サンタ・アニタの冬開催が開幕

10日振りのブログ更新です。2012年も残り1週間を切りましたが、クリスマス明けの26日にサンタ・アニタ競馬場の冬開催がオープンしました。来年4月21日までの長期開催、年末と言うよりは新年を先取りしたミーティングと呼べるでしょう。
初日の昨日はいきなりのGⅠ戦2連発。今年最後のGⅠレースでもあります。共にこの時期には珍しい同世代3冠の第一弾で、年内は3歳馬として、1月以降は4歳馬としてのホップ・ステップ・ジャンプ。もう一鞍の芝戦も含めてレース順にレポートして行きましょう。

最初はラ・ブレア・ステークス La Brea S (GⅠ、3歳牝、7ハロン)。来年のエル・エンシーノ・ステークスからラ・キャニャーダ・ステークスで3冠を構成しますが、GⅠは第一弾のラ・ブレアのみというのが如何にもアメリカ的でしょう。この日朝の内は雨でしたが、馬場は fast にまで回復、7頭が出走してきました。2対5の1番人気は去年の2歳牝馬チャンピオンで、前走BCレディーズ・クラシック2着が唯一の敗戦というマイ・ミス・オーレリア My Miss Aurelia 。ここに勝って2年連続のチャンピオン選出を目指します。
レースはハナっ速いネシェズ・ドーン Nechez Dawn とルネーゴットジップ Reneesgoyzip がやり合う形。これに本命マイ・ミス・オーレリアも加わって3頭が早いペースを作ります。格下のネシェズ・ドーンが先ず脱落し、先頭に立ったルネーゴットジップをマイ・ミス・オーレリアが懸命に追いましたが、前半は離れた後方2番手で待機していた2番人気(9対2)のブック・レヴュー Book Review が鋭い末脚を繰り出し、ゴール直前で先行2頭を首差捉えて快勝。ルネーゴットジップが何とか2着を死守し、マイ・ミス・オーレリアは更に首差及ばず3着に終わりました。
これがG戦初勝利となるブック・レヴューは、前走までチャド・ブラウン師が管理していた馬。ボブ・バファート厩舎に転じての初戦で、西海岸の競馬自体も初体験でした。バファート師はブレア7勝目で、ラファエル・ベハラノ騎乗。既にGⅠ戦は2度走っており、サラトガのテスト・ステークスが7着、前走ガゼル・ステークスでは5着でしたから、カリフォルニアの水が合うのかも知れませんね。

続いてはサー・ボーフォート・ステークス Sir Beaufort S (芝GⅡ、3歳、8ハロン)。芝コースは雨の影響で good と、馬には走り易い馬場と言えましょうか。8頭が出走。人気は割れ、3頭がほぼ同じオッズ(3対1)で並びましたが、GⅢで入着経験のあるバトル・フォース Battle Force が僅かの差で1番人気。ステークスに勝った経験のある馬は僅かにミッドナイト・クルーナー Midnight Crooner 1頭というメンバーです。
レースは人気の一角ビッグ・ベーン・セオリー Big Bane Theory が逃げましたが、4番手を進んだこれも人気(3対1、2番人気)の一角シレンティオ Silentio が抜け出し、追い込む本命バトル・フォースを半馬身抑えて優勝、ステークス・デビューを見事勝利で飾りました。3着は更に1馬身差でプレス・バロン Press Baron 、ビッグ・ベーン・セオリーは4着。
勝馬を管理するゲーリー・マンデラ師は、名伯楽リチャード・マンデラの子息。未だ若く16頭を管理する小厩舎ですが、これが今年のステークス5勝目とか。これから大きく伸びていく厩舎でしょう。鞍上はラ・ブレアと同じラファエル・ベハラノ、これまでのギャレット・ゴメスから乗り替わってのG戦ダブル達成です。シレンティオは大柄な馬、去年2歳時に新馬勝ちしたあと故障、ほぼ1年振りにデル・マーの芝戦で2勝目を挙げた後、前走アローワンスが3着。これで4戦3勝となり来年の更なる活躍が期待されます。
ところでシレンティオに注目したいのはその血統で、父がサンデー・サイレンス Sunday Silence 産駒で日本産のサイレント・ネーム Silent Name であること。サイレント・ネームの母のオーナーであるウェルザイマー兄弟が日本に送ってサンデーとの配合を委託した経緯があります。フランスとアメリカで走ったサイレント・ネームは、アメリカでGⅡに2勝。日本での競馬歴はありませんが「日本産馬」という肩書を持つ種牡馬で、アメリカとブラジルをシャトルで往来する種馬でもあります。もちろんシレンティオはウェルザイマー兄弟の持ち馬。ビューティー・パーラー Beauty Parlour も所有するウェルザイマー・ファミリーは、ディープインパクトとの絆も紡いでいるのは御存知の通り。

最後に第61回を迎えたマリブー・ステークス Malibu S (GⅠ、3歳、7ハロン)。こちらはサン・フェルナンド・ステークス、ストラブ・ステークスに繋がる3冠第一弾ですが、またもやGⅠはこの一戦のみ。1頭が取り消して9頭立てで行われました。4対5の抜けた1番人気は、BCスプリント2着のザ・ランバー・ガイ The Lumber Guy 。
逃げたプライヴェイト・ゾーン Private Zone をガッチリ2番手でマークしたザ・ランバー・ガイでしたが、直線では手応えなく後退。替って4番手の内を進んだ4番人気(8対1)のジミー・クリード Jimmy Creed が直線で逃げるプライヴェイト・ゾーンを外から交わし、これに4分の3馬身差を付ける逆転劇です。3着には2馬身4分の1差で2番人気(6対1、BCターフ・スプリント2着馬)のアンブライドルズ・ノート Unbridled’s Note が入り、人気を背負ったザ・ランバー・ガイは7着凡走。
これがステークス初勝利となるジミー・クリードを調教するのは、前のレースを制したシレンティオを管理するゲーリーの父親リチャード・マンデラ師。ファミリーにとっても、一日遅れとは言いながら最高のクリスマス・プレゼントになったことでしょう。同馬は前走BCスプリントは凡走でしたが、どうやらダートを被ったのが敗因とか。今回はギャレット・ゴメスの巧みな手綱捌きでの快勝でした。この後はストラブからサンタ・アニタ・ハンデの王道を歩む計画と聞いています。
マンデラ師はこれがマリブー5勝目。1988年のオライビ Oraibi 、1995年アフタヌーン・ディーライツ Afternoon Deelites 、2000年のディクシー・ユニオン Dixie Union 、2004年がロック・ハード・テン Rock Hard Ten と、日本にも馴染の馬が続きます。ゴメス騎手にとっても2度目のマリブー制覇。

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