ワイズ・ダン、2年連続年度代表馬へ視界良好

今週のアメリカ競馬、GⅠ戦こそありませんが、話題の馬が登場するとあって盛り上がりました。土曜日は4つの競馬場で夫々一鞍づつのG戦、順に見ていきましょう。

最初はエリス・パーク競馬場のガーデニア・ステークス Gardenia S (GⅢ、3歳上牝、8ハロン)。fast の馬場に3頭が取り消して9頭立て。去年BCフィリー・アンド・メア・スプリント(GⅠ)を制して最強牝馬スプリンターに選ばれたグルーピー・ドール Groupie Doll が1対5の圧倒的1番人気。去年11月のシガー・マイル(GⅠ)2着以来8か月半振りの実戦が死角ですが、一昨年のこのレースも勝っており、2回目の制覇に期待が掛かります。
レースは6番人気(25対1)の伏兵マジック・アワー Magic Hour が逃げ、グルーピー・ドールは中団から。直線、2番手を追走していたこれも伏兵(15対1、5番人気)デヴィアス・インテント Devious Intent が外から並び掛け、粘るマジック・アワーを首差抑えてのサプライズです。グルーピー・ドールも後半で追い上げましたが、4分の3馬身差届かず3着まで。休み明けを考慮すれば今後に期待が繋がったと言えましょう。
ケリン・ゴーダ―厩舎、ロベルト・モラレス騎乗のデヴィアス・インテントはG戦初勝利。去年デルタ・ダウンズ競馬場の一般ステークスに勝った4歳馬で、勝星は4戦前にオークローン・パーク競馬場でアローワンス戦に勝って以来のこと。前走はプレーリー・メドウズ競馬場の一般ステークスで2着でした。

続いては注目、サラトガ競馬場からフォースターデイヴ・ハンデキャップ Fourstardave H (芝GⅡ、3歳上、8ハロン)。前日は雨で芝戦がダートコースに変更されたサラトガですが、この日は稍重(good)までに回復。1頭が取り消して6頭立て、去年の年度代表馬ワイズ・ダン Wise Dan が2対5の断然1番人気に支持されていました。去年のこのレースに勝ってから破竹の7連勝、今年も3戦3勝とチャンピオンの座は揺るぎません。
3番人気(5対1)キング・クリーサ King Kreesa の逃げを3番手で追走したワイズ・ダン、粘る逃げ馬を直線半ばで捉え、ジョン・ヴェラスケス騎手はムチを使うことなく1馬身4分の1差で連勝記録を「8」に伸ばしました。4馬身4分の3差で2番人気(9対2)のリー Lea が3着。ワイズ・ダンの負担重量は129ポンド、2着は117ポンドでしたから、その差は12ポンドもあり、着差以上の圧勝だったと言えるでしょう。
ワイズ・ダンを管理するチャールズ・ロプレスティ師は、同馬の使い方について“慎重過ぎる、もっと冒険すべきじゃないか”と批判されてもいますが、目標は再度頂点に立つことでしょう。通算成績は24戦17勝、G戦は8勝目となり、うちGⅠは5勝。前年に続いてBCマイルを連覇するようなことがあれば、2年連続の年度代表馬も夢ではないでしょう。

3つ目はモンマス・パーク競馬場のモンマス・オークス Monmouth Oaks (GⅢ、3歳牝、8.5ハロン)。fast の馬場に8頭が出走してきました。7対5の1番人気は、出走馬中唯一のステークス勝馬であるシーニーン・ガール Seaneen Girl 。ここ6戦勝星から見放されていますが、2歳時にゴールデン・ロッド・ステークス(GⅡ)に勝った実力の持ち主、ここでは格上という評価です。
逃げるマカイラズ・エンジェル Makayla’s Angel を2番でマークしたシーニーン・ガール、3角先頭の勢いで抜けると、2着ミスター・ホールズ・オーパス Mr Hall’s Opus に6馬身の大差を付ける圧勝です。3着は首差で2番人気(5対2)のラッキー・ラグ・ドール Lucky Rag Doll 。しかしレース後、直ぐに審議のランプが点灯します。クラブハウスターンで1番枠のシー・シー・ゴールド C C Gold が躓いたことが対象。最終的な裁決は、強引に先頭に立ったマカイラズ・エンジェルが内に切れ込んで同馬の進路を塞いだとされ、6着で入線したマカイラズ・エンジェルが最下位に降着となっています。
バーナード・フリント厩舎、パコ・ロペス騎乗のシーニーン・ガールは、これで13戦3勝。3歳になってからはアイオワ・オークス(GⅢ)3着、アーリントン・パーク・オークス(GⅢ)は6着。今回は15時間かけてケンタッキーから遠征しての勝利でした。

最後にデル・マー競馬場から、デル・マー・ダービー(芝GⅡ)のトライアルとなるラ・ホヤ・ハンデキャップ La Jolla H (芝GⅡ、3歳、8.5ハロン)。firm の芝コース、9頭が出走し、前走このレースのトライアルとなる開催初日のオーシャンサイド・ステークス(登録馬が多く分割になった第1レース)で惜しくも3着になったフリーキン・ロケット Freakin Rocket が5対2の1番人気。マイク・スミスが騎乗していたことも人気の要因でしょう。オーシャン・ステークスの勝馬2頭は何れもここをパスしていました。
レースは3番人気(6対1)のローゼンゴールド Rosengold が後続を大きく引き離しての逃げ。フリーキン・ロケットは3番手を進みます。しかし直線では劇的に順位が入れ替わり、最後で突き抜けたのは前半後方2番手で待機、直線も後ろから2頭目で入った8対1(5番人気)のダイス・フレイヴァー Dice Flavor 、2着デンズ・レガシー Den’s Legacy に半馬身差を付けていました。3着には首差でピュア・ロイヤルティー Pure Loyalty が入り、珍しいことに1着から3着までは全て8対1で5番人気を分け合っていた馬たちです。フリーキン・ロケットは7着敗退。
パトリック・ギャラガー師が管理するダイス・フレイヴァーは、通算で9戦3勝。初勝利は去年12月にハリウッドの芝コースで挙げたものでしたが、その後2月にエル・カミノ・レアル・ダービー(GⅢ)に優勝。ドバイに遠征したUAEダービーは8着と奮わず、2か月休養して臨んだアファームド・ハンデ(GⅢ)が4着、前走スワップス・ステークス(GⅡ)は3着と続き、今回は久し振りに芝コースで走っての快挙でした。
しかしこの日の話題は、騎乗したギャレット・ゴメスに集まりました。アルコール依存症、離婚、処方された抗鬱剤による薬物反応と個人的なスキャンダルが続き、漸くオーソリティーから薬物反応の陰性が認められて復帰したのが今デル・マー開催のスタート。もちろん復帰後初のG戦勝利ということで、多くのファンから暖かい拍手で迎えられていました。2度もチャンピオン・ジョッキーを手にした名手、不運な期間を脱し、今後の活躍が期待されます。

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