グレード戦初勝利をGⅠで

昨日のアメリカ競馬G戦は、3つの競馬場で5鞍のG戦が行われました。順に見ていきましょう。

先ずはガルフストリーム・パーク競馬場のハネー・フォックス・ステークス Honey Fox S (芝GⅡ、4歳上牝、8ハロン)。firm の芝コース、ダート変更時の登録1頭が取り消して8頭立て。フロリダ・オークス(芝GⅡ)馬で前走サンタ・アニタでブエナ・ヴィスタ・ハンデ(芝GⅡ)3着したタピキャット Tapicat が5対2の1番人気。
レースは1枠から出たエフィー・トリンケット Effie Trinket が逃げ、タピキャットは後方2番手の待機策。逃げ馬にトリプル・アーチ Triple Arch が競り掛けて直線、後方3番手に付けていた2番人気(3対1)のセンター・コート Centre Court が大外を通って抜け出し、最後方から急襲する3番人気(7対2)のキッテンズ・ポイント Kitten’s Point を辛うじてハナ差抑えて優勝。1馬身半差で逃げたエフィー・トリンケットが3着に粘りました。タピキャットは意外に伸びず5着敗退。
ジョージ・アーノルド厩舎、ジュリアン・ルパルー騎乗のセンター・コートは、去年に続きこのレース2連覇となりました。去年はこのレースに続きキーンランドでジェニー・ワイリー・ステークス(芝GⅠ)でGⅠを初制覇しましたが、夏場は3連敗。特にサラトガではレース後に筋肉炎を発症して長期休養入り、今回が8月以来の休み明けでした。3歳時の3勝に加え、これでG戦は6勝目。次走は去年に続きジェニー・ワイリー連覇を目指します。

次はオークローン・パーク競馬場の3鞍。最初のアゼーリ・ステークス Azeri S (GⅡ、4歳上牝、8.5ハロン)は、雨で湿りながらも走り易い fast の馬場に7頭立て。こちらも休み明けながらBCディスタッフ(GⅠ)で2着の強豪クローズ・ハッチェス Close Hatches が3対5の断然1番人気に支持されています。
そのクローズ・ハッチェスがスタートから先手を奪うと、クラブハウス・ターンでやや外にふくれながらも、そのまま後続を寄せ付けず堂々の逃げ切り勝ち。前半2番手を追走した最低人気(30対1)のマジック・ユニオン Magic Union が、一旦3番手に交わされながらも内ラチ沿いに差し返し、勝馬から1馬身4分の1遅れの2着。更に半馬身差で2番人気(3対1)のドント・テル・ソフィア Don’t Tell Sophia が3着に入りました。去年のアップル・ブロッソム・ハンデ勝馬オン・ファイア・ベビー On Fire Baby が半馬身差で4着。
ウイリアム・モット厩舎、ジョエル・ロザリオ騎乗のクローズ・ハッチェスは、ケンタッキー・オークス7着が唯一の着外で、それ以外は全て1着か2着の実力馬。マザー・グース・ステークス、コーティリオン・ステークスと既にGⅠに2勝、このあとはアップル・ブロッソム・ハンデで3つ目のGⅠ制覇を目指します。

続くレーザーバック・ハンデキャップ Razerback H (GⅢ、4歳上、8.5ハロン)は、アゼーリと同じ条件の牡馬版。やはり7頭立てで、前走ストラブ・ステークス(GⅡ)2着のガヴァナー・チャーリー Govenor Charlie が2対1の1番人気に支持されていました。
レースはライト・トゥー・ヴォート Right to Vote が逃げましたが、2番手を追走していた4番人気(5対1)のゴールデン・ラッド Golden Lad が第4コーナーで並び掛けると、直線では2着争いを尻目に独走、最後は頭差で2着に入ったマジェスティック・シティー Majestic City に6馬身4分の3差を付ける圧勝でした。3着は2番人気(5対2)のタップタウン Taptowne で、人気のガヴァナー・チャーリーは後方を進むも伸び脚を欠いて5着敗退。
トッド・プレッチャー厩舎、ホセ・レズカノ騎乗のゴールデン・ラッドは、これで4連勝。ステークス・デビューを見事G戦勝利で飾りました。今回はフロリダからの遠征ですが、前走ガルフストリームのアローワンス戦では8.5ハロンのレコードを更新していた馬。レコードを出したり4連勝などは並みの馬に出来る芸当ではなく、これからの活躍には更に期待が掛かります。次走になる筈のオークローン・ハンデ(GⅡ、4月12日)に注目しましょう。

オークローンの最後は、ダービーへのポイント対象となるレベル・ステークス Rebel S (GⅡ、3歳、8.5ハロン)。8頭が出走し、前走サウスウエスト・ステークス(GⅢ)に勝ったタピチュア Tapiture が2対1の1番人気、同じオッズでホープフル・ステークス(GⅠ)勝馬ストロング・マンデイト Strong Mandate が僅かの差の2番人気で続きます。
レースはストロング・マンデイトが先手、タピチュアは4~5番手で進めます。しかし直線は激戦、ストロング・マンデイトに2番手追走のライド・オン・カーリン Ride On Curlin が並び掛けましたが、直後に並んで迫ってきた本命タピチュアと3番手を追走していた4番人気(6対1)のホッパーチュニティー Hoppertunity が馬体を併せて4頭の叩き合い。ゴールでは最外のホッパーチュニティーが半馬身タピチュアに先着し、更に半馬身差でライド・オン・カーリンが3番手、最後に1馬身半差でストロング・マンデイトがゴール板を通過しました。何度も馬体を接した上位2頭、2番手入線のリカルド・サンタナ騎手から勝馬に異議申し立てがあり、4着に終わったストロング・マンデイトに対しても審議となります。結局は4頭の騎手全てが馬を止めるような不利が無かったと判断され、入線通りで確定しています。
ボブ・バファート厩舎、マイク・スミス騎乗のホッパーチュニティーは、未だこれが4戦目ながら厩舎期待の評判馬。今年1月、2戦目で未勝利を脱したあと前走リズン・スター・ステークス(GⅡ)に挑戦して4着、ダービーに向けて5ポイントを獲得していました。今回の勝利で50ポイントを加算して55ポイント。このままダービーに直行するか、同じアーカンソーでダービー(GⅠ)をステップにするかはこれから検討するとのことでした。

最後にサンタ・アニタ競馬場から、今年第77回を迎えるGⅠ戦のサンタ・マルガリータ・ステークス Santa Margarita S (GⅠ、4歳上牝、9ハロン)。グレード制導入時からGⅠ格を維持してきた伝統の一戦です。日曜日に芝コースで行われるサンタ・アナ・ステークスに回る1頭が取り消して7頭立て。前走サンタ・マリア・ステークス(GⅡ)でG戦初勝利を挙げたアイオタパ Iotapa が7対5の1番人気。
前走ラ・キャニャーダ(GⅡ)ではスタートで不利があり4着に終わった2番人気(5対2)のフィフティーシェイズオブヘイ Fiftyshadesofhay が逃げ、アイオタパは3番手追走。終始逃げ馬を楽には行かせなかった3番人気(5対1)のレット・フェイス・アライズ Let Faith Arise が逃げ馬を捉え、アイオタパの追撃を1馬身4分の3差抑えてG戦初勝利をGⅠで達成しました。更に半馬身差でスタンウィック Stanwyck が3着、ラ・キャニャーダ勝馬のスペルバウンド Spelbound が4着、フィフティーシェイズオブヘイは今回も利あらず6着に沈んでいます。
勝馬を管理するジェリー・ホーレンドルファー師にとってはこれがサンタ・マルガリータ初制覇、また騎乗したコーリー・ナカタニにとっては5度目のサンタ・マルガリータとなりますが、前回は2000年のリボレッタ Riboletta での勝利、久し振りの美酒となりました。去年3歳時はスプリント戦線を闘ってきたレット・フェイス・アライズ、今年に入ってラ・キャニャーダとサンタ・マリアで何れも2着。これまで勝てなかった相手を一蹴しての嬉しいG戦初勝利でもありました。9ハロンという距離は彼女にとってこれまでで最も長い距離、距離特性にも新たな境地を拓いた勝利と言えるでしょう。

Pocket
LINEで送る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください