ドーヴィル開幕週

昨日のレポートを失念してしまいましたが、28日の土曜日からフランスのドーヴィル競馬場/夏開催がスタートしています。遅れ馳せながら土曜日の結果と、昨日の2鞍についてレポートしておきましょう。

最初は初日のメイン、プシケ賞 Prix de Psyche (GⅢ、3歳牝、2000メートル)から。good の馬場、1頭取り消しの8頭立て。前走クロエ賞(GⅢ)2着のロマンティカ Romantica が13対10の1番人気に支持されていました。

レースは本命馬のペースメーカーを務めるマジック・モティーフ Magic Motif が逃げ、ロマンティカは3番手を進みましたが、2番手に付けていた3番人気(57対10)ローパルティ― Leaupartie の伸び脚が勝り、ロマンティカに半馬身差を付けて優勝。短首差の2着に2番人気(7対2)のバギー・ダモーレ Bugie D’Amore が入りました。
勝ったローパルティーはファブリース・シャペ厩舎、グレゴリー・ブノア騎乗。前走仏オークスは追加登録料を支払って参戦するも6着に終わっていましたが、この勝利でオークスの登録料(5万5千ユーロ)を取り戻した形です。

続いて昨日の結果から、先ずはカブール賞 Prix de Cabourg (GⅢ、2歳、1200メートル)。馬場は前日と同じ good 、6頭が出走してきました。1番人気(13対10)に推されたのは、ここまで3戦2勝2着1回のワイルド・ホース Wild Horse 。新馬戦に勝ったばかりの1勝馬パール・フルート Pearl Flute が2対1の2番人気で続きます。

しかし結果は3番人気(9対2)マザメール Mazameer の逃げ切り勝ち。英国(マーク・ジョンストン厩舎)から遠征したベイリーズ・ジュビリー Baileys Jubilee が4番手から猛追して短首差の2着。2馬身半差3着にパール・フルートが入り、本命ワイルド・ホースは3番手を進むも伸びず、4着敗退でした。
フレディー・ヘッド厩舎、ティエリー・ジャルネ騎乗のマザメールは、シャンティーの1200メートル戦でデビュー勝ち、前走ドーヴィルの1200では2着でしたが、どちらも不良馬場での競馬。これで3戦2勝とし、次走は当然ながらモルニー賞(GⅠ)になると思われます。

また2着に食い込んでジョンストン師を喜ばせたベイリーズ・ジュビリーは、今回が8戦目と経験豊富な牝馬。ロイヤル・アスコットのクィーン・マリー・ステークスにも出走して13着でしたが、前走はヴィシー競馬場のリステッド戦を遠征して勝ち取っていました。このあともパターン・レース路線を歩む予定のようです。もちろんモルニーも視野に入ってくるでしょう。

そして昨日のメイン、ロッシルド賞 Prix Rothschild (GⅠ、3歳上牝、1600メートル)。僅か5頭立てながら、4頭がGⅠホースという豪華版です。7対10の1番人気は、仏クラシック2冠にイスパハン賞を加えてGⅠ3勝のゴールデン・ライラック Golden Lilac 。前走ニューマーケット遠征(フォルマス・ステークス)は9着と期待を裏切りましたが、馬場が回復したここでは本来の実力に期待が集まります。

マクシム・グィヨン騎乗の本命ゴールデン・ライラック、3番手待機から直線で追い上げましたが、スタートから逃げ作戦に出た2番人気(27対10)エルーシヴ・ケイト Elusive Kate を捉えるまでに至らず1馬身4分の3差2着まで。更に2馬身半差で唯一のGⅠ未勝利馬マシューラ Mashoora が3着。サン=タラリ賞勝馬サガワラ Sagawara が4着、コロネーション・ステークスとジャック・ル・マロワ賞のインモータル・ヴァース Immortal Verse は終始後方のまま5着に終っています。
近年のフランス競馬は、ジョッキーが先に行くのを嫌い、直線だけの瞬発力勝負になり勝ち。ジョン・ゴスデン師、ウイリアム・ビュイック騎手の英国コンビはこの弱点を衝き、前半はスロー、レース半ばからペースを一気に上げて鮮やかにGⅠレースを逃げ切ってしまいました。

去年のマルセル・ブーサック賞に勝っているエルーシヴ・ケイトは、これがGⅠ2勝目。前走フォルマス・ステークスでもジォフラ Giofra の2着と、ゴールデン・ライラックには先着していた実績があります。日本でも知られているように、吉田照哉氏の持ち馬。あの社台の勝負服ですね。今期は未だ2戦目、京都のマイル・チャンピオンシップに出てくる可能性もあるのじゃないでしょうか。
同馬はフランスでは4戦4勝。馬自身がフランスの環境、ドーヴィルの雰囲気を愛している様子ですね。

ところで凄いのはゴスデン/ビュイックの黄金コンビ。この7月だけでも愛オークス、エクリプス、プリティ・ポリーに加えて4つ目のGⅠ。正にゴールデン・クァルテットと称すべき大活躍でした。

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