読売日響・第510回定期演奏会

昨日は読響の12月定期でした。個人的には今年聴く読響の最後の演奏会です。
サントリーホール前の広場はクリスマスの飾り付けが華やかですが、首都は一向に寒くならず、師走という感じがしません。本当にあと半月で新年を迎えるのでしょうか。

さて12月は私の苦手な指揮者・秋山和慶の登場です。東響のシェフとしてのイメージが強いマエストロですが、読響定期は2009年6月に続くもの。その公演が好評のために今回の再演が実現した由。改めて音楽の聴き方は人様々だと思ってしまいますね。
前回の定期も聴きましたが、凡そ私が感心するものではありませんでしたし、今回も感想はほぼ同じ。でも、昨夜の客席の沸き様に接すると「美しいバトンで劇的な世界を築く巨匠」の棒に酔った方も多いのでしょう。
プログラムは前半がニ長調で書かれた古典作品、後半が前回も好評だったというシュトラウスの大曲。一晩のコンサートとしては短めで、以下のもの。

モーツァルト/ディヴェルティメント ニ長調 K.136
ハイドン/交響曲第104番ニ長調「ロンドン」
     ~休憩~
R.シュトラウス/交響詩「ツァラトゥストラはこう語った」
 指揮/秋山和慶
 コンサートマスター/藤原浜雄
 フォアシュピーラー/鈴木理恵子

私の場合は特に感想も無いのですが、やはり後半が聴かせました。
何より素晴らしかったのはティンパニ。10月に続いてゲスト・ティンパニですが、「あの人」ですね。名人揃いの読響ですが、私にはティンパニが不満で、重厚なオケにはそぐわない印象を常々抱いています。
今回のゲストはオケのパワーを重厚な音でシッカリ支え、音色の多彩さで唸らせます。彼の妙技を聴いていると、改めてオーケストラの中心はティンパニだと思いました。ハイドンにしてもシュトラウスにしても、指揮者に不満があっても中心がデンと構えていれば音楽が引き立つ。その典型を見た気がします。

このゲスト氏、個人的には首席ティンパニストとして契約して欲しいですね。恐らく日本在住だと思いますので・・・。

秋山のツァラは全体として無難に纏めていましたが、コーダで♯五つ(ロ長調)に変わる寸前で音楽を一旦切りました。パウゼを挟んで最後の Langsam に入るのですが、私は一瞬何が起きたのかと思って腰を抜かしました。こんな処理は初めての体験です。
そこからのメロディーの歌わせ方は、正にマエストロの音楽そのものでしょう。美しいと言うか、生温いと言うか。

前半は一昔前の古典派演奏。齊藤秀雄の教えそのままのモーツァルトであり、ハイドンです。モーツァルトの第3楽章など、思わず“ジャンケンポン、ジャンケンポン”という齊藤の口癖を思い出してしまいました。

弦の編成は12型。
クラシックの演奏会に初めて通った方は大いに勉強になったと思いますが、モーツァルトの後メンバーは唯の一人も舞台を降りず、そのまま管楽器12人とティンパニストが登場します。即ち、ディヴェルティメントも交響曲も弦のサイズは全く同じ、シンフォニーには管と打楽器が加わるだけのシンプルな編成なのですね。

又しても驚かされたのは、ハイドンの第3楽章の後で何人かが拍手したこと。私は楽章間で拍手することを悪い事とは考えませんが、この場合は意外でした。何故ここだけなの? 余程演奏が見事だった場合にはあることですが、う~ん、判らん。
コンサートは何が起きるか判らないものですナ。やはり実際に聴いてみてナンボの世界でしょう。

終演後のブラヴォーの嵐は、2年後の秋山再々登場を約束するものでしょうか?

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