ヨーク・メイ・ミーティング

6月初旬に迫ったダービーとオークス、このところ毎日のようにトライアル・レースが行われてきましたが、その最終便とも言えるのが、ヨーク競馬場で行われるミュジドラ・ステークスとダンテ・ステークスでしょう。
さてヨーク競馬場。ここはイングランド北東部、イギリスでもかなり北に位置しています。セントレジャーが行われるドンカスター競馬場より更に北ですね。有名なピアノ・コンクールが開催されるリーズよりも北。
私も30年以上前にここを訪れたことがありますが、競馬場はヨークの街を見下ろすような丘の上に拓かれています。ここはクナーヴェスマイヤ Knavesmire と呼ばれる台地で、土に粘り気があり、競走馬にとってはかなりタフなコースだと思います。実際に私も走ってみましたが、息が切れたのなんの、尤も自分の体力不足が原因だったんでしょうけど・・・。
冗談はさておき、ヨーク競馬場は歴史的なマッチ・レースが行われた舞台としても有名です。1851年、2頭のダービー馬、ヴォルティジュールとザ・フライング・ダッチマンとの対決。これを見物に訪れた観客は、何と10万人に及んだとか。
ヨーク競馬場の最大のミーティングは8月。去年の日記でも若干触れていますが、GⅠ競走がいくつも行われます。それに次ぐのが、5月の3日間で行われるメイ・ミーティング。昨日5月14日から16日までで、5つのパターン・レースがメインです。
まず14日の結果。
オークス・トライアルになるミュジドラ・ステークス Musidora Stakes (GⅢ、3歳牝、1マイル2ハロン)は8頭立て。2対1の本命に支持されたラッシュ・ラッシズ Lush Lashes が2着ケイプ・アンバー Cape Amber に5馬身差を付けて圧勝しています。アイルランドのボルガー調教師の管理馬、騎手はマニングくんです。
ラッシュ・ラッシズは1000ギニーこそ6着に終わりましたが、そろそろ本格化、距離も伸びて本領を発揮した、と評価して良いんでしょうねぇ。
これでオークスに王手、と言いたいところなんですけど、ボルガーさんは慎重で、オークスはパスしてアイルランド・オークスを狙う積りじゃ、なんて言っています。同じく管理しているニュー・アプローチと同じじゃん、と思いましたよ。
曰く、ラッシュ・ラッシズのイギリス遠征は今回が2度目、帰国してからの状態や体重の減り具合を見てエプサムへの出否を判定したい、という意向。エプサムまでは3週間しかないというのも躊躇っている原因なんだとか。ふう~ん。
ロイド=ウエッバーさんの持ち馬ダー・レ・ミは3着、オブライエン/ムルタのオークス秘密兵器・ムーンストーンが4着でした。3着と4着は、道中ややラフな展開があり、ダー・レ・ミは後脚に切り傷が見つかってます。ダー・レ・ミ側としてはムルタ騎手に注文を付けたいような感じでしたね。
もう一つのパターン・レースは、スプリンターが勢揃いしたデューク・オブ・ヨーク・ステークス(GⅡ、3歳上、6ハロン)。17頭の大混戦を制したのは、ハノン厩舎のアサーティヴ Assertive でした。去年までパターン・レースへのチャレンジを続け15連敗。ようやく念願のGレース・ウイナーとなりました。
レースも大混戦で、2着ウォー・アーティスト War Artist とは首差、更に3着ベッカーメット Beckermet とも首。オブライエン/ムルタ組のユーエス・レンジャー US Ranger はまたしても4着に敗退です。
ウォー・アーティストは元南アフリカの名スプリンターで、自国でのGⅠ勝によるペナルティー(5ポンド)の負担重量が響いたのでしょう。1・2着馬の次走は共にロイヤルアスコットのゴールデン・ジュビリーになる模様。これはGⅠですから負担重量のペナルティーはありません。ウォー・アーティストの雪辱なるか。
ということで、今日はダービー・トライアルであるダンテ・ステークスがあり、最終日の金曜にはステイヤーのためのヨークシャー・カップが行われる予定です。
ところでヨーク競馬場では4着続きだったオブライエン調教師とムルタ騎手。レース終了後アイルランドにトンボ帰りし、ナース競馬場 Naas で行われたブルー・ウインド・ステークス(GⅢ、3歳牝、1マイル2ハロン)をアドアード Adored で制し、見事に憂さ晴らしをしています。2着もオブライエン厩舎のプロフォンド・ビューティー Profound Beauty ですから、ワン=ツー・フィニッシュですな。
この記事読んでて“エッ” と思う方もおられるでしょね。そう、デューク・オブ・ヨーク・ステークスのスタートは14時40分、アイルランドのブルー・ウインド・ステークスのスタートは19時20分です。もちろん騎手はチャーター機で移動するんですが、こんな離れ業が出来るのも、季節ははや初夏。夏時間がスタートするのも間近、夜も明るい北国の夏が始まっているんですねぇ。

 

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