桂冠指揮者ジャナンドレア・ノゼーダ

今朝、プロムスのレポートをアップしたばかりですが、もう1本続けちゃいます。7月30日のコンサート。

≪Prom 22≫
モーツァルト/歌劇「ドン・ジョヴァンニ」序曲
オリヴァー・ナッセン/交響曲第2番
     ~休憩~
マーラー/交響曲第7番
 管弦楽/BBCフィルハーモニック
 指揮/ジャナンドレア・ノゼーダ
 ソプラノ/ジリアン・キース

BBCフィルは、Prom 5 でメナが指揮したコンサートに続いての登場です。今回はかつての音楽監督で、現在は同オケの桂冠指揮者に就任したノゼーダ。久し振りの登場のようです。
ところで私はこれまで「ノセダ」とばかり思っていた指揮者ですが(日本ではそう表記されていたような)、番組のレポーターは「ノゼーダ」と濁って、しかも音を引っ張って発音していました。本人が何と発音するのかは判りませんが、今回はノゼーダで行くことにします。

一見するとバラバラなプログラムに見えますが、3曲の接点もあるような・・・。
冒頭のモーツァルトは演奏会用に終結部をアレンジしたもの。いろいろな終結ヴァージョンがありますが、今回のものはモーツァルト自身が編んだものだと思います。昔のオイレンブルク版の解説に付録として掲載されている13小節と同じでした。

ナッセンの第2は初めて聴きました。今や英国作曲界の重鎮となったナッセンは、今年60歳になるんですね。多少の感慨も起きますが、何だオレより年下だったのかぁ~、と改めて驚いたりもします。
第2はソプラノ独唱を伴う20分ほどの作品で、第1と共に二十歳前に作曲したもの。プロムスでは2度目の登場だそうです。最初はドイツの表現主義の詩人ゲオルグ・トラカルの詩による歌曲集にするつもりだったそうですが、英国の女流詩人シルヴィア・プラースの詩を偶然聞いて「夜の音楽」に方向転換したのだとか。
歌はドイツ語と英語が交互に出てきて面食らいます。冒頭部分は日本の音楽語法を取り入れているとプログラムにありますが、何の予備知識もなく聴いていると、シェーンベルクやベルクの音楽を連想します。やはり12音技法が根幹にあるようですな。

今回歌ったキースはカナダのソプラノ。英国でもオペラやオラトリオで活躍している方で、バッハのカンタータやシュトラウスのアリアドネの録音もある由。

最後はマーラーの第7。マーラーは歌劇場の指揮者でモーツァルトを得意にしていましたし、マーラー作品の紹介者と言えばシェーンベルクを真っ先に挙げるでしょう。ナッセンの交響曲にはシェーンベルクの影響を感じますし、「夜の音楽」という点でマーラーとも共通します。これが謎掛けのプログラムでしょうか。

私も若い頃はマーラー命でしたが、歳を取った現在では重荷になるばかり。それでも第7は意外に好きかも。この曲はマーラーのシンフォニーでは最も人気が無いし、中々演奏されません。
今回ノゼーダは、真ん中の3つの夜曲を通して演奏しました。恰も中間の3楽章がこの曲の本質で、外の二つは額縁に過ぎないとでも言うように。これ、私は大いに気に入りましたね。
暗いようで脳天気な所もある第1楽章、明るいけれど底抜けには楽しめない終楽章は、私には余り独創性が感じられないのです。第6の亜流じゃないか、と。それに比べると「夜曲」の3楽章は夫々に魅力があります。聴けば聴くほど味が出てくる。

私にとってマーラーは、第7の中間3楽章だけが最後の楽しみになるような予感がします。そんなコンサートでした。

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