オブライエン父子の2歳戦ダブル
昨日の日曜日、フランスは嵐の前の静けさ。その代りアイルランドのカラー競馬場では今年最後のG開催が行われました。パターン・レースは2鞍、いずれも2歳戦です。馬場は soft to heavy の不良馬場。
先ずC.L.ウェルド・パーク・ステークス C.L.Weld Park S (GⅢ、2歳牝、7ハロン)。7頭立て。7対4の1番人気に支持されたスピナクル Spinacre は、前走カラーで8ハロンのリステッド戦に勝った馬。2頭出しプレンダーガスト厩舎の1頭です。
最近は読み難い名前の馬が多く、このレースにも何と読んでよいか判らない馬が出ていてので困るのですが、逃げたのはホールロットオブロージー Wholelotofrosie という馬。スピナクルは4番手で機を窺います。しかし抜けたのは2番手に付けた2番人気(10対3)のマジカル・ドリーム Magical Dream 、後方から追い込むラワーク Rawaaq に2馬身差を付けていました。4分の3馬身差3着が最も読み難い名前の Uleavemebreathless 。「ユーリヴェンブレスレス」とでもしておきましょうか。意味も当然ながら解りません。人気のスピナクルは4着まで。
マジカル・ドリームはエイダン・オブライエン厩舎、ジョセフ・オブライエン騎乗。2戦目のゴルウェイで未勝利を脱し、デビュタント・ステークス(GⅡ、6着)、モイグレア・スタッド・ステークス(GⅠ、4着)とパターン・レースを使ってきました。ジョセフが最後までシッカリ追っての2馬身でしたが、オブライエン師によれば、もっとステイするタイプの由。1000ギニーには25対1のオッズが出されました。
父はガリレオ Galileo 、母レッド・エイヴィ― Red Evie はGⅠのメイトロン・ステークスを勝った良血。このあとマルセル・ブーサック賞に出走する計画もあるようです。オブライエン厩舎は、2000年のイマジン Imagine に続きこのレース2勝目。
そしてもう一鞍がベレスフォード・ステークス Beresford S (GⅡ、2歳、1マイル)。アイルランドではシーズン最後のGⅡ戦、既にGⅠは全スケジュールを消化しましたから、残るはGⅢ戦数鞍のみとなります。
1頭が取り消して僅かに4頭立て。こちらはオブライエン父子のバトル・オブ・マレンゴ Battle Of Marengo が4対9の断然1番人気に支持されていました。
レースは未勝利馬オーギルゴ・ベイ Orgilgo Bay の逃げ。本命バトル・オブ・マレンゴは2番手、3番人気(11対2)でレイルウェイ・ステークス(GⅡ)勝馬のプロバブリー Probably が3番手、2番人気(4対1)ムアーニド Muaanid が最後方の展開が淡々と進行します。
ジョセフのゴーサインが出ると、バトル・オブ・マレンゴは逃げ馬を捉え、そのままオーギルゴ・ベイに3馬身半差を付ける楽勝。パーク・ステークスのマジカル・ドリームは最後まで追い続けましたが、こちらは最後では馬を抑える余裕です。頭差でプロバブリーが3着。
エイダン・オブライエン師にとっては、これがベレスフォード・ステークス何と12勝目。ジョセフはもちろん初制覇です。
バトル・オブ・マレンゴは、デビュー戦(レパーズタウンの7ハロン)3着のあとゴウラン(7ハロン)で初勝利。レパーズタウンのリステッド戦(1マイル)も制して3連勝となります。オブライエン師の見立てでは、レース前に焦れ込みがあったこと、重い馬場を嫌がっていたことを考えれば、本来の能力はもっと高いはず。2歳戦としてはこれで終戦と考えているようですが、レーシング・ポスト・トロフィー出走の可能性も残されている由。
父はこちらもガリレオ、母はアンナ・カレーニナ Anna Karenina 。2000ギニーのオッズが20対1から25対1なのに対し、ダービーは16対1。ブックメーカーはダービー向きの馬と評価しているようです。
ところでアイルランドのチャンピオン・ジョッキー争いが激しくなってきました。そもそもアイルランドは英仏に比べればレース数が少ないのですが、前日までのリーディングはパット・スマーレンの74勝。これをジョセフ・オブライエンの72勝が追っていました。
この日は第1レースでスマーレンが勝ってリードを広げましたが、ジョセフは2鞍のG戦を制してスマーレンにあと1勝と迫り、最終レースも勝ってハットトリックを達成。遂にスマーレンにも並んでしまいました。愈々リーディング・ジョッキー争いも佳境に入り、この分野も大注目のアイルランドです。
更にもう一つ騎手の話題を追加すると、今度の日曜日に行われる凱旋門賞にキャメロット Camelot が出走するか否かが世界的に話題となっています。結論は数日中に出るそうですが、問題はジョッキー。
本来ならジョセフが乗るはずですが、彼は背が高いこともあって乗れる重量は9ストーンか、8ストーン13ポンドがギリギリのライン。キャメロットは3歳牡馬ですから、負担重量は8ストーン11ポンド。ジョセフには無理な重量です。
エイダンとしては、ジョセフ無しのキャメロットは躊躇われる所。これを理由に出走を断念するか、今から交渉してトップ・ジョッキーを確保するか。出否判断のポイントはこの点にありそうですね。
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