クレイヴァンはハノン師のワン・ツー

昨日のニューマーケットはクレイヴァン・ミーティングの二日目、と言っても開催は二日間です。パターン・レースは２鞍、先ず２０００ギニーのトライアルとなるクレイヴァン・ステークス Craven S (ＧⅢ、３歳、１マイル)から行きましょう。

前日のテレビ中継でもカメラに雨粒が掛かっていましたが、馬場は good to soft に変わっていました。１３頭が登録していましたが、１番人気になると思われていたモースト・インプルーヴド Most Improved が当日の朝に跛行が見られたとのことで直前に取り消してしまいます。昨年のデューハースト・ステークス３着、現時点で２０００ギニーの２番人気に挙げられている馬ですね。
突然の中心不在の中で１番人気(７対２)に上がったのは、２歳時に新馬勝ちしただけ、１戦１勝のマイティー・アンビション Mighty Ambition でした。ゴドルフィンの期待、デットーリ騎乗。

レースはスタンドに近い１０番枠から好スタートを切った２番人気(４対１)のクライアス Crius がハナに立つと、３番枠スタートのイースタン・サン Eastern Sun も積極的に前に出、他馬がスタンド沿いに進む中、単騎で馬場の中央に進路を取ります。
残り１ハロン半、５番手を追走していた３番人気(９対２)のトランペット・メジャー Trumpet Major が抜け出し、右に寄れる若さを見せながらも一気に加速、２着以下に５馬身差を付ける鮮やかな勝利でした。
馬場中央から外目を通ったイースタン・サンが一旦は２番手に上がりましたが、内ラチ(スタンド側)沿いに逃げたクライアスが再び脚を伸ばして２着に差し返し、イースタン・サンは更に１馬身半差の３着。本命マイティー・アンビションは５着に終わっています。

勝ったトランペット・メジャーは、２着クライアス共々ハノン厩舎所属、リチャード・ハノン師のワン・ツー・フィニッシュです。勝馬にはライアン・ムーアが、２着馬には前日のネル・グィンを制したパット・ダブスが騎乗していました。トランペット・メジャーは２歳時８戦３勝、シャンペン・ステークス(ＧⅡ)に勝ち、デューハースト・ステークス(ＧⅠ)はパリッシュ・ホール Parish Hall の５着だった馬。
クレイヴァン・ステークスはＧⅢで、ＧⅡ以上を勝っている馬にはペナルティーが課せられます。トランペット・メジャーは出走馬中唯一のＧⅡ馬であるため３ポンドの重量負担がありました。その上での５馬身差、陣営も予想外の馬の成長振りに驚きを隠せません。２０００ギニーのオッズも６対１から８対１の範囲に急上昇しています。

また同陣営のクライアスは２歳時５戦３勝、トトーソル・ステークス(ＧⅢ)の勝馬で、陣営では２０００ギニーはパスし、大陸のギニーに向かう意向のようです。

続いては古馬によるアール・オブ・セフトン・ステークス Earl of Sefton S (ＧⅢ、４歳上、１マイル１ハロン)。１０頭が登録していましたが、前哨戦となるドンカスター・マイル(リステッド、平場シーズン開幕日)に勝ったペニテント Penitent が取り消して９頭立て。
ここはＧⅠ４勝(チャンピオン２回、エクリプス、ジャドモント・インターナショナル)馬のトゥワイス・オーヴァー Twice Over が６対５の確たる中心馬と評価されていました。２００９年のこのレースは１番人気で３着、その雪辱戦でもあります。

レースは、１年以上の休養明けとなるタイタス・ミルズ Titus Mills の逃げを、去年のこのレースの勝馬で２番人気(５対１)のランソム・ノートが追走する展開で始まりました。最後の１ハロン、早目追走の外から抜けたトゥワイス・オーヴァーと、スタンド側ラチ沿いから外に出して抜けた伏兵(１０対１、５番人気)クエスチョニング Questioning との激しい叩き合いとなり、頭差でクエスチョニングが先着。１馬身４分の３差で３番人気(６対１)ベアトリス・オローア Beatrice Aurore の順。ランソム・ノート Ransom Note は８着敗退です。
クエスチョニングに騎乗したウイリアム・ビュイック騎手が最後の競り合いでムチを右から左手に持ち替え、トム・クィーリー騎乗のトゥワイス・オーヴァーに馬を寄せたことが審議の対象となりましたが、結局は着順通りで確定しました。

ジョン・ゴスデン調教師が管理するクエスチョニングは、１勝馬ながら前走ドンカスター・マイル(４月１日)で取り消したペニテントの２着した馬。不利があっての惜敗でした。去年秋のケンブリッジシャー・ハンデ(１４着)も他馬とぶつかる不利を被っての敗戦、これまで不運続きで今一つ成績が上がらなかった４歳馬です。

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