それでもオブライエン、ガリレオの愛ダービー

7月1日の土曜日はイギリス、アイルランド、フランスで夫々G戦が2鞍づつ行われましたが、今日は先ずアイルランドから見て行きましょう。もちろん愛ダービーが注目の一戦です。

カラー競馬場のG戦は2鞍、やはり後で行われたアイリッシュ・ダービー Irish Derby (GⅠ、3歳牡牝、1マイル4ハロン)を先に取り上げます。馬場は good 、事前に枠順を紹介した9頭がゲートイン。
やはり2対1の1番人気は5頭出しオブライエン軍団の中から、ライアン・ムーアに乗り替わった英ダービー馬ウイングズ・オブ・イーグルス Wing Of Eagles で、当然の流れでしょう。ただエプサムはサプライズだったこともあり、ダービー3着のクラックスマン Cracksman と、仏ダービー僅差2着のヴァルドガイスト Waldgeist が3対1で並んだ2番人気。展開とスタミナ次第で逆転の可能性も秘めていました。

逃げたのはオブライエン厩舎のペースメーカーで、8番人気(66対1)のジ・アンヴィル The Anvil 、娘のアナ・オブライエンが3馬身差を付け、強いペースでレースを引っ張ります。
カラーの1マイル半は恐らく世界で最もタフなコース、ここでハイペースの流れとなればスタミナが勝負の決め手。2番手に付けた4番人気(6対1)のカプリ Capri が残り2ハロンで先頭に立つと、中団6番手から外を追い上げるクラックスマン、同じく中団5番手から2頭の間を割って伸びるウイングズ・オブ・イーグルスの三つ巴。最後は3頭が並ぶ大接戦となりましたが、カプリがクラックスマンに首差を付けての戴冠。本命ウイングズ・オブ・イーグルスは短頭差の3着でした。
道中やや不利があったヴァルドガイストは、3頭から1馬身半遅れの4着で入線しています。

カプリはエプサムの6着馬。エイダン・オブライエン厩舎は1番人気で敗れたものの、愛ダービーは12勝目。騎乗したシーミー・ヘファーナンは、ダービー6着でもこの馬のスタミナには自信があったようで、2007年のソルジャー・オブ・フォーチュン Soldier of Fortune 、2008年のフローズン・ファイア Frozen Fire に続く3度目の愛ダービーとなりました。
オブライエン師は勝馬はもちろん、3着に敗れた人気馬も讃えましたが、やはりウイングズ・オブ・イーグルスはタフな2400メートルはやや長いという見解。この馬は2000メートルが最も適しているとの結論を得たようです。

この結果、英仏愛のダービーは全て勝馬が異なり、現時点で最強馬はどれか、に結論は出ていません。オブライエン厩舎の2頭は春シーズンは使い詰め出来たため、共に夏場は休養して秋に備える、というのが現実的。ただ、オブライエン厩舎はラッド達が積極的にローテーションを議論していく風土がありますから、キングジョージにも参戦、という可能性も無きにしも非ず。カプリにはセントレジャーという選択肢もあり、そのオッズはレース前の14対1から5対1に上がりました。
改めてカプリの成績を振り返ると、2歳の2戦目にゴールウェイで初勝利を挙げ、ベレスフォード・ステークス(GⅢ)まで3連勝し、クリテリウム・ド・サン=クルー(GⅠ)に遠征して3着でシーズンを終了。今期はバリーサックス・ステークス(GⅢ)4着、デリンスタウン・スタッド・ダービー・トライアル(GⅢ)が3着、3戦目がエプサム・ダービーでした。
この馬も父はガリレオ Galileo 。ガリレオ自身も愛ダービー馬で、その産駒が愛ダービーを制したのは、カプリが5頭目になります。

愛ダービーの前に行われたのは、アイルランドではシーズン最初の2歳戦となるレイルウェイ・ステークス Railway S (GⅡ、2歳、6ハロン)。直線コースは good to yielding という馬場で、1頭が取り消して8頭立て。1戦1勝という馬が2頭出ていましたが、ロイヤル・アスコット初日のコヴェントリー・ステークス(GⅡ)で3着したオブライエン/ムーアのムリーリョ Murillo が6対4の1番人気。
レースは4番人気(7対1)のデ・ブリン・ホース De Bruyne Horse と2番人気(100対30)ヴァーバル・デクステリティー Verbal Dexterity の逃げ争い。デ・ブリン・ホースが競り勝って逃げましたが、3番手に付けていた3番人気(11対2)のベックフォード Beckford がこれを捉え、一旦2番手に控えたヴァーバル・デクステリティーに1馬身差を付けて優勝。4番手から追い上げたムリーリョは更に1馬身4分の1差の3着に終わりました。

勝ったベックフォードは、5月にカラーの6ハロン戦でデビュー勝ちした馬。2着馬も1戦1勝で、終わって見れば無敗馬のワン・ツーという結果でした。管理するゴードン・エリオット師は、障害レースの調教師で、このうまが平場で走った最初の馬だそうで、もちろん平場も初勝利、初G戦勝ち。鞍上はヴェテラン、デクラン・マクドナーでした。
平場のスケジュールには疎いエリオット師、次走を尋ねられて、“確か6ハロンのGⅠ戦がありましたよね、フェニックス・ステークスでしたっけ”という塩梅。父はスプリンターのベイテッド・ブレス Bated Breath ですが、来年の2000ギニーに25対1のオッズが出されました。

 

 

 

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください