サンタ・アニタもGⅠ5連発

昨日積み残した9月29日、土曜日のアメリカ競馬の続編です。西海岸、サンタ・アニタ競馬場で行われたG戦レポートですが、こちらも5戦全てがGⅠ。どれもBCシリーズへの優先出走権が与えられる事は、既に報じたベルモントと同様です。
加えて今年からサンタ・アニタ秋競馬では、従来のレース名が一新されることにも注意が必要、馴染んできた旧名を合わせ紹介することで記憶を繋ぐことにしましょう。

こちらもレース順に、先ずは第6レースのシャンデリア・ステークス Chandelier S (GⅠ、2歳牝、8.5ハロン)から。去年までオーク・リーフ・ステークス Oak Leaf S として知られた一戦。もちろん勝馬にはBCジュヴェナイル・フィリーズへの優先出走権が与えられます。馬場は fast 、3頭が取り消して8頭立て。ここまでデル・マー・デビュタント・ステークス(GⅠ)を含めて4戦無敗のエクゼキュティヴプリヴィリッジ Executiveprivilege が1対5の圧倒的1番人気に支持されていました。
スタートこそミス・エンパイヤ Miss Empire に先手を譲ったものの、直ぐに先頭を奪った本命馬が独り舞台を演ずる圧勝。2着スカーレット・ストライク Scarlet Strike に6馬身4分の1差を付けて大本命馬の貫録を見せ付けました。3着は更に1馬身4分の3差で2番手で粘ったミス・エンパイア。
これで5戦5勝、全て1番人気で制するという完璧な成績を誇るエクゼキュティヴプリヴィリッジは、ボブ・バファート厩舎。ここまで全てラファエル・ベハラノが騎乗しています。バファート師はこのレース7勝目。間違いなく1番人気でBCジュヴェナイル・フィリーズに向かうでしょう。

続いて第7レースのフロント・ランナー・ステークス Front Runner S (GⅠ、2歳、8.5ハロン)。旧ノーフォーク・ステークス Norfolk S で、BCジュヴェナイルのトライアル。一つ前のシャンデリアと対になる一戦です。11頭立ての1番人気は、出走馬中ただ1頭G戦(ベスト・パル・ステークス、GⅡ)に勝っているノウ・モア Know More 。牝馬版とは異なり、確たる中心馬不在のメンバーです。
レースは2番人気(9対2)のカーヴィング Carving の逃げ、ノウ・モアは2番手で抜け出すタイミングを図ります。しかし鮮やかに抜けたのは、3番手に待機していた3番人気(5対1)のパワー・ブラザー Power Brother 。レース前の混戦予想を覆し、2着ノウ・モアに6馬身半差を付ける圧勝でした。更に半馬身差でカポ・バストーネ Capo Bastone が3着。
パワー・ブラザーは、エクゼキュティヴプリヴィリッジと同じボブ・バファート厩舎、ラファエル・ベハラノ騎乗で、早々とコンビにとってGⅠダブル達成です。勝馬は何とこれが4戦目での初勝利。デル・マーでの未勝利戦で4・3着した後、前走一般ステークス(オーク・トゥリー・ジュヴェナイル)が2着。この圧勝に3冠の可能性を問われたバファート師、“三冠なんて未だ早いよ”と至極真っ当な回答。先ずは権利を得たBCジュヴェナイルに勝つことが当面の課題でしょう。

この日三つ目のGⅠは、第8レースとして行われたゼニヤッタ・ステークス Zenyatta S (GⅠ、3歳上牝、8.5ハロン)。以前のレディーズ・シークレット・ステークス Lady’s Secret S のことで、BCレディーズ・クラシックへの優先出走権対象レースです。レース名のゼニヤッタは言わずと知れた近年の名馬。サンタ・アニタではこの日、彼女の等身大の彫像が除幕されたばかりで、新レース誕生に花を添えていました。9頭が出走、意外にもチリのGⅠを複数制しているアマーニ Amani が2対1の1番人気。これがアメリカでの3戦目となる馬です。
しかしレースは3番人気(4対1)に甘んじていたラヴ・アンド・プライド Love and Pride の逃げ切り勝ち。3馬身4分の1差でジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory が2着、更に半馬身差で2番人気(5対2)のインクルード・ミー・アウト Include Me out が3着という結果。本命アマーニは5着敗退です。4着で入線したヴィア・ヴィラッジオ Via Villaggio のマーチン・ペドロザ騎手が2着馬(ロージー・ナプラヴニク)に異議を申し立てましたが、裁決によって却下されました。
トッド・プレッチャー厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のラヴ・アンド・プライドは、前走パーソナル・エンサイン・ハンデ(GⅠ、8月26日)でロイヤル・デルタ Royal Delta とイッツ・トリッキー It’s Tricky を破った馬。同日にベルモントでロイヤル・デルタがGⅠを圧勝しているのですから、ここを勝っても当然と言えるでしょう。パーソナル・エンサインに続きGⅠ2連勝となります。

第9レースはロデオ・ドライヴ・ステークス Rodeo Drive S (芝GⅠ、3歳上牝、10ハロン)。これまではイエロー・リボン・ステークス Yellow Ribbon S として親しまれてきたレース、BCフィリー・アンド・メア・ターフのトライアル戦でもあります。芝コースの馬場状態は firm 、13頭が出走してきました。イーヴンの1番人気は、先月のビヴァリー・D・ステークス(芝GⅠ)で頭差2着惜敗のマーケティング・ミックス Marketing Mix 。距離が10ハロンに伸びたここでは末脚が活きるだろうという期待です。
レースは2番人気(7対2)のレッツ・ゴー・シャイアン Let’s Go Cheyenne とヴィーヴォ・パー・ルイ Vivo Per Lei が激しく競り合って一時は後続馬を10馬身も離して飛ばす展開。本命馬には願ってもないハイペースになります。前半は5~6番手に待機したマーケティング・ミックス、得意の末脚を発揮して鮮やかに追い込みを決め、2着ネレイド Nereid に2馬身4分の1差を付けて期待に応えました。更に2馬身4分の1差でストーミー・ルーシー Stormy Lucy が3着。
トーマス・プロクター厩舎、ギャレット・ゴメス騎乗のマーケティング・ミックスは、前走ビヴァリー・Dに先立ってカナダで芝のGⅡ戦を2勝(ナッソー・ステークス、ダンス・スマートリー・ステークス)してきた馬。BCでも末脚を活かせる展開になれば、有力な1頭になるでしょう。

そして最後、第10レースはオウサム・アゲン・ステークス Awesome Again S (GⅠ、3歳上、9ハロン)。以前はグッドウッド・ステークス Goodwood S として親しまれてきたG戦、勝馬にはBCクラシックの優先出走権が与えられます。メインのダート・コースに9頭、既にハリウッド・ゴールド・カップを制してBCへの優先出走権を獲得しているゲーム・オン・デュード Game On Dude が1対5の圧倒的1番人気。サンタ・アニタ競馬場では4戦負けなしという実績も手伝って、固い本命と期待されていました。
ウイニング・マシーン Winning Machine の逃げを2番手でマークしたゲーム・オン・デュード、問題なく抜け出してノニオス Nonios に3馬身4分の1差を付ける快勝。更に4馬身半差で2番人気(6対1)のリチャーズ・キッド Richard’s Kid が3着。
今期4つ目のG戦を獲得したゲーム・オン・デュードは、去年、グッドウッド・ステークス時代のこのレースも勝っており、2年連続制覇。GⅠのサンタ・アニタ・ハンデも含め、サンタ・アニタでの無敗記録を「5」に伸ばしました。今年のブリーダーズ・カップはサンタ・アニタで開催されるだけに、陣営では一層力が入っているでしょう。去年のBCクラシックは2着に甘んじた同馬、何としても雪辱したいところ。
その陣営、管理するボブ・バファート師はこの日GⅠのハットトリックを完成させ、今回はシャンタル・サザーランドから乗り替わったラファエル・ベハラノ騎手にとってもGⅠ3勝の大当たりとなりました。

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