戻ってきたゲーム・オン・デュード

三冠レースの第3弾、ベルモント・ステークスを翌週に控えたアメリカ競馬は、嵐の前の静けさとでも言いましょうか。比較的穏やかな週末を迎えています。
土曜日のG戦は3場の5鞍。順に行きましょう。

最初はベルモント・パーク競馬場のヴァグランシー・ハンデキャップ Vagrancy H (GⅡ、3歳上牝、6.5ハロン)。fast の馬場に1頭取り消しての6頭立て。
ダッシュ良く飛び出したシー・シーズ・パル C C’s Pal が粘るところ、人気のニコール・エイチ Nicole H が追い込んで両馬の一騎打ちになりましたが、一旦交わされたシー・シーズ・パルが二の足を使って差し返し、首差で優勝。3着は3馬身4分の1差でシーズ・チーキー She’s Cheeky が入りました。
リチャード・ダトロウ厩舎、ジュニア・アルヴァラド騎乗のシー・シーズ・パルは、これがG戦初勝利。5歳シーズンの初戦にアケダクトで新年のレディース・ハンデ(一般ステークス)に勝った後、バーバラ・フリッチー・ハンデ(GⅡ、ローレル・パーク)3着、ディスタッフ・ハンデ(GⅡ、アケダクト)2着とG戦では一歩及ばない成績が続いていました。

次にハリウッド・パーク競馬場からザ・カリフォルニアン・ステークス The Californian S (GⅡ、3歳上、9ハロン)。こちらも馬場は fast 、当初登録は5頭でしたが、1頭取り消して4頭立てになってしまいました。
しかし見所は断然1番人気(イーヴン)に支持されたゲーム・オン・デュード Game On Dude 。ドバイのワールド・カップ遠征以来2か月ぶりの競馬に注目が集まります。管理するボブ・バファート師はドバイで心臓発作に見舞われるアクシデント、現地で入院して事なきを得ましたが、戦友の復帰に期待が高まっていました。
モーニング・ライン Morning Line の2番手に付けたゲーム・オン・デュード、3コーナーから先頭を奪うとあとは独走。2着ケットル・コーン Kettle Corn に7馬身4分の1差を付ける圧勝劇。半馬身差で3着はプレイヤー・フォー・リリーフ Prayer for Relief 。
バファート師は若干調整不足と懸念も抱いていたようですが、馬も信頼を寄せているシャンタル・サザーランド騎手は、まるで自動操縦で高級機に乗っているみたい、と自信満々の騎乗でした。次走は、去年2着に甘んじたハリウッド・ゴールド・カップでの雪辱を期します。

最後はチャーチル・ダウンズ競馬場の3鞍。ここは所謂ナイター開催(Downs After Dark)で、煌々たる照明の下でG戦が行われました。先ほど終わったばかり。最初はウイニング・カラーズ・ステークス Winning Colors S (GⅢ、3歳上牝、6ハロン)。fast の馬場に8頭立て。
逃げるハネー・チリ Honey Chile を交わして1番人気のグッド・ディード Good Deed が先頭に立ちましたが、後方2番手を進んだ伏兵(9対1)アイランド・バウンド Island Bound が馬6頭分の外から先行馬を纏めて交わしての優勝。4馬身4分の1差2着にはビート・ザ・ブルース Beat the Blues が入り、更に1馬身4分の3でスピーディシャス Speedacious が3着。本命グッド・ディードは5着敗退。
これがステークス初勝利となるアイランド・バウンドは、イアン・ウイルケスが調教、レアンドロ・ゴンサルヴェス騎乗の5歳馬。

二つ目はアリスタイデス・ステークス Aristides S (GⅢ、3歳上、6ハロン)。スティーヴン・アスムッセン厩舎が、出れば人気になる1頭のライリー・タッカー Riley Tucker を取り消して7頭立て。替って1番人気(11対10)には同じアスムッセン厩舎のロスコ Rothko が推されていました。
レースはウイルズ・ワイルドキャット Will’s Weldcat の逃げにキャッシュ・リファンド Cash Refund が絡むハイペース。慌てず内の4番手に待機したコーリー・ナカタニ騎乗の本命ロスコは、馬3頭分の外に持ち出して鮮やかな差し切り勝ち。2着は2馬身半で逃げたウイルズ・ワイルドキャットが粘り、更に2馬身4分の1差でウイスキー・レベリオン Whiskey Rebelion が3着。去年のこのレースの覇者ノーブルズ・プロミス Noble’s promise は5着敗退です。
ロスコは前走サン・カルロス・ステークス(GⅡ)で5着どん尻に敗れて以来2か月ぶりの競馬。これがステークス初勝利となりました。

フィナーレはミント・ジュレップ・ハンデキャップ Mint Julep H (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。芝コースは firm 。当初9頭が登録していましたが、有力馬のタピッツフライ Tapitsfly など2頭が取り消し、7頭立てで行われました。
有力馬の取り消しで1番人気(9対5)に推されたビジー・カロライン Bizzy Caroline 、伏兵(9対1)ヘヴンリー・ランディング Heavenly Landing を最後で首差捉え、見事に期待に応えています。2馬身4分の3差3着はハード・セヴン Hard Seven 。
ケネス・マクピーク師が管理するビジー・カロラインは、ほぼ1年前にチャーチル・ダウンズの芝コースでリグレット・ステークス(芝GⅢ)に勝っていた馬。ここ5戦は勝に見放されていましたが、これで連敗脱出です。騎乗したマノエル・クルーズはこのレース、去年はマイ・ベビー・ベビー My Baby Baby で制しており2連覇。
ビジー・カロラインは今期、アメリカン・オークス(芝GⅠ)で1番人気に支持された(5着)馬ですから、これからの芝競馬で本領を発揮して行くことが期待されましょう。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【戻ってきたゲーム・オン・デュード】

    三冠レースの第3弾、ベルモント・ステークスを翌週に控えたアメリカ競馬は、嵐の前の静けさとでも言いましょうか。比較的穏やかな週末を迎えています。土曜日のG戦は3場の5鞍。…

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