アメリカは駆け足で

昨日のアメリカは久し振りに盛り沢山なプログラムでした。暫く楽をしていたので頭が慣れません。乱暴なレポートになりますが悪しからず。

ということで何処から行こうか迷いますが、手当たり次第ということで。最初はアーリントン・パーク競馬場から、シカゴ・ハンデキャップ Chicago H (GⅢ、3歳上牝、7ハロン)。ポリトラック・コースの馬場は fast 、1頭が取り消して8頭立て。
9対5の1番人気に支持されたのはアローワンス戦に勝ったばかりのモード・エス Maude S でしたが、優勝はニューヨークから遠征してきた3番人気(5対1)のキッティー・インナ・ティッジー Kitty in a Tizzy でした。3番手から抜け出し、本命モード・エスの追い込みを1馬身抑えての優勝。1馬身半差3着は2番人気(5対2)のアリアーナ・ディー Ariana D と比較的順当な結果。
ジェームズ・ボンド師が管理、フランシスコ・トーレス騎乗のキッティー・インナ・ティッジーはポリトラックのスペシャリストだそうで、シカゴに遠征してきたのもそれが理由。G戦は初勝利で、得意なコースを求めて競馬場から競馬場を渡り歩いている経歴の持ち主だそうです。

続いてベルモント・パーク競馬場を覗きましょうか。ここはG戦2鞍です。最初にニュー・ヨーク・ステークス Ney York S (芝GⅡ、3歳上牝、10ハロン)。芝コースは firm 、1頭取り消しの6頭立て。
去年ヨーロッパでいくつもG戦に勝ったバニンパー Banimpire が310万ドルでトレードされ、これがアメリカ・デビューとあって9対5の1番人気。しかし結果はブービー、5着に終わりました。次に期待しましょう。
優勝は4番人気(9対2)の伏兵ミスティカル・スター Mystical Star 、3番手から早目に先頭、内ラチ一杯を通って2番人気(9対5)アルーナ Aruna を1馬身抑えました。3着は半馬身差で3番人気(4対1)のヒット・イット・リッチ Hit It Rich 。
クリストフ・クレメント厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のミスティカル・スターはこれがG戦初勝利ですが、前走シープスヘッド・ベイ・ステークス(芝GⅡ)ではスタートで大きく出遅れ、最後で3着まで挽回したものの進路妨害で最下位に降着されていたあの馬です。

ベルモントのメインは歴史あるドワイヤー・ステークス Dwyer S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。こちらはメイン・コースの fast の馬場、7頭が出走してきました。G戦は未勝利ながらプリークネス・ステークスで5着したティース・オブ・ザ・ドック Teeth of the Dog がイーヴンの1番人気。
実際、本命馬は強かったですね。スタートで先頭、一旦は2番手に下げながら再びハナを奪うと、最後は追い込むファスト・ファルコン Fast Falcon との一騎打ちとなり、首差で叩き合いを制しました。3着は6馬身離されて一旦は逃げたモーガンズ・ゲリラ Morgan’s Guerrilla 。先行していたモナーシック Monarchic が向正面で脚部に故障を発症して競走中止するアクシデントがありました。
マイケル・マッツ師が管理するティース・オブ・ザ・ドッグは、プリークネス5着のあとベルモントの一般ステークスに勝って連勝、G戦は初制覇となりました。騎乗したジョエル・ロザリオはカリフォルニアからニューヨークに転籍してきたばかり、直線でのロージー・ナプラヴニク騎手(2着の鞍上)とのバトルは見応えがありましたね。

次はハリウッド・パーク競馬場。こちらのG戦はいずれもGⅠという豪華版、先ずはトリプル・ベンド・ハンデキャップ Triple Bend H (GⅠ、3歳上、7ハロン)から。オール・ウェザー・コースは fast の馬場、2頭取り消しがあって7頭が出走してきました。
ドバイのゴールデン・シャヒーン(6着)以来3ヶ月ぶりの実戦となるザ・ファクター The Factor が4対5の1番人気、去年の覇者スマイリング・タイガー Smiling Tiger が3対1の2番人気で続きます。
本命ザ・ファクターが逃げ、そのまま直線でもリードを保っていましたが、大外を通って後方から追い込んだ伏兵(10対1、5番人気)キャンプ・ヴィクトリー Camp Victory が本命馬を3馬身4分の1差切って捨てる逆転劇でした。5馬身4分の1差で3着にモーバライズド Mobalized 、3番手を進んだスマイリング・タイガーは5着敗退です。
去年2着だったキャンプ・ヴィクトリーは、2011年のロサンゼルス・ハンデを繰上りで制して以来のG戦勝利。もちろんGⅠは初制覇で、6連敗に終止符を打ちました。同馬を管理する今年64歳のマイク・ミッチェル師は、前日脳腫瘍の摘出手術を受けたばかり。このレースは病院のベッドで、夫人と2人の娘さんと一緒に観戦していた由。思わず陣営から感涙が漏れるドラマティックな結末になりました。騎乗したのはジョセフ・タラモ。

続いてシューメーカー・マイル・ステークス Shoemaker Mile S (芝GⅠ、3歳上、8ハロン)。勝馬にはBCマイルの自動的な出走権が与えられる重要なステップ・レースでもあります。芝コースは firm 、8頭が出走してきましたが、こちらも波乱です。
前走チャーチル・ダウンズでダービー当日にターフ・クラシック(芝GⅠ)を制したリトル・マイク Little Mike のGⅠ連勝に期待が掛かり、8対5の1番人気。積極的な逃げ作戦で勝利目前でしたが、こちらもゴール前で追い込み馬の末脚に勝利を攫われてしまいました。4番人気(8対1)で制したのはジェラニモ Jeranimo 、1馬身4分の1差2着にもアルゼンチンの強豪サジェスティヴ・ボーイ Suggestive Boy (同じく8対1、アルゼンチンでGⅠ3連勝、これがアメリカ・デビュー)が入り、半馬身差でリトル・マイクは3着。2番人気(2対1)のミスター・コモンズ Mr. Commons は4着でした。
ジェラニモは既にGⅡを4勝している馬ですが、去年11月のサイテーション・ハンデ(芝GⅡ)以来の勝利でGⅠは初制覇。去年7着だったBCマイルの出走権を見事に獲得しています。ところで管理するマイケル・ペンダー師もこの日は欠席。こちらは病気ではなく単なる休暇と言いますから気が抜けてしまいますな。まさか勝つとは思っていなかったのでしょうか。鞍上はギャレット・ゴメス。

さてこの日から福永祐一騎手も乗っているチャーチル・ダウンズ競馬場に寄りましょう。福永ジョッキーの初戦は第2レースのゴー・ベビー・ゴー・ゴー Go baby Go Go でしたが、12頭立ての11着に終わったようです。その後の情報は入っていませんが、チャーチル・ダウンズの結果を見る限りでは3着以内は未だ無いようですね。
さてこの日のG戦は、先週のデビュタント・ステークスの牡馬版に相当するバッシュフォード・マナー・ステークス Bashford Manor S (GⅢ、2歳、6ハロン)。fast の馬場に8頭が出走してきました。
優勝は見事1番人気(2対1)に応えたサークル・アンブロークン Circle Unbroken 、4番手で直線に向き、馬群を割って伸びた脚には2歳馬らしからぬものを感じました。1馬身差2着はポジティヴリー Positively 、1馬身4分の1差3着にスペシャル・ジョー Special Jo の順。なお、4着入線ハイテイル Hightail に騎乗したヴァスケス騎手から1・2着のジョッキー(ジョン・ケントン・コート、カルヴィン・ボレル)に対し異議申し立てがありましたが、裁決が却下しています。
サークル・アンブロークンは6月17日にデビュー勝ちを飾っており、これで2戦2勝。馬名は、同馬を管理するギャリ―・シムス調教師が長年腫瘍と闘っていることを応援する仲間たちのグループ名から採ったとのこと。これも中々に感動的なシーンではありました。シムス師は先週のデビュタントもブルーアイズインザレイン Blueeyesintherein で制しており、チャーチル・ダウンズの最初の2歳戦をいずれも制した5人目の調教師でもあります。1年後にダービーとオークスを両馬で勝てればどれだけ幸せなことか、というのが師のコメントでした。

この後は大幅に端折ります。いい加減疲れたのでね。

モンマス・パーク競馬場のイートンタウン・ステークス Eatontown S (芝GⅢ、3歳上牝、8.5ハロン)。firm の芝コース、2頭取り消して8頭立て。3対2の1番人気に支持されたルーセニア Ruthenia が4着に敗れ、勝ったのは2番手追走から抜け出した4番人気(9対2)のシルヴァー・スクリーマー Silver Screamer 。1馬身半差2着ヘヴンリー・ランディング Heavenly Landing 、4分の3馬身差3着アンブライドルド・ヒューモア Unbridled Humor はいずれも7対2の2・3番人気だった馬。
勝ったシルヴァー・スクリーマーはルディー・ロドリゲス調教、ホセ・エスピノザ騎乗。

最後にナイター競馬のプレーリー・メドウス競馬場から3鞍のG戦。最初はアイオワ・オークス Iowa Oaks (GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)。fast の馬場に6頭立て。ステークス初出走のアップタウン・バーティー Uptown Bertie が本命アイス・クリーム・サイレンス Ice Cream Silence に2馬身4分の1差を付ける追込み勝ち。3着は4分の馬身差でエモナ Emona 。
勝馬の調教師はスティーヴ・マーゴリス、勝利騎手はジュリアン・ルパルー。

次はアイオワ・ダービー Iowa Derby (GⅢ、3歳、8.5ハロン)。5頭立て。クラシック戦線を沸かせてきたハンセン Hansen が1対9の圧倒的な人気を背負い出走。スタートから格の違いを見せ付け、2着ヒーロー・オブ・オーダー Hero of Order に10馬身の大差を付ける圧勝。追ったところ無しで、実力は着差以上。3着は3馬身半差でマチョ・ブル Macho Bull 。
ハンセンを調教するのはマイケル・メイカー師、ラモン・ドミンゲス騎乗。

愈々最後がプレーリー・メドウス・コーンハスカー・ハンデキャップ Prairie Meadows Cornhusker H (GⅢ、3歳上、9ハロン)。陽もとっぷりと暮れた闇の中、煌々たる照明がコースを照らします。ここも6頭と少頭数。サクセスフル・ダン Successful Dan が1対2の圧倒的1番人気に支持されましたが、2番人気(7対2)のフォート・ラーンド Fort Larned が逆転の逃げ切り勝ち。3馬身差2着に漸くサクセスフル・ダンが追い上げ、オウサム・ジェム Awesome Gem が2馬身4分の3差で3着。5月4日、チャーチルダウンズのアリシェバ・ステークス(GⅡ)とは1・2着が逆転した結果。
フォート・ラーンドはイアン・ウイルケス厩舎、ブライアン・ジョセフ・ヘルナンデス・ジュニアという長い名前の騎手が騎乗していました。

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1件の返信

  1. まとめtyaiました【アメリカは駆け足で】

    昨日のアメリカは久し振りに盛り沢山なプログラムでした。暫く楽をしていたので頭が慣れません。乱暴なレポートになりますが悪しからず。ということで何処から行こうか迷いますが、…

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