依然として米クラシック戦線は混戦
昨日の土曜日、アケダクトとキーンランドで三冠のステップ・レースが行われましたが、いずれも人気馬は敗退し、アンクル・モー Uncle Mo の失速以来続いているクラシック候補の敗退に歯止めがかかりません。
先ずアケダクト競馬場はジェローム・ステークス Jerome S (GⅡ、3歳、8ハロン)。何と創設は1866年という、アメリカでは二番目に古い歴史を持つ重賞競走です(最古は真夏のダービーとして知られるトラヴァース・ステークス)。ニューヨーク州のベルモント競馬場の前身であるジェローム・パーク競馬場を開設したレナード・ジェローム氏に因んだレース名。本来はベルモント競馬場で行われますが、今年は日程の関係からかアケダクトが舞台。
今年の勝馬はアディオス・チャーリー Adios Charlie 。8頭立て。雨中の泥んこ馬場、大外からスタート良く飛び出し、一旦は2番手。直線では内からスルスルと伸びて先行馬を交わし、追い込んだ本命のアストロロジー Astrology に2馬身半差を付けての優勝です。この3歳馬は三冠への登録がありませんが、追加登録してプリークネスに向かう案も浮上してきたようです。
調教師はスタンレー・ホー、騎手はラジーヴ・マラー。
キーンランド競馬場は2鞍。一つは古馬によるベン・アーライ・ステークス Ben Ali S (GⅢ、4歳上、9ハロン)。ベン・アーライとは、有名なカリフォルニアのゴールドラッシュで大金持ちになった弁護士の名前から。その財産のほとんどをアメリカの馬産に注ぎ込んだ人で、この人無にはケンタッキーの馬産は存在しなかった由。レースの創設は1917年。
今年の勝馬はエクサイ Exhi 。5頭立て。半年ぶりの休み明けでしたが、2着ディーンズ・キッテン Dean’s Kitten に1馬身4分の3差を付けて逃げ切り、1番人気に応えました。エクサイは、この後行われるレキシントン・ステークスの去年の勝馬で、キーンランド競馬場では二つ目のGレース優勝です。キーンランドとは余程相性が良いのでしょうね。
調教師はまたまたトッド・プレッチャーさん、今回はハヴィエル・カステラノ騎乗でした。
もう一つがクラシックに向けたステップレースの一つ、レキシントン・ステークス Lexington S (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。レース名のレキシントンは有名な競走馬からではなく、ケンタッキー州中部に位置する馬産で有名な街の名。北海道の新ひだか町(旧静内町)と姉妹都市なのは、もちろん馬産繋がり。同じ趣旨で英のニューマーケット、愛のキルデア、仏のドーヴィルとの姉妹都市になっています。時期的にみてケンタッキー・ダービーへの事実上の最終便。
今年の勝馬はダービー・キッテン Derby Kitten 。6頭立て。レースは豪雨の中、最後方からの追い込みで、2着プライム・カット Prime Cut に1馬身半差を付ける快勝です。9対1の人気薄、G戦初挑戦、初めてのポリトラック・コース(これまでは芝専門)を克服しての番狂わせでした。
馬名から連想できるように、ダービー・キッテンは二つ前に行われたベン・アーライの2着馬と同じ馬主、実はこの間に行われたノン・グレードのステークスも「キッテン」の馬主が勝っていて、この日はオーナーにとって大稼ぎの一日となりました。ダービー・キッテンはスケジュールを考え、ダービーはパスして二冠目のプリークネス・ステークスに挑戦する予定です。
調教師はマイケル・メイカー、騎手はジュリアン・ルパルー。
最後にこのコーナー初登場のローン・スター・パーク・競馬場 Lone Star Park に行きましょう。最近まで競馬にはあまり縁がなかったテキサス州にある競馬場で、1997年に開場した新しいコースです。しかしながら2004年には栄えあるブリーダーズ・カップ・シリーズの開催地に選ばれ、一躍世界にその名を知られるようになりました。
ここで行われるテキサス・マイル・ステークス Texas Mile S (GⅢ、3歳上、8ハロン)は、1997年に創設され、1999年にテキサス州初のGレースとして格付けされた記念すべき一戦です。もう一つのローン・スター・パーク・ハンデと共に“テキサス・ツーステップ”を形成する重賞。
今年の勝馬はディスカイハズノーリミット Thiskyhasnolimit 。5頭立て。こちらは好天の中で行われ、最後方に待機したディスカイハズノーリミットが3コーナーで捲り気味に進出、直線では逃げたグラッディング Gladding との競り合いを半馬身制して1番人気に応えました。Gレース優勝は2009年以来のこと。
調教師はスティーヴ・アスムッセン、騎手はフスティン・シェパード。
最近のコメント