今年最初のGⅠデイ
昨夜から報道されているように、今週末のアメリカ北東部は死者が出るほどの大雪と寒波に見舞われていますが、さすがアメリカは広いもの。G戦が組まれているフロリダとカリフォルニアでは何事も無かったように通常の開催が行われています。
土曜日は今年最初のGⅠデイ、フロリダのガルフストリーム・パーク競馬場ではいきなり2鞍のGⅠレースに沸きました。
この日は4鞍のG戦が組まれているガルフストリーム・パーク競馬場、先陣を切って行われたのがGⅠのガルフストリーム・パーク・ターフ・ハンデキャップ Gulfstream Park Turf H (芝GⅠ、4歳上、9ハロン)です。firm の馬場に6頭立て。何と言っても一昨年のダービー馬アニマル・キングダム Animal Kingdom 登場が話題、4対5の1番人気は当然の期待でしょう。
レースはプレッチャー厩舎、ウェルザイマー兄弟が所有するアイルランド産馬サルト Salto の逃げ、本命馬のライヴァルと目される2番人気(2対1)ポイント・オブ・エントリー Point of Entry が2番手に付ける展開。大外6番枠からスタートしたアニマル・キングダムは後ろから二つ目の5番手を追走していましたが、向正面で一気にスパートして早目に先行2頭を捉え、インコースから先頭に立つ構え。直線、内のアニマル・キングダムと外のポイント・オブ・エントリーの叩き合いとなりましたが、終始ポイント・オブ・エントリーの脚が勝り、最後は1馬身4分の1差で本命馬に競り勝ちました。更に1馬身4分の1差で3番人気(7対2)のアンブライドルド・コマンド Unbridled Command が3着。
クロード・マゴーヒー厩舎、ジョン・ヴェラスケス騎乗のポイント・オブ・エントリーは、当日記でもすっかりお馴染みのGⅠホース、これがマンノ・ウォー、ソード・ダンサー、ジョー・ヒルシュ・ターフ・クラシックに続く4つ目のGⅠ勝利となります。前走BCターフは1番人気で半馬身差の2着、今日が今シーズンのデビュー戦でした。
一方敗れたアニマル・キングダム、これがアメリカでの最後のレースになる模様。このあとドバイのワールド・カップに遠征し、英国に転戦してロイヤル・アスコットに参戦。海外での2レースを終えた後はオーストラリアで種牡馬入りすることが決まっています。最近、豪州のアローフィールド牧場がアニマル・キングダムの種牡馬株の75%を取得、現オーナーのチーム・ヴァラーは残り25パーセントを手元に残したとのことでした。
G戦第2弾はガルフストリーム・パーク・スプリント・チャンピオンシップ・ステークス Gulfstream Park Sprint Championship S (GⅢ、4歳上、7ハロン)。去年まではGⅡランクでしたが、今年はGⅢに降格されての一戦です。ダートコースの馬場状態は fast 、8頭立てで行われました。開催前半に一般ステークス(サンシャイン・ステート・ステークス)を制したバハミアン・スコール Bahamian Squall が2対1の1番人気。
スタート・ダッシュの良かった3番人気(7対2)フォート・ラウドン Fort Loudon が先手を取りましたが、直ぐに外から出たビッグ・グランパ Big Grandpa と本命バハミアン・バウンティーが交わして先頭争い。ビッグ・グランパを競り落としたバハミアン・バウンティーが逃げ込みを図るところ、一旦は3番手に控えたフォート・ラウドンが内ラチ沿いに鋭く追い上げ、半馬身差抜け出しての快勝。後方から追い込んだスワッガー・ジャック Swagger Jack がゴール直前でハナ差バハミアン・スコールを捉えて2着。
ニコラス・ジート師が管理するフォート・ラウドンは、去年7月にキャリー・バック・ステークス(GⅡ)に勝って以来二つ目のG勝利。2歳時はカルダー競馬場のスターだった4歳馬で、G戦2着をつづけた後、前走は一般ステークス(1月19日のフロリダ・サンシャイン・ミリオンズ・クラシック)で3着していました。鞍上はホセ・レズカノ。
続いてはスワニー・リヴァー・ステークス Swanee River S (芝GⅢ、4歳上牝、9ハロン)。再び芝コースに戻り、2頭が取り消しての7頭立て。1月5日にマーシュアズ・リヴァー・ステークス(芝GⅢ)を制したハード・ノット・トゥー・ライク Hard Not to Like が5対2の1番人気。
しかし結果は3番人気(7対2)チャンネル・レディー Channel Lady の逃げ切り勝ち。先に行く馬がいないと見たハヴィエル・カステラノ騎手の作戦が奏功、スローペースに落としての一人旅でした。4分の3馬身差の2着争いは熾烈で、後方差しのアバコ Abaco がハナ差でイングローリアス Inglorious を抑え、人気のハード・ノット・トゥ・ライクは5着敗退。
勝ったチャンネル・レディーは、トッド・プレッチャー師が管理する4歳馬。これで7戦4勝、11月にアケダクトで一般ステークスに勝ちましたが、G戦は初勝利となります。本命馬が勝ったマーシュアズ・リヴァーがG戦初挑戦で、その時は2着。今回が雪辱戦に当たっていました。
そして愈々ドン・ハンデキャップ Donn H (GⅠ、4歳上、9ハロン)。メインコースで行われるシーズン最初のGⅠ戦でもあります。10頭立て。8歳のプール・プレイ Pool Play 、7歳のフラット・アウト Flat Out とヴェテラン勢に注目が集まり、結局はジョッキー・クラブ・ゴールド・カップ(GⅠ)を二度制覇しているフラット・アウトが2対1の1番人気に推されていました。若い馬の台頭に期待したいところ。
そして結果は期待通りと言うか、意外と言うか、これがG戦初出走という未知の馬グレイダ― Graydar の逃げ切りと言う波乱に終わりました。何と2着バーボン・カレッジ Bourbon Courage (3対1、2番人気)に3馬身差、3着テイク・チャージ・インディー Take Charge Indy も2着馬から5馬身遅れという一方的な内容です。本命フラット・アウトは4着敗退、プール・プレイも6着。尚、2着馬は去年のスーパー・ダービー(GⅡ)勝馬、3着馬も去年のフロリダ・ダービー(GⅠ)馬ですから、決してレヴェルが低かったとは言えないでしょう。
エドガー・プラードが騎乗したグレイダ―は、一つ前のチャンネル・レディーと同じトッド・プレッチャー師の管理馬。去年3歳時は僅かに3戦2勝という成績で、勝鞍はいずれもガルフストリーム競馬場のアローワンス戦でのもの。グレード・レースはおろか、ステークス初挑戦でいきなりGⅠホースのタイトルを獲得したことになります。ここでは114ポンドと最軽量を背負い、プレッチャー厩舎の所属馬ということもあってか5対1は並んだ3番人気に支持されていました。新たなスターの登場です。
土曜日はもう一鞍、サンタ・アニタ競馬場でもサン・マルコス・ステークス San Marcos S (芝GⅡ、4歳上、10ハロン)が行われました。こちらも芝コースは firm 、2頭が取り消して12頭立て。2010年のアルゼンチンの年度代表馬で、アメリカでのステークス初勝利を目指すインターアクション Interaction が7対2の1番人気。
レースはゲートインを嫌って何度も係員を手古摺らせた3番人気(5対1)のスリム・シェイディー Slim Shadey がダッシュ良く先手を奪うと、そのまま逃げ切り勝ち。1番枠スタートを利し後方から中団の内ラチ沿いを進んだ本命インターアクションが、最後で最内から猛追しましたが1馬身及ばず2着。更に2馬身4分の1差でオール・スクエァード・アウェイ All Squared Away が3着に入りました。
サイモン・キャラガン厩舎のスリム・シェイディーは、去年に続きサン・マルコス2連覇、3つ目のGⅡ勝利となります。BCターフ8着を含めG戦は3戦続けて敗戦続きでしたが、今回は先頃カムバックした名手ゲーリー・スティーヴンスを鞍上に迎えての勝利。スティーヴンスにとっても復帰後G戦初勝利(一般戦を含め3勝目)となったためか、ゴール前の歓声は一際大きかったような気がします。
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