祭りの後で
先週末はブリーダーズ・カップに沸いたアメリカですが、翌日曜日にも３つの競馬場で夫々一鞍づつＧ戦が行われました。
祭りの後、とは言え、アメリカ競馬にはシーズン・オフがなく、これからも毎週のようにグレード戦が続けられていきます。
先ずアケダクト競馬場では、先月２９日にベルモント競馬場で行われる予定だったボールド・ルーラー・ハンデキャップ Bold Ruler H (ＧⅢ、３歳上、７ハロン)が時ならぬ大雪のため昨日に順延されて行われました。１９７６年創設。レース名は解説するまでもなく、アメリカの名競走馬にして、８回もリーデング・サイヤーに輝いた大種牡馬。
今年の勝馬はカリブラチョーア Calibrachoa 。６頭立て。好スタートから２番手に控え、直線で徐々に後続馬を引き離しての楽勝で１番人気(１１対１０)に応えました。２馬身４分の３差２着はサンガリー Sangaree 、勝馬と同厩のカイシャ・エレクトロニカ Caixa Electronica が首差３着の順。速い馬場を得意とするカリブラチョーアにとっては、重のベルモントから良のアケダクトに替ったことがラッキーだったと言えましょう。去年の冬から今春にかけてアケダクトのステークスに３連勝(グレーヴセンド、トボガンＧⅢ、トム・フールＧⅢ)。そのあとベルモント(トゥルー・ノース・ハンデＧⅡ)とサラトガ(ヴァンダービルト・ハンデＧⅠ)で３着となり、２か月休養して前走ベルモントのヴォスバー・インヴィテーショナル(ＧⅠ)では５着に敗退していました。得意のアケダクトで復活です。
調教師はトッド・プレッチャー、騎手はホセ・レズカノ。
続いて前日までＢＣの舞台として注目されたチャーチル・ダウンズ競馬場でのカーディナル・ハンデキャップ Cardinal H (芝ＧⅢ、３歳上牝、９ハロン)。創設は１９７４年。創設されて暫くは一般のステークスでしたが、ミス・カーレオナ Miss Caerleona が勝った１９９６年にＧⅢに格付けされたようです。
今年の勝馬はデラックス Deluxe 。７頭立て。前半は丁度真ん中の４番手。直線では３頭の外から抜け出し、更に外から迫るラヴィズ・ソング Ravi’s Song を半馬身抑えて１番人気(３対２)に応えました。ヨーロッパではお馴染み、カーリッド・アブダッラー総裁のジャドモント・ファームの自家生産馬です。ところで２着ラヴィズ・ソングも自家生産馬で、こちらは日本の藤田義男(？)氏。オーナーは藤田夫人の名義になっています。ミント・ジュレップ(芝ＧⅢ)、マッチメーカー(芝ＧⅢ)に続くまたしても２着で、今度こそと期待が掛かる一頭で、要注目。
デラックスはフランスでデビュー、６戦してリステッド戦を含め３勝。去年の仏オークス(ＧⅠ)では４着の実績を残していました。アメリカに転籍してからは３戦目にして初勝利となります。前走はベルモントのスパーサタデイで行われたフラワー・ボウル・インヴィテーショナル(芝ＧⅠ)で、６頭立てのシンガリ負けを喫していました。父ストーム・キャット Storm Cat 、母ハシリ Hasili 、半姉にブリーダーズ・カップ・フィリー・アンド・メア・ターフ勝馬のバンクス・ヒル Banks Hill とインターコンチネンタル Intercontinental がいるという良血(母ハシリは、ＧⅠ馬５頭の母！！)が開花したようです。
調教師はウイリアム・モット、連日ブリーダーズ・カップのメイン・レースを制したのに続き、日曜日もメインを攫ってしまいました。３日連続の偉業！ 日本でも池江泰寿厩舎の快挙を見たばかり。こちらは３週連続の偉業！ 二人に共通する点があるのでしょうかね。騎手はジュリアン・ルパルー。
そしてサンタ・アニタ競馬場の秋開催、フィナーレはラス・パルマス・ステークス Las Palmas S (芝ＧⅡ、３歳上牝、８ハロン)。創設年がはっきりしませんが、１９６９年には開催された記録が残されています。この年の創設でしょうか。アメリカにグレード制が導入された１９７３年にはＧⅢに格付けされています。
今年の勝馬はオール・スター・ハート All Star Heart 。５頭立て。５頭が隊列を組むような淡々たる流れの４番手。３～４コーナー中間で一旦最後方に下げてから大外に振り、直線鋭く伸びて、内から追い込むシティー・トゥー・シティー City to City を２馬身退けての差し切り勝ち。２番人気でした。カナダから転厩した馬ですが、これで今シーズンは７戦５勝、Ｇ戦は初勝利となります。本命(７対５)に推されたマリブー・ピエ Malibu Pier は４着敗退。
調教師はロナルド・マッカナリー、騎手はブライス・ブラン。
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