マンゼの新しいヴォーン=ウイリアムズ
8月16日のプロムスは大変にへヴィーなプログラムでした。個人的には現地で最も聴きたかったものの一つ。
≪Prom 46≫
ヴォーン=ウィリアムズ/交響曲第4番
ヴォーン=ウィリアムズ/交響曲第5番
~休憩~
ヴォーン=ウィリアムズ/交響曲第6番
管弦楽/BBCスコティッシュ交響楽団
指揮/アンドリュー・マンゼ
日本ではどうもヴォーン=ウィリアムズの人気は上がりませんが、マーラーやショスタコーヴィチばかり付き合わされるよりは英国のシンフォニストをもっと聴きたいと思います。そんな天邪鬼にはピッタリなコンサートでしょう。
それにしても交響曲を三つ並べるなんて、プロムス以外では考えられません。
マンゼという指揮者は初めて聴きましたが、BBCスコティッシュの客演指揮者を務めているようで、何シーズンかに分けてヴォーン=ウイリアムズ(イギリスでは「ヴィ・ダブリュー」と略しているみたい)の交響曲を全曲取り上げるそうですね。主な活躍の場はスカンジナヴィア諸国とのこと。
私がヴィ・ダブリューのシンフォニーをナマで体験したのは1・2・3・5番の4曲だけだと思います。今回演奏された4番や6番は是非ナマで聴いてみたいもので、何処でもいいからやってくれませんかね。
大友直人氏が以前に東京交響楽団と何曲か取り上げ、いずれは全曲に発展するのかと期待していましたが、企画そのものが没になってしまいました。東京ではリスクは冒せないという事情は判らぬでもありませんが、折角の機会を奪ってしまったオケの責任は重いでしょう。
ということでネットで我慢のヴィ・ダブリュー、マンゼという指揮者のはこれまで録音で聴いてきたのとはかなり異なったアプローチだと思いました。言葉は古いけれど、極めてザハリッヒな演奏。テンポは全体に速く、余り思い入れを示さず、フェルマータなどもサッと切り上げて次に進む感じ。仮にトスカニーニが振ったらこうなるのでは、と思わせるヴォーン=ウイリアムズです。
第5交響曲の第3楽章、練習番号10の前後にティンパニが登場しますが、手元のスコアより1小節前倒しして叩かせています。何でもここは写譜屋の書き損ないで出版譜が間違っていると聞いたことがありますが、マンゼはこの説に従っているようです(尤も現在出ている譜面が修正されているのかも知れませんが)。大友/東響は旧来の位置で叩かせていました(あのときはスコア持参で聴きましたから間違いありません)。
この辺りもマンゼのヴィ・ダブリューに向かう姿勢が表れていると思いました。
記事をありがとうございます.私も,当日,ここにおりました.初めてのPROMS, 初めてのロイヤル・アルバート・ホールで,大好きなRVWの5番が聴けるということで大変楽しみにしておりました.ただ席のせいか(2階席の横方向)音が響かず,遠くでちんまり鳴っているなという印象でした.Youtubeでこの日の演奏が聴けるのですが,実はよい演奏だったのですね.