番狂わせのスターレット

今週アメリカ競馬で行われるG戦は、昨日の2鞍のみ。フロリダとカリフォルニアが舞台です。
そのフロリダ、12月3日に冬開催がスタートしたガルフストリーム・パーク競馬場で開催最初のグレード戦が行われました。本開催は来春4月8日まで行われます。

ガルフストリーム・パーク競馬場のシュガー・スワール・ステークス Sugar Swirl S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。オールド・ファンには耳慣れないレース名で、詳しい歴史などは判りません。それでも古いデータを調べると、次のような経緯のようです。創設は恐らく1981年で、当初はファースト・レディー・ハンデキャップ First Lady H として施行されていました。GⅢに格付けされたのは1993年からで、ゲーム・フェイス Game Face が勝った2009年だけはGⅡで行われています。その翌年、つまり去年は再びGⅢに戻り、この年から現在のレース名に変更されました。名称に採用されたシュガー・スワールは、このレースの2008年の勝馬で、ガルフストリームの牝馬短距離3冠シリーズ(シャーリー・ジョーンズ、ハリケーン・ベッティー、ファースト・レディー)を完全制覇した牝馬。レース名が変更されたのは、このレースより後出ながらGⅠに格付けされたキーンランド競馬場のファースト・レディー・ステークスとの混同を回避するためではないでしょうか。
事態を更に複雑にしているのが、このレースはこれまで1月に組まれてきた一戦で、今年も既に1月15日に行われていること。この時は未だ当ブログでアメリカ競馬を紹介していませんでしたが、今年1月の勝馬はター・ヒール・モム Tar Heel Mom という馬。12月3日の日記でカルダー競馬場のラ・プレヴォヤンテ・ハンデが年2回開催されたという話題を取り上げましたが、このレースも開催の都合上からか年2回開催と考えて良いようです。この辺りが如何にもアメリカ競馬らしいと言えるでしょう。
ということで、今年2回目の勝馬はポムロイズ・ピストル Pomeroys Pistol 。8頭立て。1番枠スタート。前半はラチ沿いに先行馬をマークし、直線入口ではコーナーを上手く使って先行馬の外に出し、直線伸びて2着ピカ・スルー Pica Slew に2馬身差を付けて1番人気に応えました。今シーズン初勝利をこのガルフストリームのG戦(GⅡフォワード・ギャル・ステークス)で挙げ、同じガルフストリームのG戦勝利で締め括る結果に。前走BCフィリー・アンド・メア・スプリントで4着していた3歳牝馬です。
調教師はエイミー・タラント、騎手はハヴィエル・カステラノ。

一方、カリフォルニアのハリウッド・パーク競馬場の秋/冬開催は残り1週となり、昨日はハリウッド・スターレット・ステークス Hollywood Starlet S (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)が行われました。1974年創設。1983年に初めてGⅡに格付けされ、翌1984年にはGⅠに格上げされて今日に至っています。ほとんどシーズン最後の2歳牝馬による大レースとして位置づけられます。1985年から1990年までは1マイルの距離で行われていました。
今年の勝馬はキラー・グレイシス Killer Graces 。6頭立て。前半は4番手、向正面で3番手に上がり、直線では外から先行2頭を捉えて優勝、14対1(5番人気)の番狂わせを演じました。先に先頭に立ったチャーム・ザ・メイカー Charm the Maker が半馬身差で2着。既にGⅠに2勝、BCジュヴェナイル・フィリーズ3着の断然1番人気(4対5)ウィーミスフランキー Weemisfrankie はスタートで躓き、前半で大きく後方に置かれる苦しい展開。最後で差は詰めたものの4着に敗退に終わりました。勝ったキラー・グレイシスは5月デビューで既に8戦、出走馬中最もキャリアを積んだ馬で、G戦は初勝利となります。
期待を裏切ったウィーミスフランキー、ゲート内では落ち着いていたものの何故かスタートは失敗。これまでのキャリアで全く初めてのことで、陣営は困惑気味でした。
調教師ジェリー・ホーレンドルファーは、一昨年のブラインド・ラック Blind Luck に続いてスターレット2勝目。騎手ジョー・タラーモは、このレース初勝利。

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