クラシック候補登場

昨日、ドーヴィル競馬場で行われたレゼルヴォアール賞 Prix des Reservoirs (GⅢ、2歳牝、1600メートル)のレポートです。
元来はシャンティー競馬場に創設されたレースですが、1996年から現在のドーヴィルに移籍。ドーヴィルと言えば専ら夏場の避暑地競馬が有名ですが、この時期の開催では唯一行われるG戦でもあります。

この日は一日9レース、芝コースが使われるのは3レースだけで、他は全てポリトラック・コースで行われました。レゼルヴォアール賞はもちろん芝コース、very soft の馬場に6頭が出走。
2対5の1番人気に支持されたタサデイ Tasaday はここまで2戦無敗、ゴドルフィンが来年のクラシック候補と期待する1頭で、パターン・レースは初挑戦となります。評判馬がその本領を発揮するかに注目。

スタートが良かったのは未勝利馬デレゲーション Delegation と英国(デヴィッド・エルスワース厩舎)から遠征したカクテル・クィーン Cocktail Queen 。デレゲーションが逃げ、カクテル・クィーンは2番手を進みます。残り2ハロン、カクテル・クィーンが先頭に立ち逃げ込みを図りましたが、先行馬をマークした本命タサデイがムチを使うことなく並び掛け、最後はマクシム・グィヨン騎手が馬を抑える余裕で楽勝。1馬身差でカクテル・クィーンが続きます。更に3馬身差で3番人気(68対10)のメリ・シカ Meri Shika の順。
評判通りの力で圧勝したタサデイは、上記のようにゴドルフィンの所有馬でアンドレ・ファーブル師の管理馬。いずれもシャンティーの新馬戦と条件戦(共に1600メートルの重馬場)に勝ち、これで無傷の3連勝。ゴドルフィンも、騎乗したグィヨン騎手も間違いなくクラシック・クラスであることに太鼓判を押しています。現時点でフランスを代表する2歳牝馬の1頭。ファーブル厩舎はこのレース4勝目。ドーヴィルに移って以降でも3勝目となりました。

タサデイの父はナイェフ Nayef 。チャンピオン・ステークスやジャドモント・インターナショナルなど2000メートルのGⅠに4勝した馬で、ガルチ Gulch を経てミスター・プロスペクター Mr. Prospector に至る父系。母もノネット賞などGⅢに2勝した馬で、アガ・カーンが生産しゴドルフィンに売却された牝系。今年のセントレジャー馬エンカ Encke の血統プロフィールで紹介したファミリーと同じパターンですね。
一方、伏兵(13対1、5番人気)で2着したカクテル・クィーンについて、エルズワース師はオークス・タイプであると言明。前走ノッティンガムで初勝利を上げたばかりですが、こちらはモティヴェイター Motivator 産駒でもあり、じっくりと長距離クラシックに乗せていく計画。
更に3着のメリ・シカは先日のマルセル・ブーサック賞で6着した馬。6着とは言いながら、勝ったシラソル Silasol とは2馬身チョッとの差。そのメリ・シカに4馬身差を付けたタサデイ、もちろんコースも条件も違うので単純な物差しには出来ないでしょうが、来年の牝馬クラシック戦線の話題になる1頭として記憶しておくべきでしょう。

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