2013クラシック馬のプロフィール(13)

今年のこのコーナーも今回が最終回です。後は姉妹篇の菊花賞を残すのみ。英愛仏の純粋な意味でのクラシック・レースは全部で13レースありますが、遂に今年は全て勝馬が異なり、プロフィールも13頭を紹介する羽目になってしまいました。
ということで、最終回はセントレジャー馬リーディング・ライト Leading Light

リーディング・ライトは、父モンジュー Montjeu 、母ダンス・パレード Dance Parade 、母の父ゴーン・ウエスト Gone West という血統。

モンジューについては改めて紹介する必要も無いと思いますが、ガリレオ Galileo と共に大種牡馬サドラーズ・ウェルズ Sadler’s Wells の代表的な後継馬。
去年16歳で没し、今年のクラシックは愛オークスのチキータ Chicquita (プロフィール12)に次いで2頭目。レースのレポートでも紹介したように、セントレジャーは3頭目となります。

以上でモンジューは卒業し、早速首題の牝系について。
母ダンス・パレード(1994年、栗毛)は、英国でポール・コール師が管理した馬。コール師は今年70歳になる現役の調教師ですが、最も輝いていたのは1991年で、この年はジェネラス Generous とダービーを制し、リーディング・トレーナーのタイトルも獲得した方。
3月8日生まれのダンス・パレードは、ヨークで新馬勝ち、続くビヴァリーの一般戦にも勝ってロイヤル・アスコットを目指します。そこで見事にクィーン・メアリ・ステークス(現在はGⅡですが、当時はGⅢ)に優勝。ここまでは全て5ハロンのスプリント戦でした。
アスコットで勝った後にバクテリアに感染して休養を余儀なくされたダンス・パレード、2歳の最終戦に選ばれたのは、パリのマルセル・ブーサック賞(GⅠ)。病後であったためか精彩を欠き、ここでは13頭立ての11着(勝馬はライアファン Ryafan)でシーズンを終えます。この年のタイムフォームのレーティングは102。レースホース誌では1マイルまでステイすると評されました。

3歳になったダンス・パレードは、G戦勝馬として1000ギニーを目指します。そのトライアルとしてニューバリー競馬場のフレッド・ダーリング・ステークス(GⅢ)に出走し、見事に優勝。G戦2勝馬として1000ギニーに挑戦、18対1(9番人気)でしたがスリーピータイム Sleepytime の15頭立て12着敗退。コール師によれば、レース後は立ち上がれないほどに疲労困憊していたとのこと。英国でのレースはこれが最後となります。
この年のタイムフォーム評価は107、この年の裡にアメリカに転戦が決まり、ニール・ドライスデール厩舎に送られました。

アメリカでの戦績は詳しくは不明ですが、6戦3勝。勝鞍は全てグレード戦で、4歳時にブエナ・ヴィスタ・ハンデ(芝GⅡ、8ハロン)、ラス・シネガス・ハンデ(芝GⅢ、6.5ハロン)、オータム・デイ・ハンデ(芝GⅢ、6.5ハロン)。短距離から1マイルまでの距離で活躍しました。

繁殖に上がったダンス・パレードの成績を生年順に纏めると、
2001年 スペシャル・ジグ Special Jig (栗毛、牝、父シアトリカル Theatrical) アメリカで走り10戦1勝 勝鞍は8.5ハロン。
2005年 キャッスル・イン・ジ・エア Castle in the Air (鹿毛、せん、父オアシス・ドリーム Oasis Dream) 英国パット・エデリー厩舎 3シーズン走って20戦3勝 勝鞍は6ハロン2勝、7ハロン1勝
2006年 オナーズ・ストライド Honours Stride (鹿毛、牝、父レッド・ランソム Red Ransom) 英国マイケル・スタウト厩舎 3歳時4戦1勝 勝鞍は10.3ハロンで、1マイル半に適した馬
2007年 アワ・ドラマ・クィーン Our Drama Queen (栗毛、牝、父デインヒル・ダンサー Danehill Dancer) 英国リチャード・ハノン厩舎 3歳時8戦1勝 勝鞍は7ハロン
2009年 ウォリック・アヴェニュー Warwick Avenue (鹿毛、牡、父モンジュー) 愛国エイダン・オブライエン厩舎 6戦2勝 勝鞍は共に10ハロン ロイヤル・ホイップ・ステークス(GⅡ)3着
2010年 リーディング・ライト 当該馬
2011年 ジョン・コンスタブル John Costable (鹿毛、牡、父モンジュー) 現時点で未出走

以上、セントレジャー馬の兄弟にG戦勝馬はいませんが、全兄のウォリック・アヴェニューが10ハロンで2勝し、GⅡ戦で入着しているのが目を惹きます。なお2002年から2004年までは空胎だったようで、レースホース誌でもキャッスル・イン・ジ・エアは2番仔として紹介されていました。

2代母はリヴァー・ジグ River Jig (1984年 鹿毛 父アイリッシュ・リヴァー Irish River)。彼女はイタリアで走った馬で、10戦2勝。勝鞍は9ハロンと1マイル半でのもので、2歳時にイタリアのGⅢで2着した実績があるそうです。

繁殖牝馬としての成績も中々のもので、6戦未勝利に終わった娘のトレジャー・トローヴ Treasure Trove (1989年、栗毛、父ザ・ミンストレル The Minstrel)からは、フォレ賞(GⅠ、7ハロン)を制したトイルサム Toylsome (1999年、栗毛、父カドー・ジェネルー Cadeaux Genereux)が出ましたし、
ダンス・パレードの一つ上のオーシャン・クイーン Ocean Queen (1993年、栗毛、牝、父ジルザル Zilzal)が、アメリカでベイ・メドウズ・ブリーダーズ・カップ・ダービー(当時の芝GⅢ)に勝ってG戦勝馬にもなっています。

次に3代母バロノヴァ Baronova (1975年、鹿毛、父ニジンスキー Nijinsky)は3戦1勝。競走成績は目立ちませんが、その娘ミランダ Miranda (1982年、栗毛、父フォルリ Forli)からは豪州のGⅠ(アンダーウッド・ステークス)馬オールウェイズ・アルーフ Always Aloof (1991年 鹿毛、牡、父アレッジド Alleged)も出ました。

更に遡って5戦1勝の4代母ツェセベ Tsessebe (1970年、黒鹿毛、父バックパサー Buckpasser)は、バロノヴァ1頭を残しただけで1976年に僅か6歳で死亡。
5代母モナーキー Monarchy に遡ります。

モナーキーにはツェセベの他に2頭の重要な娘があり、
先ずチェリー・ヴァレー Cherry Valley からは3代目にフィリーズ・マイルに勝ったテスラ Tessla が出、
ステート State からは3代目にフリゼット・ステークスのピーチ Peach 、その産駒にもブルー・グラス・ステークスに勝って種馬としても成功しているパルピット Pulpit が出ました。

更にステートの孫娘ヤーン Yarn はテール・オブ・ザ・キャット Tale of the Cat (キングズ・ビショップ・ステークス)、ミナルディ Minardi (ミドル・パーク・ステークス、フェニックス・ステークス)の母であり、
ミドル・パーク・ステークス、フェニックス・ステークス、モルニー賞、BCジュヴェナイルとGⅠ4勝のヨハネスブルク Johannesburg の2代母でもある、という具合。

もう一代加えれば、6代母は名牝ナイツ・ドーター Knights Daughter 。
ナイツ・ドーターはアメリカを代表する名馬ラウンド・テーブル Round Table の母であるだけではなく、競走馬としても繁殖牝馬としても英国スタッド・ブックの至宝とも言えるハイペリカム Hypericum (1000ギニー)、アンジェオラ Angeola (ヨークシャー・オークス)、アバヴ・ボード Above Board (ヨークシャー・オークス)などの姉妹にも当たるのですね。

この三姉妹から出たGⅠホースは枚挙に暇がない程ですが、強いて1頭だけ挙げれば、ハイペリカムから5代目に登場するディープインパクトでしょう。
エイダン・オブライエン師はリーディング・ライトの凱旋門賞出走も視野に入れていると聞きますが、仮にこの馬が勝ったとしても、牝系の視点から我がディープインパクトの無念を晴らすことになるということも、覚えておいて損はないかと思慮します。

ファミリー・ナンバーは、2-f。ヒアシンサス・メア Hyacinthus Mare を基礎牝馬とする牝系で、このファミリーで凱旋門賞を制したのはエクスバリー Exbury ただ1頭です。

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