フランスが連覇、メルボルン・カップ

11月1日は、南半球最大の競馬であるメルボルン・カップ Melbourne Cup(GⅠ、3歳上、2マイル)が行われます。南半球の競馬と言えばアルゼンチンのカルロス・ペレグリニ大賞典が有名で、南半球の凱旋門賞とでも呼べる存在ですが、北半球から挑戦する馬はほとんど無く、国際的な注目度ではメルボルン・カップには及ばないでしょう。

豪州競馬は当ブログの範疇ではありませんが、ここ2年連続して紹介していることでもあり、今年も概略をレポートしておきましょうか。
かつて日本馬が勝ったこともあり、去年はトウカイトリックの参戦もあって日本でも盛んに報道されていましたが、今年はメルボルンの「メ」の字もない程のシカト状態。私には日本マスコミの不思議さが気になる今日この頃ですな。

さて今年はカンタス航空のストライキで多くの便が欠航、政府の介入によってストは中断されましたが、BS1の海外ニュースでも“メルボルン・カップにも影響が出ています”という一報がありました。それほど世間の注目が集まる大レースなんですねェ~。

そのメルボルン・カップはそもそもハンデ戦で、必ずしも実力馬が勝つわけではありません。それでも人気なのは、どの馬にもチャンスがあるというスリルがあるからで、競馬の本家イギリス以上に英国的な豪州の気質によるものでしょう。19世紀のイギリスではハンデ戦の人気は大変なものでしたからね。
出走頭数のリミットは24頭ですが、今年は直前に1頭が取り消して23頭立てで行われました。補欠が繰り上がるというシステムはないようです。

1番人気(4対1)は去年の覇者アメリケン Americain でしたが、今年は負担重量も重く、最後は豪快に追い上げたものの4着まで。
ゴールは2頭が鼻面を揃えて飛び込む大接戦になり、長い写真判定に持ち込まれました。メルボルン・カップ151回の史上でも稀に見る接戦だったとのこと。

結果はフランスのデュナデン Dunaden がハナ差でイギリスのレッド・カドー Red Cadeaux を抑えて戴冠。フランスの2年連続制覇となりました。勝馬のオッズは15対2、2着は30対1という伏兵です。
イギリスは際どいところでメルボルン・カップ初制覇成らず、エド・ダンロップ調教師は僅かの差で金星を逃した格好です。このレースで外国馬が勝ったのは5回目、フランス2勝、アイルランド2勝、日本1勝がその内訳。

3着に入ったルーカス・クラナッハ Lucas Cranach は地元オーストラリアのアンソニー・フリードマン厩舎所属ですが、ついこの間までドイツで調教されていた馬。ドイツ産馬でもあり、ここでもドイツ馬の優秀さが証明された形です。
以下4着アメリケンはフランス(アラン・ド・ロワイヤー=デュプレ)、5着マニガー Manighar がイギリス(ルカ・クマニ)、6着ロスト・イン・ザ・モーメント Lost In The Moment イギリス(サイード・ビン・スロール)、7着フォックス・ハント Fox Hunt イギリス(マーク・ジョンストン)と、1着から7着までヨーロッパ・コネクションが独占したことになります。

勝ったデュナデンは、今春フランスのバルべヴィユ賞を制した馬で、この日記でも何度か紹介しています。以前はフランスから香港に移住したリチャード・ギブソン厩舎に所属していた馬で、管理するミケール・デルザングレ師は思わぬ拾いものをした感じ。南半球最大のレースを制覇するなど、当時は考えられなかったでしょう。正に大出世ですね。

ジョッキーにも大きなドラマがありました。
本来デュナデンには、日本でも活躍したクレイグ・ウィリアムスが騎乗する予定でしたし、トライアルでも騎乗して馬を完全に手中にしていました。ところが先週の競馬で、ウイリアムズ騎手は不注意騎乗の廉で騎乗停止処分に・・・。意義を申し立てていましたが、レース前日の月曜日に却下されてしまいます。
そこでオーナー(カタールのビジネスマンで富豪)が決断したのは、東京で乗っているクリストフ・ルメールを呼ぶこと。ルメールが東京からメルボルン入りしたのは前日の月曜日でした。(こんなときに呼ばれる騎手が出てこそ、日本の騎手も世界的になるでしょうが)

ルメールにとってオーストラリアで騎乗するのは初体験。もちろん舞台であるフレミントン競馬場での騎乗経験はありません。それを克服して、ハナ差の劇的な勝利。正にジョッキー冥利に尽きる瞬間だったでしょう。
ルメールのハナ差勝利と言えば、ジャパン・カップでのウオッカを思い浮かべてしまいます。有馬記念でハーツクライを御し、無敵のディープを破ったのもクリストフ・ルメールでしたっけ。

ということで、日本にも繋がりの多いメルボルン・カップでした。ほとんど報道もせず、特派員も送り込まない日本のマスコミって何よ。何なら取材に行きましょうか、って思ったくらいのメリーウイロウです。

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