オブライエン父子の英愛2000ギニー・ダブル

土曜日のカラー競馬場、パターン・レースは3鞍ですが、先ずはクラシック・レースの結果から報告しましょう。

アイルランド2000ギニー Irish 2000 Guineas (GⅠ、3歳、1マイル)は、既に紹介したように11頭が登録していましたが、何と当日の朝になって本命視されていたパリッシュ・ホール Parish Hall が取り消してしまいました。
後脚に感染症の疑いがあるとのことで、白血球の値が著しく高いとのこと。精密検査はこれからですが、ボルジャー陣営が期待していたダービーも登録を抹消することになるでしょう。

ということで、急遽賭けは組み直し、最終的に1番人気(9対4)に推されたのは英2000ギニー4着のトランペット・メジャー Trumpet Major でした。これに先着したエルミヴァル Hermival がほとんど差の無い2番人気(4対1)で続きます。
馬場状態は good 、所により good to firm と、ニューマーケットとは全く異なる乾いたコース。

レースは4頭出しで臨んだオブライエン厩舎の2頭、今冬UAEダービーに勝ったダディー・ロング・レッグズ Daddy Long Legs とBCジュヴェナイル・ターフの覇者ロート Wrote がハイペースで飛ばします。前者が逃げて後者は2番手、3番手に付けた人気薄(33対1)フォックストロット・ロメオ Foxtrot Romeo とは早くも大きな差が付く展開。本命トランペット・メジャーはその後の4番手追走
残り1ハロンまではこの態勢で進みましたが、ロートがハイペースに音を上げて脱落。ダディー・ロング・レッグズ、フォックストロット・ロメオ、トランペット・メジャーの3頭が並んでハナに立ちましたが、前半はラチ沿い(スタンドから遠い側)の後方に待機していた3番人気(5対1)のパワー Power がバテたロートを外から交わし、再びラチ沿いに進路を替えると一気に内から突き抜けて鮮やかにクラシックを手中にしました。1馬身差2着にフォックストロット・ロメオが粘り、4分の3馬身差3着にオブライエン軍団の一角リプライ Reply の順。
本命トランペット・メジャーは急速に脚を失くして10着どん尻負け。2番人気のエルミヴァルも6着が一杯。終始レースを引っ張ったダディー・ロング・レッグズが首差4着に粘り、最後方から強烈な末脚を爆発させたボーン・トゥー・シー Born To Sea が5着。4番人気(6対1)のタカール Takar も期待外れの9着に終わりました。

終わって見ればオブライエン厩舎の1・3・4着。前半あれだけ離されながら、勝馬の特性を生かして仕掛けを遅らせたジョセフ・オブライエン騎手の豪胆には目を瞠るものがありましたね。大きく離されているのは承知していたが、早仕掛けで脚を失うことは避けたかったという落ち着いた判断。
パワーは英2000ギニーではライアン・ムーアが騎乗して17着(18頭立て)と期待を裏切りましたが、敗因はシーズン初戦と重馬場。ムーア騎手は事前にジョセフに電話、同馬の高い能力についてアドバイスしていたほど。(この日、ムーアはグッドウッドで見事な騎乗を披露しています)

オブライエン師は、愛2000ギニー8勝目で最多調教師の記録を更新。因みにこれまでの勝馬を列記すれば、1997年デザート・キング Desert King 、1999年サフロン・ウォルデン Saffron Walden 、2001年ブラック・ミナルーシ― Black Minnaloushe 、2002年ロック・オブ・ジブラルタール Rock of Gibraltar 、2008年ヘンリーザナヴィゲイター Henrythenavigator 、2009年マスタークラフツマン Mastercraftsman 、2011年ロデリック・オコンナー Roderic O’Connor 。
パートナーは、1997年がローチ、1999年ペリエ、2001・2008・2009年がムルタ、2002年にキネーンと来て、去年と今年は息子ジョセフ・オブライエンによる連覇と続きます。今週19歳になるジョセフ、クラシック初制覇が去年のこのレースでしたが、早くも連勝で英愛2000ギニー・ダブルも達成と破竹の快進撃と言えるでしょう。今日の愛1000ギニーも本命に騎乗してダブルを狙います。
パワーの次走はロイヤル・アスコット(セント・ジェームス・パレス・ステークス)になる予定。

クラシックの前に行われたのは、グリーンランズ・ステークス Greenlands S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。1頭取り消して11頭立て。古馬7頭対3歳4頭の構成で、1番人気(9対4)は前走レパーズタウンの1000ギニー・トライアル(GⅢ)で後のギニー馬ホームカミング・クィーン Homecoming Queen の2着した3歳馬ファイア・リリー Fire Lily 。

しかし優勝は並んだ3番人気(8対1)のティドリウインクス Tiddliwinks 、前走ヨーク競馬場のデューク・オブ・ヨーク・ステークス(GⅡ)を25対1の大穴で制した6歳馬です。半馬身差で逃げたジミー・スタイルズ Jimmy Styles が粘って2着、頭差3着にザ・リーパー The Reaper 、更に首差で去年の勝馬ヒッチンス Hitchens が入り、入着争いは接戦でした。
G戦2連勝となるティドリウインクスは、イギリスのケヴィン・ライアン厩舎所属、パット・スマーレン騎乗。スタートで出遅れて後方を進みましたが、最後の1ハロンで抜け出しての勝利。去年2着の雪辱を果たしました。

一方クラシックの後で行われたのがエキストリアン・ステークス Equestrian S (GⅢ、4歳上牝、1マイル)。9頭立て、こちらは1番人気(4対5)に支持された昨年の勝馬エミュラス Emulous が期待に応えての2連覇達成です。

逃げるロー・オブ・ザ・レンジ Law Of The Range の5番手に付け、最後の1ハロンで抜ける横綱相撲。2着は1馬身4分の3差で伏兵(33対1)ワン・スピリット One Spirit 、更に半馬身差で2番人気(5対2)のアランザ Alanza が3着。
エミュラスはデルモット・ウェルド厩舎、ハーリッド・アブダッラー殿下の持ち馬で、騎乗したパット・スマーレン騎手は、クラシックを挟んでのG戦ダブル達成。

去年もそうでしたが、この日はイギリスのヘイドック・パーク競馬場でも短距離のG戦が行われています。テンプル・ステークス Temple S (GⅡ、3歳上、5ハロン)。馬場は firm 、1頭取り消して12頭が出走してきました。

レースはタンジェリン・トゥリーズ Tangerine Trees の逃げで始まりましたが、残り2ハロンで抜け出した1番人気(2対1)ベイテッド・ブレス Bated Breath が、去年の勝馬で2番人気(3対1)のソール・パワー Sole Power の猛追を首差凌いで期待に応えました。3着は3馬身半差が開いてスピリット・クォーツ Spirit Quarts 。勝時計56秒39はトラック・レコードというスピード決着です。

ロジャー・チャールトン厩舎のベイテッド・ブレス、本来はジェームス・ドイルの騎乗が予定されていましたが、同騎手が騎乗停止処分を受けたためジョージ・ベイカーに乗り替わっての勝利。去年は3つのGⅠ戦(ジュライ・カップ、ヘイドック・スプリント、カナダのネアークティック・ステークス)で2着した実績があるものの、G戦は今回が初勝利。
次走はロイヤル・アスコットでGⅠ制覇を目指しますが、豪州の怪物ブラック・キャヴィア Black Caviar がダイヤモンド・ジュビリー・ステークスを予定しているこのこと、陣営はこれを避けてキングズ・スタンド・ステークスを狙う意向のようです。

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2件のフィードバック

  1. まとめtyaiました【オブライエン父子の英愛2000ギニー・ダブル】

    土曜日のカラー競馬場、パターン・レースは3鞍ですが、先ずはクラシック・レースの結果から報告しましょう。アイルランド2000ギニー Irish 2000 Guineas (GⅠ、3歳、1マイル)は、

  2. とても魅力的な記事でした!!
    また遊びに来ます!!
    ありがとうございます。。

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