ジョイフル・ヴィクトリー、念願のGⅠ制覇

今週のアメリカはGⅠが一鞍、いつものように複数の競馬場で複数のグレード戦が予定されています。

最初はガルフストリーム・パーク競馬場からハネー・フォックス・ステークス Honey Fox S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。firm の芝コース、1頭取り消しがあり8頭が出走してきました。古馬とは初対決ながら既にGⅡに2勝しているセンター・コート Centre Court が2対1の1番人気。
伏兵(25対1)フロントサイド Frontside の4番手に付けたセンター・コート、追走していた内ラチから外に出しつつ馬3頭分の外を回って直線に入ると、一気に先行馬を交わして2着以下に1馬身4分の3差を付けて期待に応えました。2着には後方3番手から追い込んだ愛1000ギニー馬のサミター Samitar が食い込み、首差で逃げたフロントサイドが3着。
ジョージ・アーノルド厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のセンター・コートは、去年11月にミセス・リヴィーア・ステークス(芝GⅡ)を制して以来の競馬。冒頭に紹介したように、古馬牝馬との初対決を勝利で飾りました。3つ目のGⅡを手にしたセンター・コート、次なる目標は当然ながらGⅠ制覇。4月16日にキーンランドで行われるジェニー・ワイリー・ステークスが最初の目標になるでしょう。当ブログで何度も紹介しているように、ダンスパートナー、ダンスインザダーク、ダンスインザムードと近親にある血統、日本との繋がりから言ってもセンター・コートの動向が注目されます。

続いてはオークローン・パーク競馬場から2鞍。最初は古馬牝馬のアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅢ、4歳上牝、8.5ハロン)。馬場は fast 、2頭が取り消して僅か5頭立ての寂しいメンバーになりましたが、GⅠ3勝馬で去年のBCレディーズ・クラシック2着馬マイ・ミス・オーレリア My Miss Aurelia がシーズン初戦を迎えるのが大注目。4対5の断然1番人気に支持されていました。
レースは3番人気(5対1)のソングズ・アンド・ソネッツ Songs and Sonnets が大逃げの一手、向正面では7馬身以上の差を付けて飛ばします。本命マイ・ミス・オーレリアは2番手に付け、3コーナーから差を詰めて逃げ馬を捉えに掛かりましたが、久し振りと速いペースが堪えたのか動きは今一。替って抜け出したのは、3番手に付けていた4番人気(8対1)のティズ・ミズ・スー Tiz Miz Sue 。馬3頭分の外から追い込み、その内から伸びる2番人気(9対5)ドント・テル・ソフィア Don’t Tell Sophia に1馬身4分の1差を付けての逆転劇です。マイ・ミス・オーレリアは2着馬から4馬身4分の1差離されての3着と期待を裏切りました。
スティーヴ・ホビー厩舎、ジョセフ・ロッコ騎乗のティズ・ミズ・スーは、実は去年アゼーリでも同じ8対1の人気薄で2着に3馬身差を付けて制した馬。アゼーリのあとは惜敗続きで、アップル・ブロッソムが3着、デラウエア・ハンデではロイヤル・デルタ Royal Delta に首差2着の実績も残していました。前走はバヤコア・ステークスでの3着、大物食いの側面が出た結果となりました。

オークローンの2鞍目は、クラシックに繋がるレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。ケンタッキー・ダービーに向け勝馬には50ポイントが加算されるトライアルです。11頭の混戦、前走2月18日のサウスウエスト・ステークス(GⅢ)を制したスーパー・ナインティー・ナイン Super Ninety Nine が当然ながら6対5の1番人気に支持されましたが、大外11番枠スタートが不安材料でしょう。
先手を取ったのは逃げ馬で3番人気(4対1)のタイトル・コンテンダー Title Contender 、人気を背負ったスーパー・ナインティー・ナインは早目に2番手に付けて抜け出す機を窺います。しかし前半で脚を使ったためか本命馬は一杯。4番手を追走していたルコント・ステークス(GⅢ)の勝馬で2番人気(7対2)のオックスボウ Oxbow が抜け出した所、前半6番手から4番手で直線に入った伏兵(25対1)ウィル・テイク・チャージ Will Take Charge がジワジワと追い詰め、ゴール板では頭差オックスボウを差し切っての番狂わせに終わりました。2馬身差でデンズ・レガシー Den’s Legacy が3着。4着のテキサス・ビリング Texas Billing までがポイントの対象で、スーパー・ナインティー・ナインは5着敗退です。
勝ったウイル・テイク・チャージ、2着のオックスボウは共にウェイン・ルーカス師の管理馬、人気とは逆のワン・ツー・フィニッシュとなりました。2着にはマイク・スミスが騎乗していましたが、勝ったのはジョン・ケントン・コートの騎乗馬。ウイル・テイク・チャージは1月に一般ステークス(スマーティー・ジョーンズ・ステークス)に勝ちましたが、前走サウスウエストは6着に終わって人気を落としていた存在。同馬の母はGⅠ4勝の名牝テイク・チャージ・レディー Take Charge Lady 、兄にもGⅠ馬(テイク・チャージ・インディー Take Charge Indy)がいるということで、血統的にも期待のかかる1頭でしょう。

最後はサンタ・アニタ競馬場。GⅠとGⅡが組まれていますが、先に施行されたのがGⅠの方。サンタ・マルガリータ・ステークス Santa Margarita S (GⅠ、4歳上牝、9ハロン)は、1頭が取り消して5頭立てで行われました。馬場は fast 、GⅠ目前ながら今一歩及ばないジョイフル・ヴィクトリー Joyful Victory が、今度こその期待を込めてイーヴンの1番人気に支持されています。
スタートは一斉でしたが、コーナーワークを利してクラブハウス・ターンで先頭に立ったジョイフル・ヴィクトリー、後はワンサイド・ゲームに持ち込んでの楽な逃げ切り勝ちです。2着は4馬身差で2番人気(2対1)のモア・チョコレート More Chocolate が追い込み、更に5馬身4分の1の大差が付いてブラッシュド・バイ・ア・スター Brushed by a Star が3着。逃げ切り勝ち、バラけた着順と単調な結果に終わりましたが、ジョイフル・ヴィクトリーにとっては念願のGⅠ初制覇となりました。
ラリー・ジョーンズ厩舎、女性騎手のロージー・ナプラヴニク騎乗のジョイフル・ヴィクトリーは、6回目の挑戦でのGⅠ勝利となる5歳のカナダ産(オンタリオ)芦毛馬。前走サム・ヒューストンでの一般ステークス(1月26日、ヒューストン・レディーズ・クラシック)はレコード・タイムでの優勝で、万全の状態でのカリフォルニア入りでした。同馬がカリフォルニアに遠征したのは9月末のゼニヤッタ・ステークス(GⅠ)以来のことで、それがナプラヴニク騎手にとっても初の南カリフォルニア登場でもありました。

土曜日の最後はサン・ルイ・レイ・ステークス San Luis Rey S (芝GⅡ、4歳上、12ハロン)。以前はGⅠに格付けされていたレースでもあり、この日のメインとして組まれていたことも頷けましょう。芝コースは firm 、1頭取り消しの8頭立て。トライアルとなるサン・マルコス・ステークス(GⅡ)で1番人気になりながら僅かに追い込みが届かなかったアルゼンチンのインターアクション Interaction が2対1の1番人気。その時にゲーリー・スティーヴンス騎乗で勝ったスリム・シェイディー Slim Shadey (3対1、3番人気)を差し切れるという期待でしょう。
レースは、これがG戦デビューながら2番人気(5対2)を集めたブライト・ソート Bright Thought が先頭で1週目のスタンド前を通過。向正面では替ってスリム・シェイディー(今回もスティーヴンス騎乗)がハナを奪いましたが、一旦2番手に控えたブライト・ソートが再び巻き返して先頭を奪うと、そのままオール・スクェア―ド・アウェイ All Squared Away に3馬身4分の1差を付ける完勝。4分の3馬身差3着にファイア・ウィズ・ファイア Fire With Fire が食い込み、インターアクションは4着、スリム・シェイディー5着と番狂わせに終わりました。ペースが速かったこともあり、勝時計2分22秒72はコースレコードです。
ステファニー・ベアーティ厩舎から現在のホルヘ・グティエレス厩舎に転じたブライト・ソート、今開催のサンタ・アニタでは2月3日にハンデ戦を、2月21日にはアローワンス戦をいずれも圧勝しており、これで3連勝。2番人気に支持されたのも前2走の印象が強かったためでしょう。今回は同馬に初騎乗となるヴィクター・エスピノザが跨っていました。グティエレス師によれば、次走は開催最終日の4月21日に行われるサン・ファン・カピストラーノ(芝GⅡ)になる予定。タフなレースが3戦続いたので、一息入れてからの再調整となりそうです。
またブライト・ソートで注目すべきは、ハットトリック Hat Trick 産駒であること。アメリカでのハットトリック産駒では、キング・ダヴィド King David 、ハウ・グレート Howe Great に続く3頭目のGウイナーとなります。

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