クラシックへ向けて始動

今週は今年最初の本格的なシーズン開始、3つの競馬場でG戦がスタートしました。

例年はG戦開始が2月からとなるニューヨークのアケダクト競馬場、今年はいきなりジェローム・ステークス Jerome S (GⅡ、3歳、1マイル70ヤード)からクラシックへ向けての始動。去年までは年初の3歳戦はカウント・フリート・ステークス(ノン・グレード)でしたが、今年は去年までは4月中旬に行われていたジェロームが繰り上がってのスタートとなります。fast の馬場に8頭立て。G戦デビューながらここまで2戦2勝のヴァイジャック Vyjack が5対2の1番人気に支持されていました。
好スタートから一旦は控えマッドフラッツ Mudflats の3番手に待機したヴァイジャック、向正面で早目に先頭を奪うと、直線入口からは内を衝いた伏兵(41対1、ブービー人気)シエーテ・デ・オロス Siete de Oros との叩き合い。一旦は首ほど交わされましたがガッツを見せて差し返し、ゴール板では頭差でシエーテ・デ・オロスを抑えての逆転勝ち。3着は3馬身差が付いてアメリゴ・ヴェスプッチ Amerigo Vespucci が食い込みました。
ルディー・ロドリゲス厩舎、コーネリオ・ヴェラスケス騎乗のヴァイジャックは、これで無傷の3連勝。いずれもアケダクトでの競馬ですが、11月デビュー、前走12月の一般ステークスと連勝で臨んでいました。ニューヨークのクラシック路線はこのあとウィザース(2月)、ガッサム(3月)、ウッド・メモリアル(4月)と続きダービー本番へ。ヴァイジャックはウィザースを回避し、次走はガッサムと決めているようです。

続いてはガルフストリーム・パーク競馬場のマーシュアズ・リヴァー・ステークス Marshua’s River S (芝GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)。firm の芝コースに2頭が取り消して8頭立て。前走11月のミセス・リヴィーア・ステークス(芝GⅡ)2着のリーディング・アストレー Leading Astray が2対1の1番人気。ここまで8戦して5勝、4着以下無しという堅実味が買われていましたが、前年の覇者ヘヴンリー・ランディング Heavenly Landing も参戦してやや難解な一戦です。
レースはフロントサイド Frontside が逃げ、2番人気(5対2)のチャンネル・レディー Channel Lady が追走。逃げ馬が一杯になるところ、3番手を進んだ6番人気(7対1)のハード・ノット・トゥー・ライク Hard Not to Like が思い切って内ラチ沿いを抜け、早目先頭のチャンネル・レディーを半馬身捉えての快勝。2馬身半差で本命のリーディング・アストレーは3着、堅実さは確保しました。連覇を狙ったヘヴンリー・ランディングは6着敗退。
優勝したハード・ノット・トゥー・ライクはケンタッキー・オークス6着以来久々の競馬。カナダでゲイル・コックス師が調教していた馬で、2歳時にはカナダの一般ステークスで牡馬を蹴散らして優勝、その年のBCジュヴェナイル・フィリーズ・ターフでは5着の実績もあります。3歳時は2戦のみ、オークスの前哨戦アシュランド・ステークス(GⅠ)では2着でした。オークス後に現在のマイケル・マッツ厩舎に転じ、今回はマッツ師の元でのデビュー戦でもありました。勝利騎手はジョセフ・ロッコ。

そしてサンタ・アニタ競馬場から、先ずはクラシック路線の第一弾とも言えるシェイム・ステークス Sham S (GⅢ、3歳、8ハロン)。馬場状態は fast 、1頭取り消しがあって5頭立てで行われました。断然1番人気(2対5)に支持されたのは、既にGⅢ(デルタ・ダウンズ・ジャックポット・ステークス)を制しているゴールデンセンツ Goldencents 。去年ケンタッキー・ダービーをアイル・ハヴ・アナザー I’ll Have Another で制したダグ・オネイル師が送り込むダービー候補という期待感も手伝っての本命です。
マナンド Manando の逃げを2番手で追走したゴールデンセンツ、直線では3頭の叩き合いをやや図太い感じで制し、2番人気(7対2、ダートは初戦)のデンズ・レガシー Den’s Legacy に1馬身半差を付けて期待に応えました。更に半馬身差で逃げたマナンドが3着、4着以下は15馬身もの大差が付いています。2・3着馬は共に名門ボブ・バファート厩舎の管理馬。
ここまでずっとコンビを組んでいるケヴィン・クリッガー騎乗、これで通算成績を4戦3勝としたゴールデンセンツはイントゥー・ミスチーフ Into Mischief の初年度産駒。奇しくもアケダクトでジェロームを制したヴァイジャックと同じ父となります。イントゥー・ミスチーフは2005年生まれ、2歳時にキャッシュコール・フューチュリティー(GⅠ)を制した馬で、故障のためクラシックには無縁でした。幸先よく2頭がクラシックに名乗りを挙げ、今後注目が集まる種牡馬になることは間違いなさそうですね。

最後はサン・パスカル・ステークス San Pasqual S (GⅡ、4歳上、8.5ハロン)。3月2日に予定されているサンタ・アニタ・ハンデ(GⅠ)への重要なステップとなる一戦です。3頭が取り消して6頭立て。前評判はGⅠ馬2頭の争いで、これが引退レースとなることが急遽決まったコイル Coil が9対5の1番人気、ハリウッド・ダービーの覇者アルティメイト・イーグル Ultimate Eagle が2対1の2番人気で続きます。
レースも人気2頭のマッチレース。逃げたアルティメイト・イーグルに2番手で追走したコイルが直線で並び掛ける展開となり、激しい叩き合いを頭差で制したのは外から追い上げたコイル。2着アルティメイト・イーグルと3着ジョン・スコット John Scott (7対2、3番人気)との着差は6馬身4分の1に広がっていました。
ボブ・バファート厩舎、マーチン・ガルシア騎乗のコイル、予定通りならこれで引退しカリフォルニア州サンタ・イネス近郊のマガリ・ファームで今春から種牡馬になる見通し。去年10月にサンタ・アニタ・スプリント・チャンピオンシップ(GⅠ)を制し、BCスプリントは7着。単なるスプリンターでないことは、一昨年のハスケル・インヴィテーショナル(GⅠ)でシャックルフォード Shackleford との激闘を制したことでも明らかでしょう。父ポイント・ギヴン Point Given の強力な後継馬として期待されます。
今年のサンタ・アニタ・ハンデにコイルが出走することはありませんが、2着のアルティメイト・イーグルは順調。去年は1番人気で10着と惨敗しただけに、今年は是非とも雪辱を果たしたいところ。サン・パスカルではコイルより2ポンド重い負担重量を背負っての頭差だけに、サンタ・アニタ・ハンデへの手応えを掴んだと言えましょうか。

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