カラー競馬場、シーズン最後のパターン戦

昨日の日曜日(9月25日)、アイルランドのカラー競馬場で来年のクラシックに繋がる2歳戦が2鞍行われました。クラシックといってもギニーではなく、その先のダービー・オークスですね。
アイルランドはヨーロッパ競馬主要国では最も早く秋冬を迎える国、その最大のコースであるカラー競馬場でパターン・レースが行われるのは昨日が最後です。
アイルランドではGⅠ戦は既に全ての日程を終えましたし、GⅡ戦も昨日が最後、残すはGⅢ戦を数鞍残すだけとなってしまいました。

先ずはパーク・ステークス Park S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。如何にもシーズン最後に相応しく、馬場状態は雨の影響で heavy 。日本でいう不良馬場で行われました。
出走馬は10頭。今年はジェシカ・ハリントン厩舎に強力な2頭がいて、人気もこの両馬に集まっています。7対2の1番人気に支持されたリメンバー・アレキサンダー Remember Alexander は、未勝利ながらパターン戦(タイロス・ステークス、GⅢ)を制した馬。ここはペナルティー(3ポンド)を課せられていましたが、相手関係から本命に挙げられていました。前走はデビュタント・ステークス(GⅡ)5着。
ハリントン女史のもう1頭プリンセス・シネード Princess Sinead は、メイビー Maybe との比較から本命馬とは実力差のほとんど無い実績、余り差の無い4対1の2番人気に支持されています。これと同じ4対1、並んで2番人気を集めたのが、前走カラーでリステッド戦を快勝したコーラル・ウェーヴ Coral Wave という評価でした。

レースはエイダン・オブライエン厩舎のホームカミング・クィーン Homecoming Queen (ヘファーナン騎乗)が先頭、コーラル・ウェーヴがこれを2番手でマークする展開。ゴール前2ハロン、コーラル・ウェーヴが仕掛けて先頭に立ちましたが、逃げたホームカミング・クィーンもしぶとく差し返し、外(スタンドに近い側)からはプリンセス・シネードも追い上げに・・・。最後は中央のコーラル・ウェーヴを挟んで3頭の首の上げ下げでゴール板を通過しました。
結局、優勝はコーラル・ウェーヴ、首差2着にホームカミング・クィーン、同じく首差3着がプリンセス・シネードの順。本命リメンバー・アレキサンダーも後方から追い上げたものの、負担重量と重馬場が影響してか5着に終わりました。

コーラル・ウェーヴはパトリック・プレンダーガスト厩舎、デクラン・マクダナー騎乗。プレンダーガスト師にとってはG戦初制覇となります。先に書いたように、前走同じカラーで1マイルのリステッド戦に勝った馬で、父はロック・オブ・ジブラルタール Rock of Gibraltar 。
距離が伸びて良く、重馬場も苦にしないことが立証され、師は愛オークスが最適だろうとコメントしています。

続いてカラー競馬場で行われるシーズン最後のG戦となるベレスフォード・ステークス Beresford S (GⅡ、2歳、1マイル)。アイルランドの開催日程では最後のGⅡ戦でもあります。
当初は7頭が登録していましたが、不良馬場を嫌って2頭が取り消し、最終的には5頭立てで行われました。
これが僅かに3戦目ながら、前走レパーズタウン競馬場の新馬戦で圧勝したジョン・オックス厩舎のアキード・モフィード Akeed Mofeed が5対6と単勝2倍を切る圧倒的1番人気。オックス師といえばこのレースを制したシー・ザ・スターズ Sea The Stars を擁していた厩舎だけに、人気に拍車がかかった感もあります。

レースは先のパーク・ステークス同様、シーミー・ヘファーナン騎乗のエイダン・オブライエン勢デイヴィッド・リヴィングストン David Livingston がダッシュ良く飛び出し、後続を引き離して逃げます。
あと2ハロン、後続グループから大本命アキード・モフィードが差を詰めにかかりますが、2馬身差を半馬身差に縮めるのがやっと。まんまとデイヴィッド・リヴィングストンが逃げ切ってしまいました。3着は9馬身半もの大差が付いて、3頭だしオブライエンの1頭アテンズ Athens 。

勝ったデヴィッド・リヴィングストンは2戦目でカラーの未勝利戦(7ハロン)に勝ち、フューチュリティー・ステークス(GⅡ)で4着、ナショナル・ステークス(GⅠ)で3着とそこそこ走っていた馬。この日も7対2の2番人気に支持されていました。
オブライエン師はレーシング・ポスト・トロフィーや仏遠征を次走の予定として挙げましたが、既に5戦を経験しているだけに、これがシーズン終戦となる可能性もありそう。
いずれにしてもガリレオ Galileo 産駒でもあり、来年はダービーへのトライアルから試走して行く計画だそうです。

一方2着のアキード・モフィードの敗戦をどう読むか。
実はレパーズタウンの新馬戦で破った(2着)相手はアテンズでした。この時の着差は5馬身でしたが、この日の両馬の差はほぼ2倍の9馬身半に広がっています。このことから考えても、アキード・モフィードが凡走したとは読めないでしょう。

各ブックメーカーも同じ見解のようで、アキード・モフィードに出されたダービーへのオッズは20対1。新馬勝ちの際のオッズと変更はありません。
片や今回新たにダービーへのオッズが出たデヴィッド・リヴィングストンは33対1。今回は実力上位の馬が2着、という評価だったと見做して良いでしょう。当然ながらアキード・モフィードの来年の狙いはギニーではなくダービー。2頭が冬場にどれだけ成長するかが、勝負の分かれ目かも知れません。

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