伏兵が制した土曜日の3鞍

昨日はガルフストリームとサンタ・アニタでG戦3鞍が行われ、いずれも本命馬が伏兵に敗れるという波乱になっています。

ガルフストリーム・パーク競馬場のマーシュアズ・リヴァー・ステークス Marshua’s River S (芝GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)。レースの歴史や由来など今一つハッキリしません。記録によれば創設は2001年のようで、去年(2011年)からGⅢに格付けされています。レース名のマーシュアズ・リヴァーは、恐らく1994年にガルフストリーム・パーク競馬場でスワニー・リヴァー・ハンデ(GⅢ)に勝った馬に因んだものと思われます。
今年の勝馬はヘヴンリー・ランディング Heavenly Landing 。12頭立て。ウォーリス Wallis が逃げましたが、第4コーナーでは全馬が一団となる混戦。直線半ばでラ・レーヌ・リオンヌ La Reine Lionne とタピッツフライ Tapitsfly が抜け出しましたが、直線入口では最後方の内に付けていたヘヴンリー・ランディングが馬群を割って外から伸び、ゴール直前で2頭をハナ差捉えての劇的な勝利。写真判定の結果、頭差でラ・レーヌ・リオンヌがタピッツフライを抑えて2着に入りました。勝ったヘヴンリー・ランディングは19対1の穴馬、ダートで10戦して僅かに1勝でしたが、芝に転戦してからは3連勝と活躍の場を見出したようです。
調教師はエディー・ケニーリー、騎手はコーリー・ラネリー。

サンタ・アニタ競馬場のシャム・ステークス Sham S (GⅢ、3歳、8ハロン)。2001年創設のケンタッキー・ダービーへの公式トライアル戦で、サンタ・アニタ・タービーへの第一歩でもあります。レース名のシャムは、セクレタリアート Secretariat と三冠を争った名脇役。2006年からGⅢに格上げされました。
今年の勝馬はアウト・オブ・バウンズ Out of Bounds 。5頭立て。2番枠(1番枠の馬は出走取り消し)から出て終始内ラチ沿いに3~4番手を進み、直線では先行2頭の外に出して追込み、叩き合いを半馬身制して10対1の番狂わせ。2着は1番人気(1対2)の無敗馬シークレット・サークル Secret Circle (前年のBCジュヴェナイル・スプリント勝馬)が粘り込みました。厩舎が密かに期待していたアウト・オブ・バウンズは、BCディスタッフを制したアンブライドルド・エレーヌ Unbridled Elaine の産駒という大型の良血馬で、これがステークス・デビューでした。
調教師エオイン・ハーティーは、2008年のカーネル・ジョン Colonel John (そのあとサンタ・アニタ・ダービーも制覇)に続いてシャムは二度目の勝利。勝利騎手はまたしてもギャレット・ゴメス。ゴメスはアウト・オブ・バウンズには初騎乗で、新年のステークス連勝記録を4に伸ばしました。

サン・パスカル・ステークス San Pasqual S (GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。1935年創設の歴史ある一戦で、こちらはサンタ・アニタ・ハンデへの第一歩。1939年までは3歳限定戦でしたが、1940年以降は現在の古馬戦として定着しています。アメリカにグレード制が導入された1973年から現在に至るまで変わらずGⅡに格付けされてきたという意味でも安定した重賞レースと言えましょう。
今年の勝馬はアー・オー・バンゴー Uh Oh Bango 。7頭立て。外枠(7番)から出て早目に先行馬をマーク。向う正面で3番手から2番手に進出し、直線で逃げたスキップショット Skipshot を捉えると、追い縋る1番人気(2対1)のトレ・ボラチョス Tres Borrachos を1馬身4分の3差振り切って優勝。ここも7対1(4番人気)の逆転劇でした。ステークス5連勝に挑んだゴメス騎乗のジャヴァ・マン Java Man は5着に終わりました。アー・オー・バンゴーは去年5月のバークレー・ステークス(GⅢ)以来のG勝利。
調教師はコーリー・オーウェンス。騎手マイク・スミスも同馬には初騎乗で、レース当日の朝にこれまで騎乗してきたアーロン・グライダー騎手に電話でアドバイスを受けた由で、速い脚の無い同馬に先行策で臨んだとか。

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