サンダウン9月開催
アスコット、ウインザー、ケンプトンなどに近いサンダウン競馬場は1年を通しても開催が多い競馬場で、8月の3開催が終わったばかりにも拘わらず2日間のセプテンバー・ミーティングが行われました。
どの開催も2日間程度の短期ですが、しょっちゅう競馬が行われている印象です。エクリプス・ステークスが組まれている第2サマー・ミーティングを除いてはあまり注目されませんが、9月最初の今開催ではパターン・レースが二つに増え、若干注目度が増したようにも感じられます。
その二つのG戦、最初は戦後直ぐに導入され、1986年からGⅢに格上げされてきたソラリオ・ステークス Solario S (GⅢ、2歳、7ハロン16ヤード)です。馬場は good to firm 、所により good 、7頭が出走してきました。
7頭立てながら焦点の絞り難いメンバーで、前走グッドウッドのリッチモンド・ステークス(GⅡ)2着のマスター・オブ・ウォー Master Of War と、アスコットのチェシャム・ステークス(リステッド)に勝ってやはりグッドウッドのヴィンテージ・ステークス(GⅡ)で4着したサーイール Tha’ir とが9対4で1番人気を分け合っています。
レースはハソポップ Hasopop が逃げ、モチェニゴ Mocenigo がピタリとマークする展開。人気2頭は後方2・3番手に待機します。残り2ハロン、どれが勝ってもおかしくない混戦の中、中央からマスター・オブ・ウォー、内からサーイールが抜け出して2頭で決まるかと思われた時、終始最後方に待機していた3番人気(3対1)のファンタスティック・ムーン Fantastic Moon が大外から一気に末脚を爆発させ、ゴール寸前で内のサーイールを頭差捉えての鮮やかな差し切り勝ちを決めました。真ん中を通ったマスター・オブ・ウォーがこれも頭差で3着。結果的に後方に付けた3頭での決着です。
勝ったファンタスティック・ムーンは、ニューマーケットのデビュー戦(7ハロン)に続く2戦2勝の無敗馬。管理するジェレミー・ノセダ師はこのレース、去年のタルワー Talwar に続く2連覇です。鞍上は初勝利となるウイリアム・ビュイック。
デビュー勝ちしたあと適当なレースが無く、いきなりのG挑戦になった由ですが、距離適性も1マイルから1マイル4分の1の血統。2000ギニーにも25対1のオッズが出されました。この後はロイヤル・ロッジ・ステークスか、レーシング・ポスト・トロフィーに向かう計画です。果たしてクラシック路線に進むことが出来るか・・・。
もう一鞍は、耳慣れないアタランタ・ステークス Atalanta S (GⅢ、3歳上牝、1マイル14ヤード)。馴染が無いのも当然で、今年リステッドからGⅢに格上げされた一戦です。
実は、今期英国では3レースがリステッドからGⅢに格上げされました。6月初旬にヘイドック・パーク競馬場で行われたピナクル・ステークス、8月のグローリアス・グッドウッドで4日目に組まれていたサラブレッド・ステークス。それに今回のアタランタ、と。
このレース自体の創設は1986年のようで、3歳上の混合戦ながらここ6年は3歳馬が連勝している一戦。今年は16頭の多頭数が出走してきましたが、古馬6頭に対し3歳馬10頭が顔を揃え、近年の傾向を裏付けています。人気もそれを繁栄するように、1番人気から3番人気は全て3歳馬が独占していました。7対2の1番人気はスタウト厩舎のダンク Dank 、5対1の2番人気にファヘイ厩舎のレディー・ファースト Lady First 、7対1の3番人気がゴドルフィンのフォールズ・オブ・ローラ Falls Of Lora 。
レースはこれも3歳馬のギャザリング Gathering が逃げ、最後まで粘っていましたが、人気の2頭が期待に応えて抜け出し、ダンクの末脚が勝ってレディー・ファーストに首差の勝利。1馬身差にギャザリングが逃げ残って3着という結果でした。惜しかったのは2番枠スタートから終始内ラチ沿いを通り、最後の勝負所で前が塞がって出られなかったフォールズ・オブ・ローラでしょう。前走はフランスに遠征してプシケ賞(GⅢ)で6着でしたが、その前はレディー・ファーストを破っている馬。次回の狙い目となる1頭です。
1・2着は、共に前走ヘイドックの牝馬限定リステッド戦で対戦し1・2着だった2頭。前回はレディー・ファーストが勝ってダンクが4分の3馬身差2着でしたが、今回は逆転しています。勝ったダンクはサー・マイケル・スタウト師の管理馬ですから本来はライアン・ムーアとコンビを組むはずですが、ムーア騎手が負傷中のため今回はリチャード・ヒューズが騎乗していました。実はヒューズは以前にも同馬に騎乗しており、その時も勝利に導いています。
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