重馬場が決め手、メゾン=ラフィットの終戦
ギリシャ支援問題で揺れるヨーロッパ、昨日の11月1日はフランスの祝日(諸聖人の祝日)でしたが、サルコジ大統領以下、一般のフランス人もとてもお祝い気分にはなれなかったでしょう。一体、ヨーロッパは何処へ行くのか?
没落する欧州を象徴するような大雨がパリの街を暗くする中、競馬サークルでは淡々とスケジュールが消化されて行きます。パリ近郊のメゾン=ラフィット競馬場では、同コースで開催されるシーズン最終のパターン・レース3鞍が行われました。馬場は本降りの雨に祟られて very soft 。
先ずはミエスク賞 Prix Miesque (GⅢ、2歳牝、1400メートル)から。
8頭立て。13対10の1番人気に支持されたトピカ Topeka が順当に勝ちました。2馬身差2着にフレディー・ヘッド厩舎/オリヴィエ・ペリエ騎乗のバーバヤム Barbayam 、更に2馬身半差3着にはクリティック・ヘッド=マーレク厩舎/ヨハン・ヴィクトワール騎乗のティバルディ Tibaldi 。
勝ったトピカはロベール・コレ厩舎、クリストフ・スミオン騎乗で、パターン・レース初挑戦での勝利。4連勝で来年のクラシック候補の仲間入りを果たしました。オーナーはサガロ Sagaro やスティンティノ Stintino でお馴染みのゲリー・オルドハム氏。馬名の最後に、牡馬なら「o」、牝馬なら「a」を付けることでも知られていますね。
父ホイッパー Whipper 同様に重馬場を得意にしている血統で、馬場状態に注文は付きますが、この馬場で2馬身は単なる力馬ではなさそう。イギリスとフランスの1000ギニーに登録があり、来期初戦はアンプルーダンス賞になること間違いなし。そこが試金石でしょう。
続いては同じく2歳馬によるクリテリウム・ド・メゾン=ラフィット Criterium de Maison-Laffitte (GⅡ、2歳、1200メートル)。こちらは牡牝混合の短距離戦ですが、牡馬5頭、牝馬5頭の計10頭立て。イギリスやイタリアからの参戦も多く、的の絞り難いメンバー構成でした。
その中から5対2の1番人気に支持されたのは、前走レッドカー競馬場のリステッド戦に勝った英国の牡馬ボガート Bogart 。
しかしボガートは馬場が堪えたか8着に敗退、優勝は3対1の地元フランス牝馬レスティアダルジャン Restiadargent でした。2着は5馬身の大差が付いてフランスの牡馬ヴァニロキオ Vaniloquio 、短首差3着にもフランス牝馬ドント・テュート Dont Teutch の順。英国勢は奮わず、イタリアから参戦したショワジール・シャドウ Choisir Shadow も最下位敗退に終わりました。
勝ったレスティアダルジャンはアレックス・パンタル厩舎、マクシム・グィヨン騎乗で、同じメゾン=ラフィット競馬場のアレンベルク賞(GⅢ)に続く二つ目のパターン・レース制覇。不良馬場にしては瞠目すべき末脚を発揮し、来シーズンはスプリント戦線を中心に活躍が見込めるでしょう。クラシック挑戦は未定。
最後はセーヌ・エ・オワーズ賞 Prix de Seine-et-Oise (GⅢ、3歳上、1200メートル)。重い馬場状態ながら、シーズン最後の短距離G戦とあって16頭が揃いました。
ハモンド厩舎、スミオン騎乗で2連勝中のファウスティナ Faustina が43対10の1番人気に支持されましたが、10着以下に大敗。優勝馬は70対1、2着も25対1という大荒れの結果が待っていました。
その勝馬はイギリスから遠征したアイヴァー・ブリッジ・ラッド Iver Bridge Lad という当日記初登場の馬。2馬身半差2着は地元(スマガ厩舎、クラスタス騎乗)のフレッド・ラルーペ Fred Lallloupet と言い、短頭差3着にも英国組(チャールトン厩舎、テュイレ騎乗)のデフィナイトリー Definightly 。
レースは内・外の二手に分かれる展開で、2着馬はスタンドに近い側を選んだ小グループの先頭を走った馬、3着馬は反対に外の大グループのハナを切っていた馬で、やはり馬場が結果に大きく影響したと言えそうです。
勝ったアイヴァー・ブリッジ・ラッドは外のグループの中団から伸びてきた馬。6ハロンの重馬場が滅法得意というタイプで、陣営はこの馬場とコースを待っていた感があります。
調教師ジョン・ライアンは、フランスでのパターン・レース初勝利、騎乗したマイケル・オコンネルにとってはフランスでの勝利そのものが初めてとなります。
同馬の勝利は4月のノッティンガム競馬場以来で、アベイ・ド・ロンシャン賞にも挑戦しましたが17着に終わっていました。アベイは5ハロンで、この馬にとっては距離が短か過ぎたし、馬場も乾き過ぎていたということです。
そもそも今年3月のメイダンではジェイ・ジェイ・ザ・ジェット・プレーン J J The Jet Plane から1馬身4分の3馬身差の競馬をしていた馬。70対1は明らかに人気の盲点だったと言えるでしょう。
この後は香港のスプリントを獲りに行くようですが、最終目標はメイダン制覇かも知れませんね。
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