アメリカ競馬4態

土曜日のアメリカは、4つの競馬場でG戦が一鞍づつ。

先ずはモンマス・パーク競馬場のモンマス・オークス Monmouth Oaks (GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)から。fast の馬場、6頭立て。G戦では新顔というメンバーが揃いましたが、ここまで5戦、前走モンマス・パークの一般ステークスに快勝したモロウ・コーヴ Morrow Cove が8対5の1番人気に支持されていました。しかし他馬も実力、人気とも拮抗、中々難しい一戦です。
レースは差の無い2番人気(9対5)ワイン・プリンセス Wine Princess が1番枠スタートの利を活かして先頭、そのまま内ラチ沿いに逃げ切ってしまいます。これをマークした伏兵(22対1)のプラウド・パール Proud Pearl が2馬身4分の1差で2着、3着の3番人気(2対1)ジェマイマズ・パール Jemima’s Pearl とはハナ差の接戦でした。本命モロウ・コーヴは最後方を進み、第4コーナーで追い上げ態勢に入った時に2着馬プラウド・パールが外に膨れたため内にコースを変えざるを得ず、これが響いて5着と伸びきれず。パコ・ロペス騎手が2着のジョー・ブラーヴォに対して異議を申し立てましたが、結局は入線通りで確定しました。これが無ければ、あるいは結果は変わっていたかも。
スティーヴ・マルゴリス厩舎、シャウン・ブリッジモハーン騎乗のワイン・プリンセスは審議には無関係。これまたこれが未だ5戦目の新星で、前走1マイルのアローワンス戦(6月29日、チャーチル・ダウンズ)を含めて3連勝となります。
注目は彼女の血統で、父ゴーストザッパー Ghostzapper は2004年の年度代表馬、母アゼーリ Azeri もまた2002年の年度代表馬ということで、今後の成長が大いに注目される逸材でしょう。

続いてはエリス・パーク競馬場のガーデニア・ステークス Gardenia S (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。こちらも fast 、2頭取り消して9頭立て。7対5の1番人気に推されたジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory は、3月にアゼーリ・ステークス(GⅢ)で3着して以来の休養明けですが、2011年のG戦(ⅡとⅢに1勝づつ)を含めいくつもステークスに勝っている実績に期待が寄せられていました。
こちらもレースは行った行ったの展開。1番枠からダッシュ良く飛び出した並んだ2番人気(3対1)の一角ソルトリー・ストライク Saltry Strike がそのまま逃げ切り、1馬身4分の1差2着にも2番手を追走した本命ジョイフル・ヴィクトリーが入り、3着リッジェスター Ridgester は5馬身も離されていました。2番人気のもう1頭サッシー・イメージ Sassy Image は後方のまま6着まで。
これでステークスに3連勝となるソルトリー・ストライクは、ケネス・マクピーク厩舎、ヴィクター・レブロン騎乗。5月プレーリー・メドウズでのプレーリー・ローズ・ステークス、6月チャーチル・ダウンズでのロクセラーナ・ステークスに続く連勝。G戦は去年6月のドグウッド・ステークス(GⅢ)以来2勝目となります。

今度はサラトガ競馬場から、第8回フォースターデイヴ・ハンデキャップ Fourstardave H (芝GⅡ、3歳上、8ハロン)。雨の影響、前日の芝G戦はメインコースに変更されましたが、この日は予定通り芝で行われ馬場状態は yielding 。メインコースにのみ登録していた1頭の他に2頭が取り消して7頭立てで行われました。3対2の1番人気は、ダートコースでもポリトラックでも、そして芝コースでも実績を上げているGⅠホースのワイズ・ダン Wise Dan 。今回のような重い馬場に不安は残りますが、今期も1着、2着と堅実に走っています。
最内(2番枠スタートでしたが、1番枠が取り消し)から好スタートを決めたワイズ・ダンでしたが、直ぐに控えて逃げる2番人気(3対1)の一角ゲット・ストーミー Get Stormy を3番手の内々で追走します。第4コーナー手前で後続馬が外から追い出しますが、鞍上ジョン・ヴェラスケスは内でジックリ待機し、ゲット・ストーミーと内ラチに開いた1頭分の間隙をスルリと抜けて一気に先頭、そのまま2着に追い込む2番人気のもう1頭コーポレート・ジャングル Corporate Jungle に5馬身差を付ける圧勝劇を演じました。ムチは1発も使わない楽勝。逃げたゲット・ストーミーが2馬身差で3着。4着にも4番人気(5対1)のガイズ・リワード Guys Reward と順当な結果。
チャールズ・ロプレスティ厩舎のワイズ・ダン、昨シーズンをファイエット・ハンデ(GⅡ)、クラーク・ハンデ(GⅠ)と連勝で締め括り、今期は4月22日にキーンランドでベン・アリ・ステークス(GⅢ)に快勝、前走スティーヴン・フォスター・ステークス(GⅠ)も2着と好調で、これがシーズン3戦目でした。騎乗したヴェラスケスにとっては、このレースの名前となっているフォースターデイヴを義父に当たるレオ・オブライエン師が管理していた因縁もあり、勝利は格別なものだったようです。

そして最後はデル・マー競馬場から、ラ・ホヤ・ハンデキャップ La Jolla H (芝GⅡ、3歳、8.5ハロン)。スペイン語のレース名を考えて「ラ・ホヤ」としておきましょう。馬場は firm でしたが、最初から少ない登録馬の中から英国産馬ファコルトーゾ Facoltoso がレース当日に取り消し。僅か4頭立てになってしまいました。メンバーは少なくとも、最後はスリリングなゴール前になっています。
実はこのレースの前哨戦として、7月18日にデル・マー競馬場でオーシャンサイド・ステークスという一般ステークスが行われました。これは逆に多頭数で二つに分割され、この日の出走馬4頭はどちらかのレースに走っていた馬でした。6対5の1番人気に支持されたのは、分割第1組に勝ったマイ・ベスト・ブラザー My Best Brother 。その2馬身差3着だったオールド・タイム・ホッキー Old Time Hockey が5対2の2番人気。一方分割第2組からは首差2着のチップス・オール・イン Chips All In と4着のブリンゴ Blingo というメンバーです。
レースは単純、本命マイ・ベスト・ブラザーが逃げ、これをチップス・オール・イン、オールド・タイム・ホッキー、ブリンゴの順に追走。しかし結果は接戦、最内に逃げたマイ・ベスト・ブラザー、最外からオールド・タイム・ホッキー、中に挟まれてチップス・オール・インが並んだところがゴール。写真判定の結果、外のオールド・タイム・ホッキーが優勝、ハナ差2着に本命マイ・ベスト・ブラザー、頭差でチップス・オール・インと上がり、最後方を進んだブリンゴだけが2馬身4分の3差離されて4着の順。
トーマス・プロクター厩舎、ジョセフ・タラモ騎乗のオールド・タイム・ホッキーは、オーシャンサイドの前のレースでアローワンス戦に勝ち、G戦はこれが初挑戦。本命馬より4ポンド軽い負担重量、展開の綾などにより掴んだ勝利と言えましょうか。

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