッド Kindergarden Kid が入りました。4着に終わったタホー・レイク Tahoe Lake に騎乗したデヴィッド・コーエン騎手が、2着のコーリー・ラヌリー騎手に進路妨害の意義を訴えましたが、却下されています。
勝ったアイオヤ・ビッグタイムは、クリス・ブロック厩舎の馬で、1時間前にアーリントンのパッカー・アップを制したリーディング・アストレーと同じ馬主とのチーム。アーリントンから遠征しての勝利です。鞍上はジェフリー・サンチェス。前走アメリカン・セントレジャー(今年創設)でも逃げて2着に粘ったステイヤーで、1・2着共前走はアーリントンのミリオン・デイ(8月18日)を使われた馬。勝馬は同じアーリントンで7月14日にスターズ・アンド・ストライプス・ステークス(芝GⅢ)にも勝っていました。

最後はベルモント・パーク競馬場から2鞍。先ずはノーブル・ダムゼル・ハンデキャップ Noble Damsel H (芝GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。ベルモントの芝コースも firm 、9頭が出走してきました。3対2の1番人気はフランス(ミケール・デルザングレ厩舎)で3勝し、これがアメリカでの3戦目となるディールバータ Dealbata 。
レースは4番人気(6対1)のシルヴァー・スクリーマー Silver Screamer が先頭に立って後続を6馬身引き離す大逃げ。しかし第4コーナーで差は一気に詰まり、3番手を追走していた7番人気(13対1)の伏兵ネイプルズ・ベイ Naples Bay が直線で鋭く伸びて快勝。本命ディールバータも最後の末脚を発揮して追い上げましたが、粘る3着シルヴァー・スクリーマーを半馬身捉えて2着まで。勝馬とは1馬身半の差がありました。
クリストフ・クレメント厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のネイプルズ・ベイは、3連勝でステークスは初制覇。前走モンマス・パークでクレーミング・レースに4馬身4分の1で勝ってここに臨んでいました。成功している種牡馬メダリア・ドーロ Medaglia d’Oro の半妹という良血馬で、G戦勝利により繁殖牝馬としての価値が一段と上がった形です。

ベルモントのもう一鞍は、GⅠのガーデン・シティ・ステークス Garden City S (芝GⅠ、3歳牝、9ハロン)。7頭が出走し、今年の愛1000ギニー馬サミター Samitar が4対5の1番人気に支持されていました。
アシュランド・ステークス(GⅠ)勝馬カルロヴィー・ヴァリー Carlovy Vary の逃げを4番手で追走したサミター、期待通り末脚を伸ばして先頭に立つと、ソマリ・レモネード Somali Lemonade の追い込みを頭差抑えて優勝。着差は頭ですが、右ムチ一杯に追う2着馬に対しサミターのラモン・ドミンゲス騎手はムチを使わず腕と踵の騎乗で、記録以上に余裕のある勝利と言えましょう。1馬身4分の3差3着にはタンネリー Tannery が入りました。
既に紹介したように、サミターは今年4月にマーチン・シュヴァルツ氏が購入。そのままミック・シャノン厩舎の管理下での愛1000ギニーを制し、ロイヤル・アスコットのコロネーション・ステークス(GⅠ)は強風と重馬場の中での4着。そのあと現在のチャド・ブラウン厩舎に転じ、アメリカ初戦のレイク・ジョージ・ステークス(芝GⅡ、7月25日サラトガ競馬場)は2着でした。今回初めて1マイルを超える距離で快勝、イギリスとアメリカでGⅠ馬となり、次走はクィーン・エリザベスⅡ世チャレンジ・カップ(芝GⅠ)になる予定の由。

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