またしても牝馬のワン・ツー・スリー
昨日の日曜日、競馬ファンの目はオルフェーブルの三冠達成に釘付けだったと思いますが、ロンシャン競馬場でもフランス版菊花賞が行われました。
かつてはフランスのクラシック体系を構成していたロワイアル・オーク賞 Prix Royal Oak (GⅠ、3歳上、3100メートル)ですが、現在は古馬やせん馬にも開放され、最早クラシック・レースとしてのステイタスは失われています。その代わり、3週間前に行われたカドラン賞と合わせて長距離の「オータム・ダブル」として売り出しているようですね。
馬場は good 、14頭立て。出走馬中6頭が牝馬、せん馬は5頭を占め、牡馬はたったの3頭です。しかも3歳馬は牝馬が2頭参加しただけで、3歳牡馬は1頭も出てこないという、往年の主役だったクラシック世代は見る影もありません。フランス競馬の凋落を象徴するようで、私のようなオールド・ファンの心境は複雑です。
またオータム・ダブルとは言いながら、カドラン賞を制したカスバー・ブリス Kasbah Bliss は不在。結局カドラン組からは5頭が参戦し、2着だったドイツのトレ・ロック・ダノン Tres Rock Danon が最上位馬ということになります。
そんな中、41対10の1番人気に支持されたビー・ファビュラス Be Fabulous は一般戦に2連勝してきたゴドルフィンの4歳牝馬で、当競馬日記には初登場の新星です。
以下、5対1の2番人気シャンカルデー Shankardeh 、68対10の3番人気ミス・ラーゴ Miss Lago は共に3歳牝馬。しかも結果もこの3頭で決まるという、牡馬顔色なしの仏セントレジャーとなりました。
ここ10年のロワイアル・オーク賞は、何と6頭が英愛遠征馬に帰していることから、今年もイギリスから2頭がドーヴァー海峡を渡りました。レースはその1頭、エレクトロライザー Electrolyser (クライヴ・コックス厩舎)の逃げで始まり、向正面でもう1頭の英国勢カヴァリーマン Cavalryman (サイード・ビン・スロール厩舎)がこれを交わしてリードを広げます。
このままカヴァリーマンが英国に勝利をもたらすかと思われた時、中団に待機していたマクシム・グィヨン騎乗の本命ビー・ファビュラスの末脚が爆発、ゴール前140ヤードで見事に差し切りました。1馬身4分の3差2着には、最後方から追い込んだミス・ラーゴが飛び込み、頭差3着にシャンカルデーの順。上位人気3頭による順当な結末で、凱旋門賞に続く牝馬のワン・ツー・スリーという結果に落ち着きました。
粘ったカヴァリーマンは5着。カドラン組ではトレ・ロック・ダノンが8着で、ここでも5頭の中で最先着しています。去年オータム・ダブルを達成したジェントゥー Gentoo (カドラン6着)は10着惨敗、2連覇はなりませんでした。
ビー・ファビュラスを管理するアンドレ・ファーブル師は、ロワイアル・オーク賞7度目の制覇。2000年以来11年振りの優勝となります。過去6回を列記すると、
1988年 スター・リフト Star Lift
1989年 トップ・サンライズ Top Sunrise
1993年 レイントラップ Raintrap
1995年 サンシャック Sunshack
1999年 アミリンクス Amilynx
2000年 アミリンクス(2連覇)
フランス調教馬は、去年のジェントゥーで制したアラン・リヨン厩舎に続く2連覇。騎乗したマクシム・グィヨンは初制覇となりました。
今シーズンのフランス平場競走、ロンシャン競馬場のGレースはこれで終戦ですが、残る2鞍の2歳GⅠ戦を含め、あと一月弱は続くことになります。
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