チョイ荒れのドン・ハンデ

今週のアメリカ競馬、日曜日にはG戦が組まれていませんので、レポートは土曜日一日だけの静かな週末です。
とは言ってもフロリダのガルフストリーム競馬場ではGⅠ2鞍を含む重賞4連発と豪華版、サンタ・アニタの一鞍と合わせてレポートして行きましょう。

ガルフストリーム・パーク競馬場の最初のG戦はハッチェソン・ステークス Hutcheson S (GⅡ、3歳、7ハロン)。このレースの歴史や経緯については既に去年紹介済み。去年は2月26日に施行されました。
今年は6頭が登録していましたが、出れば1番人気と言われていたエヴァー・ソー・ラッキー Ever So Lucky が取り消して結局は5頭立てで行われました。優勝はサンダー・モッカシン Thunder Moccasin 。スタートして直ぐ2番手に付け、3~4コーナー中間地点で逃げたイル・ヴィラーノ Il Villano に並び掛けると、直線ではリードを更に広げて6馬身4分の3差を付ける圧勝で圧倒的1番人気(1対5)に応えました。2着はイル・ヴィラーノが逃げ残り、半馬身差でクイック・ウィット Quick Wit が3着。サンダー・モッカシンは去年12月24日のデビュー戦(同じガルフストリーム・パーク)に勝ったばかりで、これで2戦2勝、クラシックに名乗りを挙げました。
調教師トッド・プレッチャーは、この日3000勝目を記録したばかり。騎手はジョン・ヴェラスケス。

スワニー・リヴァー・ステークス Swanee River S (芝GⅢ、4歳上牝、9ハロン)。1947年創設。レース名のスワニー・リヴァーはフロリダの湿地帯を流れる川ですが、フォスターの歌曲で有名でしょう。この曲はフロリダの州歌にもなっていますね。グレード制が導入された1973年にGⅢに格付けされていましたが、1979年にはノン・グレードに格下げ、3年後の1982年に再度GⅢに復活し、現在に至っています。
今年の勝馬はスノー・トップ・マウンテン Snow Top Mountain 。8頭立て。終始後方2番手を進み、直線入口で大外を通って鋭く進出、4番手から抜け出した2番人気(7対2)のヒット・イット・リッチ Hit It Rich に半馬身差を付けて優勝。芦毛馬のワン・ツー・フィニッシュとなりました。1番人気(2対1)のデノミネーション Denomination は最後方待機から追い上げるも5着まで。9対2の3番人気で勝ったスノー・トップ・マウンテンはこれまでG戦で4回入着していましたが、漸く念願のG戦初制覇となります。
調教師はトーマス・プロクター、騎手はホセ・レズカノ。

ドン・ハンデキャップ Donn H (GⅠ、4歳上、9ハロン)。このGⅠ戦については去年2月16日の日記で詳しく紹介しましたので、そちらを参考にして下さい。
今年はプリークネス馬シャックルフォード Shackleford (1番人気、3対1)、ベルモント馬ルーラー・オン・アイス Ruler On Ice の両クラシック馬が4歳デビュー、加えてGⅠ(ジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ)馬フラット・アウト Flat Out 、ステークスに連勝中のリディームド Redeemed 、無敗の新星トリックマイスター Trickmeister など豪華メンバーが揃う11頭立てで行われました。レースはスピードのあるトリックマイスターが逃げ、シャックルフォードがピタリと2番手にマーク、リディームドとミッション・インパジブル Mission Impazible が3・4番手で追走する展開。しかし優勝はその直後、5番手に付けた伏兵(6対1)ヒム・ブック Hymn Book が直線入口で大外から伸び、内ラチ沿いにスルスルと先頭に立ったミッション・インパジブルとの叩き合いをハナ差制して金星を射止めました。3着は3馬身4分の1差が開いてリディームド。フラット・アウトは後方から追い込むも5着と及ばず、逃げたトリックマイスターは6着に沈みました。またシャックルフォードは7着、ルーラー・オン・アイスも8着惨敗。勝ったヒム・ブックは去年サバーバン・ハンデ(GⅡ)とシガー・マイル(GⅠ)で共に2着した実力馬ですが、G戦は初勝利となります。
調教師はクロード・マゴーギー、騎手ジョン・ヴェラスケスはハッチェソンを含めこの日4勝目。

ガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデキャップ Gulfstream Park Turf H (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)。このレースも去年取り上げましたが、結果だけでした。改めて紹介すると、創立は1986年と新しく、設立当初は「ブリーダーズ・カップ」という呼称が付せらていました。暫くはノン・グレードでしたが1990年(この時は8.5ハロン)にGⅢに格付けされ、1992年にGⅡ、1999年には最高格のGⅠにランクされています。
今年の勝馬はゲット・ストーミー Get Stormy 。7頭立て。スタートからマイペースに落としての鮮やかな逃げ切り勝ちでした。1番人気(7対5)に支持されたシルヴァー・メダリオン Silver Medallion は2番手追走も末脚を失くして7着のどん尻負けに終っています。2着は半馬身差でホリンジャー Hollinger が入り、更に1馬身4分の3馬身差3着がビッグ・ブルー・キッテン Big Blue Kitten の順。ゲット・ストーミーはBCマイル12着以来の競馬で、これが今シーズンのデビュー戦。GⅠ戦はメイカーズ・マーク(キーンランド)、ターフ・クラシック(チャーチル・ダウンズ)に続き3勝目となる強豪です。去年のこのレースは3着でしたが、今年は2番人気(5対2)での雪辱となりました。ゲット・ストーミーがスタートで内に切れ込んだことに対して抗議ありましたが、却下されています。
調教師はトーマス・ブッシュ、騎手はラモン・ドミンゲス。

サンタ・アニタ競馬場のサン・マルコス・ステークス San Marcos S (芝GⅡ、4歳上、10ハロン)。創設は1952年。距離もコースも、そしてグレード格付けも度々変更されてきました(煩わしいので経緯は省略)。芝のGⅢで行われていた期間が長く続きましたが、スター・オブ・コジーン Star of Cozzene が勝った1992年からはGⅡで安定しているようです。
今年は人気馬が総崩れ、4番人気(11対1)のスリム・シェイディー Slim Shadey が勝っています。6頭立て。好スタートから先手を奪い、終始内ラチ沿いに経済コースを通ってギリギリの逃げ切り勝ち。直線でユートピアン Utopian (これも13対1、ブービー人気の穴馬)が鋭く追い上げましたが、頭差届かず2着。4対5の断然1番人気に支持されたドイツ産馬サナガス Sanagas はスタートで出遅れ、直ぐに2番手に上がって直線に向かいましたが、やや躓くような場面もあって6着どん尻に敗退しました。勝ったスリム・シェイディーは英国産、3歳時には2000ギニーと愛2000ギニーに出走した経歴もありましたが、初勝利はアメリカに転戦(今回が3戦目)して後漸く前走で記録したもの。今回が2勝目でのG戦初勝利でした。人気が無かったのも当然でしょう。
調教師はサイモン・キャラガン、騎手はデヴィッド・ロメロ・フローレス。

ところでアメリカ競馬カテゴリーは今回で約1年が経過しました。取り扱ってきたG戦もほぼ全てを網羅したことになります。
そこで次週からは少しレポートのスタイルを変え、レースの歴史等は未出のもの、前年は詳しく紹介しなかったもののみに限りましょう。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください