2016ヨーク・イボア開催2日目
ヨーク競馬場のイボア開催、初日は牡馬たちにスポットが当たりましたが、2日目は注目の牝馬たちが登場して2鞍のG戦が行われました。馬場は引き続き good to firm 。
先ず2歳馬のラウザー・ステークス Lowther S (GⅡ、2歳牝、6ハロン)は8頭立て。何と言っても先月アスコットのプリンセス・マーガレット・ステークス(GⅢ)でヴェールを脱いだフランケル Frankel の初産駒フェア・イーヴァ Fair Eva が4対11の圧倒的1番人気。早くも来年の1000ギニーは固いと言われている1頭です。アスコットではデットーリが騎乗していましたが、今回はパット・スマーレンが鞍上。
逃げたのは、前走ニューマーケットでダッチェス・オブ・ケンブリッジ・ステークス(GⅡ、旧チェリー・ヒントン・ステークス)に勝って3ポンドのペナルティーを背負った3番人気(15対2)のロリー・ポリー Roly Poly 。フェア・イーヴァは先行し、残り1ハロンでいつでも抜け出す体制に入りましたが、意外や伸びず。同じく先行から前が塞がって行き場を失くしていた2番人気(9対2)のクイーン・カインドリー Queen Kindly が間をこじ開けるようにして抜け出し、ロリー・ポリーを4分の3馬身捉えて優勝。フェア・イーヴァは更に4分の3馬身差で3着に終わってしまいました。3連勝成らず。
リチャード・ファヘイ厩舎、ジェイミー・スペンサー騎乗のクイーン・カインドリーは、終わって見ればやはりフランケルの娘。キャタリックでデビュー勝ちし、ロイヤル・アスコットのアルバニー・ステークス(GⅢ)で3着。この時はファヘイ師がガックリ肩を落としていたほど自身があったレースでしたが、続くキャタリックの一般戦に勝って気持ちを取り直し、遂に期待通りG戦獲りに成功しました。母レディー・オブ・ザ・デザート Lady of The Desert も、2代母のクイーンズ・ロジック Queens Logic もラウザー・ステークスに勝っており、これで3代続けての2歳牝馬G戦勝馬と言う珍しい記録を達成したことになります。
ただ母も祖母も2歳時がピークのスプリンターだっただけに、クイーン・カントリーが1マイルを克服できるかは、正直なところやって見なければ判りません。1000ギニーのオッズはレース前の201対1から10対1へと半分に上昇しましたが、陣営は血統面を考慮し、次はチーヴリー・パーク・ステークスでGⅠ奪取を狙うでしょう。
一方敗れたフェア・イーヴァ、それでも勝馬からは1馬身半差でもあり、これで鍍金が剥げたというワケでもありますまい。1000ギニーのオッズは6対1と若干下がりましたが、現時点での本命であることに変りは有りません。来年のギニーはフランケル産駒同士の対決となるか・・・。
続いてはGⅠのヨークシャー・オークス Yorkshire Oaks (GⅠ、3歳上牝、1マイル4ハロン)。12頭が参戦する混戦となり、GⅠで3戦連続2着しているオブライエン厩舎のファウンド Found が2対1の1番人気。今期はGⅢ戦に1勝しただけですが、去年のBCターフの覇者でもあります。
3頭出しオブライエン厩舎の11番人気(25対1)プリティー・パーフェクト Pretty Perfect の逃げ、ファウンドは何時もの様に後方からの末脚に賭けます。先行していた3番人気(6対1)のクィーンズ・トラスト Queen’s Trust が前を捉えて一旦先頭に立ちましたが、ここに襲い掛かって来たのかオブライエンの2騎。ファウンドも良く伸びましたが、これを上回ったのが2番人気(10対3)で3歳馬のセヴンス・ヘヴン Seventh Heaven で、残り1ハロンで先頭に立つと、ファウンドに2馬身4分の3差を付ける圧勝でした。ファウンドは又しても2着の銀メダルに留まり、1馬身4分の1差でクィーンズ・トラストが3着。
ワン・ツー・フィニッシュとなったエイダン・オブライエン師は結果に大満足。結果的にペースメーカーだったプリティー・パーフェクトも4着に頑張っていました。勝馬にはコーム・オダナヒュー、2着馬にはシーマス・ヘファーナンが騎乗しており、オダナヒューは“セヴンス・ヘヴンはライアン・ムーアの馬。彼は間もなく戻ってくるので、それまでキチンと整えておいたヨ”とコメントしています。
セヴンス・ヘヴンはもちろん愛オークスの勝馬で、アスコットのチャンピオン・フィリーズ・アンド・メアーズ(GⅠ)に5対1(12対1から)、凱旋門賞には16対1のオッズが出されました。オブライエン師によれば、同馬は4歳になって更に充実するタイプだそうで、本格的な勝負は来年になりそうです。
一方ファウンド、今回はあくまでも休養明けの試走と考えているようで、今週の日曜日にカラーで行われるロイヤル・ホイップ(GⅠ戦の3日後に使うなど日本では有り得ませんが)を使い、愛チャンピオンから凱旋門賞というローテーションになるのだとか。数あるGⅠクラスのオブライエン軍団、帰ってくるムーアがどれを選ぶかに注目しましょう。
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