2頭の3連覇成らず

45年振りとなる27センチの大雪が残る東京の朝ですが、今朝の日記は暖かいフロリダとカリフォルニアで行われたアメリカ競馬レポートです。

当初の予定ではガルフストリーム・パーク競馬場はGⅠ2鞍を含む4鞍が予定されていましたが、GⅠ戦が共に日曜日に移動となり、2月8日の昨日はG戦2鞍。先ず芝コースのスワニー・リヴァー・ステークス Swanee River S (芝GⅢ、4歳上牝、9ハロン)は、firm のコースに8頭が揃いました。英国のGⅡ馬がアメリカ・デビューすることもあって注目されましたが、8対5の1番人気は昨秋カーディナル・ハンデ(芝GⅢ)に勝っているアバコ Abaco 。
好スタートから先頭に立ったのは2番人気(2対1)のパランダ Parranda 、スローに落として逃げ切りを図ります。この作戦に嵌ったか、4番手から3番手へと徐々に進出して外から追い込むアバコは前との差を詰められず、直線で更に脚を伸ばしたパランダの鮮やかな逃げ切り勝ち。最後方で直線に入ったアメリカ・デビューの英国産馬リポスト Riposte (5対2、3番人気)が内ラチ沿いを鋭く伸び、勝馬から2馬身差の2着。半馬身差でアバコは3着に終わりました。イギリスでリブルスデール・ステークス(GⅡ)に勝ち、愛オークスでも5着したリポストにとっては短い距離、今後より長い距離での活躍が期待できそうです。
ロドルフォ・ガルシア厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のパランダは、これがG戦初勝利。ここ5戦で4勝目となり、前走一般ステークス(サンシャイン・ミリオンズ・フィリー・アンド・メア・ターフ)に続きステークス連勝。5歳となり充実の時を迎えたようです。

続いてが短距離戦のガルフストリーム・パーク・スプリント・チャンピオンシップ・ステークス Gulfstream Park Sprint Championship S (GⅢ、4歳上、7ハロン)。1999年から一昨年まではGⅡでしたが、去年からGⅢに降格された一戦。fast の馬場に11頭が出走し、未だ2戦2勝の新星でプレッチャー厩舎のカトロン Catron が2対1の1番人気。
しかしレースは大波乱、スタートでハナに立った6番人気(14対1)のフォーリング・スカイ Falling Sky が2着以下を5馬身半差ぶっ千切っての逃げ切り勝ちです。2着にも最低人気(99対1)のナルヴァエス Narvaez が入る大波乱。半馬身差で漸く3番人気(9対2)のブルホ・デ・オレロス Brujo de Olleros が3着に入り、カトロンは4着止まり。2番人気(7対2)のラフ・トラック Laugh Track は7着に終わりました。勝時計は1分20秒65、ステークス・レコード更新となる好内容です。
ジョージ・ウィーヴァー厩舎、ルイス・サエズ騎乗のフォーリング・スカイは、何度も厩舎を転じてきた4歳馬。ほぼ1年前、明け3歳のG戦サム・F・デーヴィス・ステークス(GⅢ)に勝った(今回同様逃げ切り勝ち)時はジョン・テラノヴァ師が管理していましたが、今回は3人目の調教師となるウィーヴァー師の管理下。1年前のG戦勝ちのあとタンパ・ベイ・タービー(GⅡ)が2着、アーカンソー・ダービー(GⅠ)で4着ながらケンタッキー・ダービーに挑戦して最下位19着と敗退。長期休養明けの前走ローレルの一般ステークスで9着、前走1月のアローワンス戦で2着と、漸く復調の兆しが見えていました。勝たれて見れば、流石にダービーに駒を進めた器だったと言えるのかも知れませんね。

そしてサンタ・アニタ競馬場の3鞍、先陣を切って行われた第76回サン・アントニオ・ステークス San Antonio S (GⅡ、4歳上、9ハロン)は、70年代から80年代はGⅠだった一戦。fast の馬場に7頭が出走し、このレース3連覇を目指すゲーム・オン・デュード Game On Dude が1対5の断然1番人気、相手(7対2、2番人気)も前走サン・パスカル・ストークス(GⅡ)勝馬ブルースカイズンレインボウズ Blueskiesnrainbows で決まりというレース前の評価でした。
逆転を狙うブルースカイズンレインボウズがハナを切ると、逃げ切りは許さじとばかりにゲーム・オン・デュードが馬体を合せるように2番手で競り掛けます。2頭が後続を離して競り合う形でしたが、やはりペースが速かったのか人気両馬は早くも第3コーナー手前で一杯。替って内からスルスルとブービー人気(26対1)のインペラティヴ Imperative が先頭に立って直線に入る所、前半離された5番手に待機していた4番人気(15対1)のブリンゴ Blingo が外から襲い掛かり、インペラティヴを半馬身差し切っての逆転勝ち。4馬身4分の1差で3着には5番人気(19対1)のアメリカン・ブレンド American Blend が飛び込み、馬券は大荒れになってしまいました。人気のゲーム・オン・デュードは5着、ブルースカイズンレインボウズも6着とまさかの大敗です。
ジョン・シレフス厩舎、初コンビとなるアーロン・グライダー騎乗のブリンゴは、3か月ぶりとなった前走サン・パスカルがブルースカイズンレインボウズの6着。G戦は初勝利となり、大一番のサンタ・アニタ・ハンデでもアーロンとのコンビで挑戦することが宣言されました。

続くサン・マルコス・ステークス San Marcos S (芝GⅡ、4歳上、10ハロン)は、3頭が取り消して11頭立て。ここにも3連覇が掛かったスリム・シェイディー Slim Shady が参戦してきましたが、7対1の5番人気。5対2の1番人気には、BCターフ5着以来となるヴァガボンド・シューズ Vagabond Shoes が選ばれていました。
3連覇を目指すスリム・シェイディーが先頭に立ち、これをセグウェイ Segway が追走して第4コーナーへ。直線は追込み勢がどっと襲い掛かる激しい叩き合いとなり、最後は前半7番手に待機していた本命ヴァガボンド・シューズが外から鋭い差し足を爆発。4番手から伸びたシー・セイジ Si Sage に1馬身4分の1差を付けて見事期待に応えました。首差で最後方から3番人気(5対1)のルカイヤン Lucayan が3着に突っ込みましたが、アクシデントはコースの内。4番手で入線したセグウェイが寄れて内のパワー・フット Power Foot 、テメレーヌ Temeraine などに連鎖的に接触し、審議の結果セグウェイは10着に降着となりました。5番手で入線したドバイ・ユー・エックスワイジー Dubai You X Y Z が4着に繰り上がりましたが、実際にアクシデントに巻き込まれた馬たちは掲示板には載れていません。なお3連覇が掛かったスリム・シェイディーは繰り上がるも6着まで。
ジョン・サドラー厩舎、ヴィクター・エスピノザ騎乗のヴァガボンド・シューズは、去年の夏にデル・マー・ハンデ(芝GⅡ)に勝った7歳せん馬。BCターフ5着のほか、サン・マルコスと同じ距離のジョン・ヘンリー・ターフ・チャンピオンシップ(芝GⅡ)で2着した実績もあります。

土曜日最後は、クラシックに繋がるロバート・B・ルイス・ステークス Robert B. Lewis S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。一昨年の勝馬アイル・ハヴ・アナザー I’ll Have Another がケンタッキー・ダービーを制したことから注目度も増している一戦、7頭が出走し、メンバー中唯一のG戦勝馬(シェイム・ステークスGⅢ)ミッドナイト・ホーク Midnight Hawk が6対5の1番人気。
レースは伏兵(10対1、5番人気)ダイヤモンド・バチェラー Diamond Bachelor が逃げ、大外枠スタートの3番人気(9対2)シートゥー Chitu が追走する流れ。ミッドナイト・ホークは3番手から抜け出しを図りましたが、直線は意外に伸びず抜け出したシートゥーを捉えられません。その間、4番手を進んだ2番人気(2対1)のキャンディー・ボーイ Candy Boy が先行3頭の外から追い上げると、粘るシートゥーを半馬身差し切っての優勝。ミッドナイト・ホークは1馬身4分の1差で3着に止まり、バファート厩舎の2頭は2・3着に終わりました。
勝馬を管理するジョン・サドラー師は、一つ前のサン・マルコスに続きG戦ダブル達成。鞍上は去年復帰した名手ゲーリー・スティーヴンスでした。大柄で末脚を武器にするキャンディー・ボーイは、これが6戦目とメンバー中最もキャリア豊富な馬。2歳時にキャッシュコール・フューチュリティー(GⅠ)でシェアード・ビリーフ Shared Belief に5馬身4分の3差ながら2着した馬と言えば記憶されている方もおられるはず。これが2勝目、もちろんステークスもG戦初勝利ですが、距離伸びて本領を発揮するタイプだけに、来るサンタ・アニタ・ダービーでも有力な1頭に数えられるでしょう。一方敗れたミッドナイト・ホーク陣営も結果には楽天的。前半やや掛かり気味だったことが敗因と分析し、ダービーには良い経験と捉えていました。

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